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仲村宗悟が酒呑噺「親子酒」で会場を酔わせた「声優落語天狗連 第九回」レポート

イベント 2017年03月25日 06:00配信
仲村宗悟が酒呑噺「親子酒」で会場を酔わせた「声優落語天狗連 第九回」レポート

出演者の皆さん。(左から)吉田尚記さん、仲村宗悟さん、桂春蝶師匠、立川志ら乃師匠、サンキュータツオさん

3月19日(日)、東京・浅草の東洋館にて「声優落語天狗連 第九回 supported by 昭和元禄落語心中」が開催されました。

テレビアニメ「昭和元禄落語心中」がきっかけで落語に興味を持った人に、もっと落語を愉しんでもらいたい、もっと好きになってもらいたいという趣旨ではじまったこのイベントもついに9回目。芸事の本場である浅草の歴史ある会場には、大勢の落語ファン、アニメファンが詰めかけました。

イベントは毎回恒例、本企画発起人のニッポン放送アナウンサー 吉田尚記さんと学者芸人・サンキュータツオさんによるトークコーナーから開始。第11話が放送された直後なだけに、話題は自然とアニメ本編の話題からはじまります。前回(第8回)のトークコーナーで触れたアフレコ見学は、実は先日放送された第11話だったと明かしたサンキュータツオさん。今回はようやく放送されたということで、さらに詳しいアフレコ現場のエピソードを披露してくれました。

収録は、リハーサルから本番までノーミスで撮り直しが一切なく、石田彰さん(八雲役)も山寺宏一さん(助六役)も完璧に役を作り込んできて現場であわせるという、まさに“神業”だったそう。「撮り直しがないから、本当に収録が30分で終わるんですよ!」と、興奮気味に語るサンキュータツオさんの言葉に、会場からは驚きの声が上がります。さらに11話の感想は続き、落語を映像でどのように見せるのか、寄席の空気感をどのように感じさせるのかを計算しつくした画面構成と演出の巧みさを2人は絶賛。「本編25分の間に褒める部分を書いていたら4時間以上かかるから、Twitterなんてできない」と吉田さんが語ると、客席からは同意の拍手がわき起こりました。

そして話題は今回、桂春蝶師匠が口演する「たちきり」が生まれた上方落語へ。一時期存亡の危機にあったという上方落語について、サンキュータツオさんが現在の隆盛の源流ともいえる人間国宝・桂米朝師匠の活躍について説明しました。

漫才文化の大坂で存亡の危機に立たされていた上方落語を救うため、米朝師匠は消えつつあった噺を先輩や師匠方に聞いて回り、一番フラットなものを文字と音源で残すことに尽力した、正に「落語と“心中”した人」とは、サンキュータツオ談。落語家になったきっかけも「このままだと上方は死ぬと思って落語家になった」という米朝師匠の生き様に、吉田さんから「一つの文化を一人で救うって本当にすごいこと」と感嘆の言葉がこぼれます。

さらに、上方落語と江戸落語の違いについては、「東京の落語は小屋で聞かせるもので、大阪の落語は辻噺といって道ばたで聞かせるもの。だから目立つ衣装を着て三味線などの鳴り物を入れる。落語家が派手な色の着物を着ているのは、上方落語の影響なんですよ」というサンキュータツオさんの説明に、場内からは驚きの声があがっていました。

興味深い話が多数飛び出したトークコーナーに続いては、若手声優が落語に挑戦する「声優落語チャレンジ」のコーナーへ。今回は「アイドルマスター Side M」の天道輝役などで活躍中の仲村宗悟さんが、「親子酒」に挑戦します。

酒好きの若旦那を気遣った(これまた酒好きな)大旦那が一緒に酒をやめようと持ちかけたものの、日が経つにつれて大旦那は酒が恋しくなり……という古典の酒呑噺ですが、高座の前に上映された練習風景の映像には、噺が口からでてこないで苦戦する仲村さんの姿が……。

高座に上がる仲村さんは見るからに緊張した様子でしたが、噺がはじまったらその緊張感はどこへやら。声と体を大きく使い、酒飲みのひょうきんさを見事に表現。客席は大きな笑い声に包まれました。

終わった後感想を聞かれると、稽古は大変でかなり追い詰められたという仲村さん。ですが、残り少ない稽古で開き直って元気にやったら、稽古番の立川志ら乃師匠から「そうだ、それでいい。元気が取り柄なんだから、おっきい声で落語をやれば良さがでる」と言われ、それが指針となり突破口が見えたと稽古を振り返りました。

そんな仲村さんに対して志ら乃師匠は、「実は今回が一番心配だった」とホッとした表情でコメント。幕張メッセで開催された「アイドルマスター」のコンサートを見たとき、志ら乃師匠は、“リーダー格で元気なところ”が仲村さんの魅力だと感じたそうですが、実際に稽古を付けてみると、頭で考え形から入ろうとするクセがあったとのこと。踏み込まなければならないところを一歩引いてきれいな形にまとめようとする仲村さんに対し、大きい声でやれば自然と個性が出るということを理解してもらうまでに時間がかかってしまったそうです。

「自分の得意分野がわかったんじゃないかな」という志ら乃師匠の言葉に、すこし照れながらも大きくうなずく仲村さん。そんな仲村さんに、客席からは大きな拍手が送られました。

そしてイベントの最後は、プロの噺家が「落語心中」に登場した噺を披露。今回は、物語の中でも重要な意味をもつ「たちきり」を、桂春蝶師匠が披露します。

春蝶師匠は枕で江戸落語と上方落語の違いについて触れ、「一番の違いはお客さんの違いだと思ってます。何かというと、大坂のお客さんは“自分の方が面白い”と思ってる」という一言でどっと会場を沸かせ、一気にお客さんの心をつかみます。そこからは春蝶師匠の名人芸、大いに笑わせつつも、噺が佳境に入り若旦那と小糸の悲恋のくだりに入ると、客席のあちこちで目頭を押さえる人たちの姿が……。噺が終わり師匠が深々と頭を下げると、場内からは割れんばかりの拍手がわき起こりました。

楽しかったイベントもあっという間に終了の時間。アニメ「昭和元禄落語心中」の放送は終了となりますが、次回は「声優落語天狗連」が記念すべき第10回ということで、規模を大きくして開催すると吉田さんから発表されると、客席からは大きな歓声が。そして5月6日(土)の開催と、声優落語チャレンジに挑戦するのが山口勝平さんと発表されると、会場はさらに大きな歓声に包まれました。

次回の声優落語天狗連では、新たな趣向も検討しているとのこと。アニメと落語のコラボレーションからはじまった取り組みは、新たなファンを取り込み、これからも裾野を大きく広げていきそうです。【取材・文=小川陽平】

■声優落語天狗連 第九回 supported by 昭和元禄落語心中

日程:2017年3月19日(日)

会場:浅草東洋館

MC :サンキュータツオ、吉田尚記(ニッポン放送アナウンサー)

出演:桂春蝶、仲村宗悟/立川志ら乃(稽古番)

リンク:アニメ「昭和元禄落語心中」公式サイト

   :アニメ公式ツイッターアカウント@rakugoshinju