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コロナ禍の日本を切り取った―神山健治監督「永遠の831」 先行上映会オフィシャルレポート

アニメ 2022年01月18日 12:34配信
オリジナル長編アニメ「永遠の831」先行上映試写会より

オリジナル長編アニメ「永遠の831」先行上映試写会より

(C)神山健治・CRAFTAR・WOWOW/「永遠の831」WOWOW

WOWOW開局30周年記念作品としてお届けする神山健治監督・脚本による新作長編アニメ「永遠の831(はちさんいち)」の先行上映会が1月15日(土)に都内某所で開催された。

本作は「攻殻機動隊 S.A.C」シリーズ、「東のエデン」シリーズなどを手掛け、日本アニメ界を牽引してきた神山健治監督の最新作。登場人物たちを取り巻くリアルとフィクションが融合した世界観や、作品に込められた深いメッセージ性など、本作でしか見られないものが詰まった作品となっている。

試写会後には特別トークイベントが実施され、神山健治監督、浅野スズシロウ役の斉藤壮馬さん、橋本なずな役のM・A・Oさん、亜川芹役の興津和幸さん、angelaのatsukoさんとKATSUさん、カノエラナさんといった豪華なキャスト&アーティストが登壇した。

登壇者が挨拶を終えると、さっそくトークコーナーへ。オリジナル作品の監督・脚本として本作の世界を作り上げた神山監督は、作品に込めた思いについて質問されると、「コロナ禍になってからの日本を、アニメーションを通して切り取ってみようという思いでした」と話した。

楽しんでもらうことを第一にしたアニメーション作品が多いなか、苦しい状況をテーマにするのはどうなのかとも考えたそうだが、「人生のなかでも1度しか体験しないであろう現在の日本の状況を作品のなかに入れ込みたいと思いました」と、作品に込めた熱い思いを語った。

続いて、浅野スズシロウ役の斉藤さんは演じるうえでこだわった点について「物語は主人公であるスズシロウの目線で進んでいくのですが、あまり自分の中で誇張しすぎずフラットな目線で、スズシロウがどう感じているのかを過不足なく入れ込むことですね」とコメント。声優としてキャラクターと向き合う姿勢を話した。

また、斉藤さんが実は神山監督の作品の大ファンであることを指摘された際は、現場ではそういった気持ちをあまり伝えられなかったといい、「ファンです!」という大きなひと声を神山監督に直接届ける一幕も。

それに対して神山監督は「キャスティングは、この人の中にキャラクターと合致する部分があるはずだと思って選んでいるので、一緒に仕事できて光栄でした」と感謝を述べると、ステージは和やかな雰囲気に包まれた。

続いての質問は橋本なずなを演じたM・A・Oさんへ。なずなを演じるにあたってのポイントを聞かれると「最初のアフレコの際に、どのくらい演技に悲愴感を含めたら良いのか分からなかったのですが、"スズシロウに寄り添っていく感じで"という監督のディレクションをいただけたので、とてもクリアになりました」と現在の演技ができるまでの過程を吐露した。

亜川芹を演じた興津さんは、自身の役に関して「彼は犯罪者でありつつ、それだけでは語れない人物」と言い、「大人になったからこそできるなにかを考えている男だと思います」と、 ひと言ではなかなか言い表せない亜川というキャラクターを語った。

また、興津さんは劇中でタバコを吸う亜川を演じるにあたって、普段は吸わないタバコに実際に挑戦したとのこと。「この世界に生きている人物を誇張せず自然に表現するために、自分も肉体の状況を変えてみたらと思ってやってみました」と、並々ならぬ役作りのこだわりを話した。

質問はここから、本作の世界観を引き立てる楽曲を担当したアーティストに移る。angelaのatsukoさんは、主題歌『ひとひらの未来』に込められた思いについて聞かれると、自身が上京してきたときの状況と作品が重なることを挙げながら「前を向きたくなる楽曲にすることを目指しましたね。ドンと大きくではなく、風のようにふわっと背中を押す曲になっていると思います」と語った。

angelaのKATSUさんは「監督からいただいていたオーダーが、"曲のテンポが速すぎない、遅すぎない、明るすぎない、暗すぎない"だったんですよ(笑)」と暴露すると、会場内は笑いに包まれた。しかし、この作品に合うのは確かにそういう曲だと気付いたと語り、「時間というテーマがある作品なので、どのように永遠を永遠ではなくするか、季節を変えていくような曲を試行錯誤してできた曲です」とコメント。さらに「がんばりました、だって監督のファンですもん!」と、斉藤さんに続きこちらでも神山監督への熱いメッセージが伝えられた。

OPテーマ『キンギョバチ』を手がけたカノエラナさんは、楽曲へのこだわりを聞かれると「主人公のスズシロウとは、年齢や性格も似ているなと感じる部分があって。彼が物語のなかで感じる怒りの感情や苦しみを自分の中で曲に落とし込んだら、ロックな曲に仕上がりました」と語った。

また、『キンギョバチ』という曲名に関しては「いろいろ考えたとき、世間に感じる透明な壁が金魚鉢のように見えたからです」と由来を明かした。

ここで、本作のテーマのひとつである「登場人物や社会に課されながらも、手を付けられていない問題」という部分にちなんで、登壇者全員に「やらなくてはいけないと思いながらも、まだ手を付けられていないこと」という質問が投げかけられた。

神山監督は「次の作品の脚本と絵コンテですね。本作が出来上がって、みなさんと会えるのがうれしくてさぼってしまいました…」と、少々リアルな部分を吐露。

興津さんは「ブルーレイレコーダーのハードディスクを整理して、本作をちゃんと通常画質で見られるようにします」と、本作を楽しむ気満々な姿勢を見せた。

M・A・Oさんは「やりたいゲームがいろいろ残っているんです…」と少々弱気に語り、斉藤さんは「親知らずを抜く。あと3本埋まっているのですが、恐怖のあまり抜けていないので、皆さんお早めに…」と来場者にアドバイスするような場面も見られた。

atsukoさんは「年度末までに、事務所の4人分の健康診断の予約をとらなければ」というリアルな話をすると、KATSUさんは「胃カメラが苦手で……」と続けながら「これまでライブができなかったので、この時代に生まれた楽曲だからこそライブをやりたい」とアーティストらしい部分を語ると「今、 一番いいこと言ったよね!」と自慢げになり、会場から笑いが起こった。

カノエラナさんは、KATSUさんに「いいこと言ってくれる!」とハードルを上げられて笑いながら「ガスコンロの設置ですね…。3年くらい設置してないので」と、生活のちょっとした秘密を暴露した。

その後はangelaとカノエラナさんによるライブコーナーへ。まずは、初パフォーマンスとなるカノエラナさんによるOPテーマ『キンギョバチ』から。カノエラナさんは今回のような舞台挨拶も初めてだといい、「angelaのおふたりにがんばれ! と背中を押していただいてなんとか…」と暴露したが、ライブパートが始まるとその目つきが一変。今までのかわいらしい雰囲気とはうって変わって、堂々とした歌唱とパフォーマンスを披露した。

カノエラナさんが上げたボルテージはそのままに、angelaのふたりが登壇。ギターの準備中にトークでつなぎ、自然な流れでライブパートに移行するベテランの風格を見せた。主題歌『ひとひらの未来』を圧倒的な歌唱力とパフォーマンスで披露すると会場からは上げられない声援の代わりに、気持ちがこもった拍手が鳴り響いた。

ライブパートが終了するとふたたび全員が登壇し、最後の挨拶に。神山監督から「日本の今という、僕が切り取りたかった部分をキャストやアーティストのみなさんが作り上げてくれました。実際に出来上がった作品を見て、皆さんにどう感じていただけたのかを知りたいです。ぜひ放送を見ていただけたらと思います」と、来場者や視聴者への感謝の言葉が告げられ、 先行上映会は幕を閉じた。

特別トークイベントの模様は、WOWOW公式YouTubeチャンネルでアーカイブ配信される。また、angelaが歌う主題歌『ひとひらの未来』は1月21日(金)、カノエラナによるOPテーマ『キンギョバチ』は1月26日(水)にデジタルリリースされるので、こちらもぜひチェックしていただきたい。

■WOWOW開局30周年記念オリジナル長編アニメ「永遠の831」
2022年1月30日(日)20:00~ WOWOWプライムとWOWOWオンデマンドで放送・配信

スタッフ:監督・脚本…神山健治/音楽…椎名豪/主題歌…angela/OPテーマ…カノエラナ/アニメーション制作…CRAFTAR
キャスト:浅野スズシロウ…斉藤壮馬/橋本なずな…M・A・O/亜川芹…興津和幸/アキナ…日笠陽子/室戸…大塚明夫/双六…粟津貴嗣/坂田兄弟(兄)…近藤孝行/坂田兄弟(弟)…岩崎諒太/ドンキ…山下誠一郎/各務恭子…五十嵐麗

リンク:「永遠の831」公式サイト
    WOWOW オフィシャルYouTubeチャンネル
    公式Twitter・@eienno831