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立ち止まった彼が再び歩き出すまでの物語―「PSYCHO-PASS サイコパス SS」狡噛慎也役・関智一インタビュー

その他 2019年07月03日 12:00配信
立ち止まった彼が再び歩き出すまでの物語―「PSYCHO-PASS サイコパス SS」狡噛慎也役・関智一インタビュー

「PSYCHO-PASS サイコパス SS」で狡噛慎也役を演じる関智一さん

(C)サイコパス製作委員会

2019年9月18日(水)に発売されるBlu-ray/DVD「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」3部作。その特典として、塩谷直義監督、岩浪美和音響監督、さらに各作品のメインキャストの3名によるオーディオコメンタリーが収録されています。「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3 恩讐の彼方に__」のオーディオコメンタリーの収録を終えた、狡噛慎也役・関智一さんにお話をうかがいました。

――オーディオコメンタリーの収録を終えての感想をお聞かせください。

関 塩谷監督と岩波音響監督によって作り手の意図や解説が加えられて、とてもオーディオコメンタリーらしいものになったと思います。僕は視聴者のみなさんに近い目線でやらせていただきました。お二人の解説を聞きながらフィルムをあらためて見て、新たな発見があったり腑に落ちるところがあったりと、聞いて楽しめる仕上がりになったと思います。

――それはたとえば、どのようなところでしょう。

関 冒頭で「2117.11 SOUTH ASIA」とテロップが出ているシーンは、画面がモノクロからカラーへ変移していきますよね。塩谷監督がそのシーンを「これまで自分の人生の歩みを止めて足踏みしていた狡噛が、TVアニメシリーズ第3期に向けて歩き出す、止まっていた彼の時間が動き出すシーン」と解説されておられて、なるほどと。他にも、アニメーターの方々のスキルがいかんなく発揮されてるところを教えてくださったりと、この作品がいかに塩谷監督の望む以上の仕上がりになっているかがよく分かりました。僕も劇団をやっておりますので、作品というものはみんなが一体となって作り上げていく結晶なのだというのはよく分かっているつもりです。

――「恩讐の彼方に__」の狡噛は、現地の少女テンジン・ワンチュクにいささか父親めいたところも見せていましたね。

関 テンジンがそれだけ子供だった……というのもあるとは思いますが、彼も、年が大きく離れた相手だからこそ、気が付けたり、素直になれたり、考えさせられたりした部分もあるだろうなと思います。まっすぐなあの子相手じゃなかったら、ああいう狡噛の姿は見られなかったかもしれません。思わず「歯を磨けよ」と言いたくなるくらい、かわいい子だったのでしょう(笑)。

人間、年を取ってくると自分の何かを誰かに受けついでほしくなるものです。そうすることで、自分が生きた爪痕のようなものを残せればと思うようになる。狡噛がそう思っているかは分かりません。むしろ、彼は逆にそういうものはいらないとすら思っているかもしれませんが、血を分けた自分の子供じゃないからこそ、かえって客観的に見られて素直に接することができたという面はあるかもしれません。

――アフレコ時、テンジン役の諸星すみれさんとかけあいをされていかがでしたか。

関 とても素直なお芝居をされるので、スムーズにかけあいができました。狡噛のセリフは初対面から「なんだい、お嬢さん」というもので、未来の物語なのにちょっと昭和のような雰囲気があっておもしろかったですね。元々「デカの勘」なんて言葉も使いますし、彼はどれだけ科学技術が発達しても、変わらない普遍的なものを持っているなと。

――よそ者の無頼漢がやってきて、窮地の人々を救って風のように去っていくというプロットは、個人的にはなんだか西部劇のようにも感じました。

関 そういうところにも、レトロさのようなものが感じられますよね。これは塩谷監督が言っていたのですが、この頃の狡噛は「男はつらいよ」のような状態だったそうです。(紛争地帯を)転々としては、物事を解決したらまた去っていく……そんな風来坊のような日々。その最後を切り取ったのが、本作だということでした。

――少しお話を広げさせていただきますが、これまで本シリーズに関わってこられて監督とのやりとりやディレクションなどで印象に残っていることはありますか。

関 たまたまそうだったというだけのことかもしれませんが、最近は現場で監督さんから作品に関する深いお話をうかがえる機会がなかなかなくて。「PSYCHO-PASS サイコパス」では反対に、塩谷監督からお話をうかがえる機会に恵まれましたので、楽しんでやらせていただいています。制作スタッフのみなさんがどういう考えで作っているかが分かると、「それなら次はこう演じよう」と芝居の幅も広がりますので。

――今回、宜野座役の野島さんにもお話をうかがったのですが、TVアニメシリーズ第1期では、関さんが現場を明るく盛り上げてくださっていたとおっしゃっていました。

関 いえいえ、僕なんか全然! リーダーシップとか出せないタイプですからね。常守朱役の花澤香菜さんがいてくれたからだと思いますよ。花澤さんが他のキャストより少し年下だったこともあって、みんなで彼女をかわいがるような雰囲気でワイワイとできたのがよかったのだと思います。作中で起きる事件は凶悪なものもありますが、作り手や演じ手は温かい人が多く、和気あいあいとしていました。

――おっしゃる通り物語中では凄惨な事件も見られますが、「PSYCHO-PASS サイコパス」という作品は、ある種の人情モノのような一面もあるように感じられました。

関 実は、TVアニメ第1期のキャストを決めるオーディションの際に頂いた企画書に、そんなようなことがかいてあったんです。対照的な狡噛と宜野座が衝突しやすいのは、昔の刑事モノのようなテイストと管理されている未来社会の対比でもあると。なので、オーディション用の台本にあった「刑事」を「デカ」と読んでみたりしました。

――"刑事と書いてデカと読む"というような指定があったわけではない、ということでしょうか。

関 たしか、オーディション用の原稿にはそういう指定はなかったと思うんですよね。なので、勝手にそう読んで提出してしまいました(笑)。後日、狡噛役として採用していただけて現場に入る際に、「ここは"デカ"と読みましょう、ここは物語の流れ上"けいじ"と読みましょう」とすり合わせをしていました。

――第1期の頃の狡噛や征陸智己はまさしく"デカ"という感じでしたが、関さんの発案がきっかけだったというのは大変興味深いです。2019年10月からはTVシリーズ第3期「PSYCHO-PASS サイコパス 3」の放送もひかえていますが、今後、狡噛に関して「こういう話が見たい」という希望などはありますか?

関 やっぱり、行く末は気になりますね。平たく言ってしまうなら、狡噛の最後はどうなるのだろうか、命を落としたりするのだろうかということです。僕は彼が悪事を働いたとはまったく思っていませんが、でも、人の命を奪ってしまったことに変わりはありません。そういう人間の結末をどう描くかは、作り手のみなさんも思うところがあるだろうなと。それが描かれるのが第3期か、そうでないかは分かりませんけどね。

故・藤田まことさんも「必殺仕事人」をはじめとする「必殺シリーズ」で中村主水を演じるにあたり、そこをとても深く考えておられたと聞きます。どう描くべきなのか難しいテーマではありますが、実力派クリエイターが結集して手がけられている作品ですので、納得のいく結末にしてくれるだろうと僕自身も楽しみにしています。

――本シリーズは作中でも歳月の経過が描かれ、狡噛や宜野座は環境や立ち位置が大きく変わってきたキャラクターだと思います。そうした狡噛を演じてこられて、あらためてどう感じられますか?

関 ファンのみなさんに応援していただけているおかげで、こうして演じ続けられるのだという幸せを、日々あらためて噛み締めています。当初はいわゆる刑事だった狡噛も今では犯罪者です。環境の激変があり、ネガティブなものを内に抱えてしまうこともあり、それでも前へと進んでいく……。まるで1人の人生の縮図を見ているようです。

本シリーズが初めて放送されたのが2012年。今年でもう7年目ですから、当初から応援してくださっている方たちも、人生に大きな変化や、お辛いこともあったかもしれません。そんな時に「PSYCHO-PASS サイコパス」のキャラクターたちが悩み、成長していく姿が、立ち直ったり乗り越えたりするきっかけに少しでもなれたなら、これほど役者冥利につきることはありません。

――それでは最後に「PSYCHO-PASS サイコパス 3」への意気込みをお聞かせください。

関 これまで以上に盤石の布陣で制作されています! 放送までまだお時間がありますので、ぜひBlu-rayで「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」3部作も見直していただけたらうれしいです。狡噛の止まっていた時間がようやく再び動き出す、そのターニングポイントとなる瞬間を再度ご覧いただければと思います。僕は「PSYCHO-PASS サイコパス」の収録をいつも本当に楽しみで、収録が1作品終わるたびに心にぽっかりと穴が空いて"「PSYCHO-PASS サイコパス」ロス"になってしまうくらいなんです(笑)。続編の制作が決まればその寂しさが癒されますので、僕自身も「3」がとても楽しみです!

■Blu-ray/DVD「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1 罪と罰 / Case.2 First Guardian / Case.3 恩讐の彼方に__」

発売日:2019年9月18日(水) ※3巻同時発売

価格:Blu-ray…税別7800円/DVD…税別6800円(各巻共通)

仕様:キャラクターデザイン・恩田尚之描き下ろし特製アウターケース

封入特典:絵コンテ集、スペシャルブックレット

映像特典:イベント映像集

音声特典:オーディオコメンタリー

    「Case.1 罪と罰」…監督・塩谷直義、音響監督・岩波美和、宜野座伸元役・野島健児

    「Case.2 First Guardian」…監督・塩谷直義、音響監督・岩波美和、須郷徹平役・東地宏樹

    「Case.3 恩讐の彼方に__」…監督・塩谷直義、音響監督・岩波美和、狡噛慎也役・関智一

発売:フジテレビ/東宝

販売:東宝

リンク:「PSYCHO-PASS サイコパス」公式サイト

    公式Twitter・@psychopass_tv