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劇場OVA「フラグタイム」原作・さと×プロデューサー・寺田悠輔 対談インタビュー【後編】

その他 2020年01月29日 18:00配信

昨年11月22日に公開され、公開時には興行通信社「ミニシアターランキング」(11/23〜24)第1位、Yahoo!映画「先週公開作品の評価ランキング」第1位、そして1/27時点でのYahoo!映画評価は4.45点と、各所で高い評価を得た劇場OVA「フラグタイム」。好評につき今年2月からの追加劇場上映が決定したという事で、もう一度ぜひ見に行きたいという人も、気になるから行ってみようかな……?という人も、これを読めば「フラグタイム」の隅から隅まで楽しめる!? 原作者のさと先生とプロデューサーの寺田悠輔さんによる、公開後の今だから話せる内容満載のスペシャル対談インタビューをお届けします!

※このインタビューは2019年11月26日に行われたものです。

※このインタビューは本編の内容に言及しています。

【原作・さとさん×プロデューサー・寺田悠輔さん対談・後編】

劇場OVA「フラグタイム」より
劇場OVA「フラグタイム」より
(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会

劇場OVA「フラグタイム」より
劇場OVA「フラグタイム」より
(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会

――アニメの舞台が仙台になっている理由は?

寺田 あれは制作スタジオの仙台チームがあったので、それもあってロケハンに行ったという感じですね。

さと 漫画の舞台は埼玉なので。でも、結果的に砂浜とか出てくるから仙台のほうがいいんじゃないかなと思いました。埼玉は海がないから(笑)。

寺田 あとはたまたまですが佐藤監督も宮城出身ですね。

――地下鉄のシーンは、2人の距離感の遠さを表現していて印象に残りました。

寺田 ああいう演出も佐藤監督の得意な感じだと思います。原作だと、途中で村上がどんな子なのか、徐々にわかってきたりもするんですけど、アニメでは森谷の視点に絞られているので、最後まで村上がどんな人なのかわからない。それもあって、2人の距離が詰まっているのか、村上に遊ばれているだけなのか、最後まで見ないとよくわからない感じで進んでいくので、そのぶんラストのバトルのチャプターが爆発力があるという感じがします。最後まで、ずっと森谷は村上がどんな人なのかとモヤモヤしていますから。

――演出面でいえば、時間が止まるシーンでちゃんと止まっているように見せるというのは思った以上に大変なことなのではないかと思うのですが……。

寺田 そうですね。実は、止まっている時間は、完全に世界の音は無音になっているんですよ。最初はずっと「キーン」みたいな音が敷いてあるパターンとか、ピアノを叩いた余韻の音が敷いてあるパターンとか、いろんなパターンを音響効果さんが聴かせてくれて、佐藤監督を中心に模索したんですけど、結局、完全に無音のほうがいいかなと。実写だったら何かしらのノイズが入りますし、アニメでも珍しいと思っていて、それゆえ何とも言えない緊張感が出ているのではないかと思います。

さと たしかに、観ていてちょっと身動きできないなって思います。

寺田 僕も公開されてから劇場に観に行ったんですけど、時間が止まったシーンはみなさんポップコーンを食べるのをやめていました(笑)。

さと 観客のみなさんを巻き込んでいる感じがしますね。

寺田 劇場内の時間も止まってしまったような雰囲気で、面白い体験でした(笑)。

劇場OVA「フラグタイム」より
劇場OVA「フラグタイム」より
(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会

――11月23日に新宿バルト9で行なわれた舞台挨拶には、さと先生がサプライズゲストとして登壇されました。

さと 楽しかったですね。今までああいう場に出たことがなかったので「私、本当は作品についてしゃべりたかったんだな」って、壇上でしゃべりながら思いました。

――いっしょに登壇されたキャストさんたちの印象は?

さと 本当に皆さん、しっかりされていて。私が「舞台挨拶、緊張する~」と言っていたら、手を握ってくれたりして。10歳以上も年下の女の子が励ましてくださって。

寺田 メインの2人、伊藤さんと宮本(侑芽)さんは同い年なんですよね。

さと このお2人に演じていただけてよかったなって、本当に思いました。森谷はちょっと暗めな性格なんですけど、伊藤さんの声が乗ることによってそんなに暗すぎないというか、今どきの子みたいな印象になっている気がします。

寺田 森谷の声が暗すぎると、聴いていて本当にしんどい作品になるんじゃないかと監督と話していて。そこを伊藤さんの声と芝居でカバーしていただきました。

さと 宮本さんも自然な感じで、THE女子高生という声で、聴いているとドキドキしますし、いいですよね。

寺田 宮本さんの声に「優しさも感じる」みたいなことをおっしゃっていましたよね。

さと 村上ってちょっと意地悪なところがあるから、嫌な感じになってしまわないかと心配だったんですけど、宮本さんの声が柔らかいから「優しくいじめられている」という感じで(笑)。意地悪さと優しさが共存しているところがすごいなと思いました。あと、アニメの小林は原作よりかわいくなっていて、スタッフさんがきっと気に入ってくれているんだろうなという感じがしました。森谷としゃべっていたときに、「やった!」と言って喜んでいたのが、すごくかわいかったです。

寺田 小林はお客さんの視点といちばん近いキャラクターなので、佐藤監督とキャラデの須藤さんが小林の重要さについては最初からお話をされていました。

――小林がしゃべっている途中で時間が止められて、セリフが途切れるというシーンがありましたが。

寺田 あのシーンも容赦ない感じがして面白いですよね。

――実際のアフレコではあのタイミングでしゃべるのをやめたのか、ずっとしゃべっていたのを後から切ったのか……。

寺田 アフレコでは、そのまましゃべっていますね。小林役の安済(知佳)さんが舞台挨拶でも話していましたが、今回結構アドリブで芝居をしていただいています。「サー! サー!」という掛け声も、安済さんのその場のアドリブですね。

――キャストの名前がOPでクレジットされているのも、アニメでは珍しいのかなと思いました。

寺田 あれは「あさがおと加瀬さん。」でも同じことをやっていたので、その流れですね。僕がもともと実写映画が好きで映像の世界に入ってきたので、ちょっとそんな雰囲気にしてみたかったというのもあります。OPでは原作、キャラクターデザインの次に、キャストの2人のお名前を入れさせていただいています。「あさがおと加瀬さん。」のときにはカッティングの場で「OPにキャストの名前を入れるのはどうか」という話をして、そこで僕の好きなデヴィット・フィンチャーという映画監督の「ドラゴン・タトゥーの女」という映画のOPを見せて、「こういう感じにしたいんです!」みたいな(笑)。今回もその流れにある感じですね。

――主題歌の「fragile」も好評ですね。

寺田 これも中村(伸一)という、うち(ポニーキャニオン)の音楽プロデューサーと、アレンジを担当してくれた谷口(尚久)さんという、「あさがおと加瀬さん。」のときの「明日への扉」と同じチームが担当してくれています。主題歌が「fragile」に決まったときに、音楽プロデューサーから「EDのアレンジ、ちょっと浮かんだイメージがあるから、一度こちらにそのまま預けてもらえないか」と言われて、お任せしたらいきなり今の状態のアレンジが届きました。僕からは何も言うことがなかったので、主題歌に関しては本当に音楽チームの力ですね。歌詞の割り振りとか、2人でユニゾンする箇所が最後しかないとか、そこも全て音楽チームの判断です。

――カバー曲ではありますが、本当に「この作品のためにつくった曲だったのかな?」と思ってしまうくらい、イメージがぴったりで。

さと 私は全然音楽を聴かない人間なんですけど、「fragile」だけは(オリジナルがリリースされた)当時すごく聴いていて。だから「え? なんで私が好きな曲を知っているんですか?」ってびっくりしました(笑)。この曲が作品のテーマに合っているというのも、自分では分からないんですけど、当時の私の中に何か引っかかるところがあったのかもしれないなと。

――OPアートも不思議な印象がありました。

寺田 作品の世界観がにじみ出ている素敵な絵ですよね。小川(充子)さんという方に描いていただきました。佐藤監督から「OPは小川さんの1枚絵を使うのはどうか?」という話がありまして。また撮影の口羽(毅)さんも、OPに関しては「撮影演出」というクレジットになっていて、映像としてのアイデアを色々と付け加えてくださっています。

さと OPもですけど、アニメでの2人のシーンは青いイメージがありますね。

――本編全体としても落ち着いた色味が多い印象です。

寺田 色彩設計の岩井田(洋)さんも、最初にお話したときに「この作品はビビッドな感じではなく落ち着いた色味にしたい」とおっしゃっていたのですが、出来上がりを見ても作品にぴったりで、素敵だなと思いました。

――作品を見ている人は、きっと森谷と村上のどちらかに自分を重ねると思います。

寺田 見る方の時期によっても違うと思うんですよね。「昔は森谷みたいだったけど、今は村上みたいなところもあるから、両方の気持ちが痛いほどわかる」とか。

さと 村上は美少女を演じているんですよね。小さいころに「(ドレス姿が)似合うねぇ」と叔母に言われたように、誰かに言われた"自分"をつくっている。それが嫌で服を脱いでいると思うんです。私的には、村上はこの後ショートカットにするんじゃないかと。村上さんがショートになっちゃうと嫌な人もいるかもしれないけど(笑)、村上さん的には切りたいんじゃないかなと思いますね。

寺田 髪は染めるんですかね?

さと 染めるかもしれませんね!

寺田 森谷も、村上も、0か1の極端な人だと思っていて。「うまくいかないから誰とも関わらない」か「全員とうまくいかないといけない」という極端な2人ですが、別にひとりだけでも自分を理解してくれる人がいればいい、そういう生き方もあるんだ、ということが、「フラグタイム」を通して伝わればいいなと思っています。コミュニケーションに疲れている方、ちょっと人間関係に疲れている方に、ふらっと見に来ていただきたいです。

さと 私はやっぱり、学生の方に見てもらえるとうれしいですね。学校での人間関係がうまくいかなくてつらかった、学生のころの自分に向けた漫画でもあるので、ぜひ中高生くらいの閉塞感を感じている方たちに見てもらえればなと思います。

劇場OVA「フラグタイム」より
劇場OVA「フラグタイム」より
(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会

劇場OVA「フラグタイム」より
劇場OVA「フラグタイム」より
(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会

劇場OVA「フラグタイム」より
劇場OVA「フラグタイム」より
(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会

劇場OVA「フラグタイム」より
劇場OVA「フラグタイム」より
(C)2019 さと(秋田書店)/「フラグタイム」製作委員会

【商品情報】

■商品名

Vol.1:「フラグタイム」設定資料集Vol.1~原画集~

Vol.2:「フラグタイム」設定資料集Vol.2~絵コンテ集~

Vol.3:「フラグタイム」設定資料集Vol.3~アフレコ台本~

※商品の収録内容は変更になる可能性もございます。予めご了承ください。

■仕様

B5サイズ/ページ数未定

※ページ数は決まり次第発表いたします。

■販売価格

各税別3100円

■品番

Vol.1:BRZP.07205

Vol.2:BRZP.07206

Vol.3:BRZP.07207

■発売日

2020年3月31日(火) 予定

※全巻同時発売

※本日12月27日(金)よりポニーキャニオン通販サイト「きゃにめ」にて受注開始

※なお本商品の利益の全額はスタジオ破産により制作費が正しく届かなかったスタッフに還元されます。

【取材・文:仲上佳克】

【劇場公開概要】

2020年より以下劇場にて期間限定で追加上映決定

小山シネマロブレ 1/18~1/31

イオンシネマむさし村山 2/14~2/20

イオンシネマ幕張新都心 2/14~2/20

イオンシネマ熊谷 2/14~2/20

イオンシネマ守谷 2/7~2/13

T・ジョイ長岡     2/14~2/20

イオンシネマ松本 2/7~2/13

イオンシネマ名古屋茶屋 2/14~2/20

イオンシネマ岡崎 2/14~2/20

イオンシネマ四條畷 2/14~2/20

イオンシネマ西大和 2/14~2/27

T・ジョイ出雲     2/7~2/20

イオンシネマ徳島 2/7~2/13

T・ジョイリバーウォーク北九州 2/14~2/20

T・ジョイ久留米 2/7~2/20

イオンシネマ熊本 2/7~2/13

T・ジョイパークプレイス大分 2/14~2/20

【追加入場者プレゼント】

原作さと描き下ろし漫画「放課後のふたり」

<画像有>

★原作さとが本編後のふたりを描き下ろしたスペシャルエピローグ漫画!

※先着特典となります。数に限りがありますので予めご了承下さい。

リンク:「フラグタイム」アニメ公式サイト

    「フラグタイム」上映館情報詳細

    公式Twitter・@fragtime_anime