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“今の筋肉は「ガンヘッド」のころ以上のものになっているかもしれない”髙嶋政宏 ロングインタビュー(後編)

2018年7月号にて、通算400号を突破した「月刊ニュータイプ」。その表紙に登場した唯一の日本人俳優、髙嶋政宏さんへのロングインタビューの後編です。お話は「ガンヘッド」から「ZIPANG」、そして最新出演作「俺の骨をあげる」へと至ります!

――言い方といえば、「ガンヘッド」のセリフ回しは少し特殊ですよね。

髙嶋:原田監督は、変に強調したり、固有名詞を際立ててしゃべることを極度に嫌うんです。これは今でもそうですね。だから、英語のようにしゃべってほしいと言われてました。でもプロデューサーのひとりが、そんな流れるような言い回しは絶対にダメだと。それでテレビ放送するとき、急にアフレコで全部入れ替えることになったんです。その方は、ずっと気になってたんでしょうね(笑)。

――それが幻の「水曜ロードショー」版なんですね。今となっては鑑賞することが難しいバージョンではありますが、豪華な声優陣が外国人キャストのセリフを吹き替えていたり、これはこれで物語が理解しやすくなってるとファン人気も高いんですよ。

髙嶋:なるほど。あの、何のわだかまりもなく英語と日本語を交互にしゃべるところがおもしろくもあるんですけどね。でも僕のセリフに関しては、まだデビューしたばかりの新人で聞き取りづらかったと言われても仕方ないかな(笑)。そういえば、あれほど抑揚をつけるのを嫌う原田監督が、コクピットの中でだけはそれを要求してきたんですよね。だから「いかにも」なセリフ回しになってると思います。

――先ほど、少しだけ話題に挙がった「ZIPANG」についてもお話を訊かせてください。あの作品もまた、「ガンヘッド」に負けず劣らず志の高い作品でしたよね。

髙嶋:あれも初めてづくしだったし、やっぱり残ってますよね。最初の立ち回りが、30分も続くじゃないですか。あれを見て、東映のプロデューサーが「新・極道の妻たち」にキャスティングしてくださったということもありました。

――林海象監督といっしょに脚本を手がけた栗田教行さんは、のちに直木賞もとられてます。

髙嶋:あっ、そうなんだ! それに特殊メイクとして、江川(悦子)さんといっしょに辻一弘さんも入られてましたね。こないだチャーチルの映画(「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」)で、アカデミー賞をとられた人です。で、衣裳が伊藤佐智子さん。「地獄極楽丸」の衣裳を作るためにフィッティングして、布が決まったと思ったら、それを土の中に埋められててビックリしましたよ。1か月後に掘り起こして、その生地から衣裳を作るんだと。伊藤さんとは大河ドラマとかでもごいっしょすることがありますし、「ガンヘッド」や「ZIPANG」をやってた人たちとは、今でもしょっちゅう会いますね。

――今となっては、本当にそうそうたるメンツですよね。

髙嶋:ええ。林海象監督は当時、絶対に「ZIPANG2」をやるとおっしゃってました。最初の1カット50人斬りに対して、今度はひとりを斬るのに100カットを費やすんだと(笑)。他にもいろいろと構想はあったんですけど、あれも当たらなかったですねぇ。当時、東宝の人からも、どうして最初の30分のトーンで最後までやらないんだと叱責されましたよ(笑)。あの地獄極楽丸の立ち回り、1か月も撮影してましたから。「ガンヘッド」も、コクピットだけで1週間やってましたけど。

――もしかしたらご存じかもしれないんですが、「それでも町は廻っている」という人気コミックに、主人公が見たがる新作映画が出てきまして、そのタイトルが……。

髙嶋:「ガンヘッドVS地獄極楽丸」!? (笑) これはすごい、最高ですね! 作者の人に会いたいなぁ。この漫画、おもしろいですか?

――ムチャクチャおもしろいですよ。

髙嶋:よし、買おう。東宝の人からも、いい漫画があったら教えてくれと言われてるんですよ。今ね、僕自身が出る・出ないにかかわらず、映像化に絶対携わりたいと考えている漫画が「シグルイ」なんです。民放から映画の制作陣まで、みんな口頭で説明するとおもしろがって、その場で注文までしてくれるんだけど、いざ届いたものを読むと尻込みしてしまう。ただ、あれを小学生でも見られるようにすると、全然おもしろくなくなっちゃうじゃないですか。「ゲーム・オブ・スローンズ」みたいな血みどろ路線でやれたらと思うんですけど、ちょっと今の日本では無理かもしれない。まぁ、ひとつの夢ですね。

――Netflixオリジナルみたいなラインであれば、実現可能かもしれないですね。

髙嶋:そうだ、Netflixですよ! 「アウトサイダー」でしたっけ、ジャレッド・レトが出演していたのは。でもまぁ、「ガンヘッド」もハリウッドの俳優を連れてきてやってましたからね。今やろうと思ったら、どれくらい予算が要るんだろうって感じですけど。

――髙嶋さんも出演されていた「HiGH & LOW」シリーズみたいに、金に糸目をつけないスタイルでやって欲しいです!

髙嶋:HIROさん、「ガンヘッド」にもお金を出してくれるかな(笑)。あれから一時代巡って、「ブレードランナー」も続編が作られたことですし、「ガンヘッド2」……は権利関係が難しいかもしれないけど、そういったものがつくれたらいいですよね、僕も、また「ニュータイプ」さんに取材してもらえるような作品に出たいと思ってますよ。

――期待してます! 最後に、髙嶋さんの最新出演作についてもうかがえますか?

髙嶋:劇団鹿殺しの「俺の骨をあげる」という舞台に出演させていただくことになってます。僕はもともと、劇団鹿殺しの大ファンだったので、そこから声をかかったことがうれしかったですね。しがないプロレスラーの娘の話なんですけど、血と汗と涙と笑いに満ちた奇想天外な舞台になりそうなんですよ。で、僕はそのレスラーの役で、しかもマスクマンなんです。ついに覆面レスラーとしてデビューすることになっちゃいましたよ(笑)。ただ、さえないとはいえレスラーだから、カラダは鍛えておかないといけない。やっぱり腕の太さとかが勝負になってくると思うんです。たぶん、「ガンヘッド」のときよりもスゴいことになってますね! とにかくぶっ飛んでる作品です。いろんなアニメとも相通ずる作品世界だと思うので、「ニュータイプ」を読んでる皆さんなら絶対ハマると思います。ぜひ見にきてください!

【取材・文:ガイガン山崎】

劇団鹿殺し ストロングスタイル歌劇「俺の骨をあげる」
【東京公演】8月15日[水]~19日[日] サンシャイン劇場

リンク:「俺の骨をあげる」公式サイト

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