新作&おすすめアニメのすべてがわかる!「月刊ニュータイプ」公式サイト

rssボタン

架空のアニメは地球と火星を舞台にした群像劇――岡本麻弥の自主企画プロジェクトインタビュー【後編】

2017年04月29日 13:56配信
架空のアニメは地球と火星を舞台にした群像劇――岡本麻弥の自主企画プロジェクトインタビュー【後編】

岡本さんが彩弧由貴を演じた「サイレントメビウス」の原作者である麻宮騎亜さんが描き下ろしたCDジャケットイラスト

(C)雷神八系-ZANAM- ファム・ファタール製作委員会

声優の岡本麻弥さんが架空のアニメ「雷神八系-ZANAM- ファム・ファタール 運命の女」をプロデュースし、主題歌「Rise and Fall」や挿入歌「カゼノオト」を歌う自主企画プロジェクト。アニメの内容について聞いた前編に続き、インタビュー後編では楽曲のことを中心に聞きました。

――アニメ「ファム・ファタール」の設定はとても興味深いですね。その主題歌と挿入歌を岡本さん自身が歌い、挿入歌は作詞も担当されています。

岡本:実は私が言い出したのではなく、すでに決まっていたんですよ。岡本麻弥の自主企画と言っていますけど、私は鵜飼いの鵜か猿回しの猿に近いです(笑)。「これも私がやるの?」ということまで本当に全部やっています。作詞に関しては、Dさんが厳しくて「こことここを直して」と言ってくるんですけれど、そこだけ変えるのはできないから、一度バラバラにして作り直したんです。しかも私は楽譜が読めないから大変で…。夜中にDさんと電話しながら何日も徹夜して書きました。でもその結果、手前みそで恥ずかしいですけど、レコーディングの帰りにRUCCAさんから「カッコよかった。とてもよかったです。」って褒めていただいて、ホッとしました。

――90年代のアニメを髣髴とさせるような要素や言葉が入っていて、雰囲気を感じます。

岡本:そういう言葉を敢えて使っている部分はあります。歌詞の中で「水」や「火」を使っているのは、わりと泥臭くなるように考えてです。今、ネットの時代になって、何が正しいのか判別しにくい時代だと思うんです。単純な「光と闇」「善と悪」ではなく、その中間の、自然にある事象を使いたいという思いがあったからなんです。そこに人が生きていくっていうのはどういうことだろうって、考えをめぐらせてほしくって。

――RUCCAさんの歌詞ともテーマ性や統一感がしっかりしていますね。

岡本:そうなんです。RUCCAさんの歌詞から新たなストーリーが作れるなと思っているぐらいなので、これは運命の出会いだったんだと思います。といっても、RUCCAさんの方が今っぽくてオシャレですけどね(笑)。

――メロディ的に言えば、「Rise and Fall」は90年代の雰囲気を入れつつ現代風に昇華しているイメージです。

岡本:30代以上の方はもちろん、若い方にも面白がってほしいなと思って。イメージは90年代のアニメ風でしたけど、「(作曲の加藤)慶くんが格好いいと思う感じにしてね」と作曲のお願いをしていたんです。それでできた楽曲をラジオで聴いてもらったら、お世辞半分だとしてもTwitterで中学生や高校生が「すごく良いです」と反応してくれたんです。今の若い子たちって、結構昔のアニメを見たり求めていたりするんですよね。これだけの字数が入ったオープニング曲って当時はなかったので、そういうところは今の良さもあると思います。

――レコーディングはどうでしたか?

岡本:正直、時間がなかったです(笑)。普段は仮歌をもらってから時間をかけて練習してレコーディングに挑むのですが、今回は仮歌をもらってから本当に時間がなくて。決められた時間の中でチーム全員で全力で駆け抜けた感じです。でも、前日にはコテカナちゃん(小寺可南子さん)がレッスンに来てくれたり、当日もスタジオにきてくれたりして、豪華なレコーディングになりました。コーラスもコテカナちゃんがやってくれたんですよ。

――「カゼノオト」は挿入歌でありキャラクターソングでもあります。どういうシーンで流れるイメージなのですか?

岡本:どこかカタルシスにいくような曲が欲しいと思っていたので、戦いの中でふっと流れるイメージでしょうか。綺麗な曲が流れながらガーッと戦うのってすごく格好いいじゃないですか。(戦いのように)刹那を生きるようなシーンでかかるのが嬉しいなと思います。

――歌い方としては、勢いよりも言葉を大切にしている印象を受けました。

岡本:私たちは役者なので、役者としてできることがあるとしたら、やはり「表現すること」なのかなと思いながら歌っています。ライブで歌う時も主人公のカノンとして立って歌えたらいいなって。

――根本的なことに戻りますが、この企画はなぜ「今」だったのでしょうか?

岡本:今、私たちの世代の声優はアニメの出演機会が限られているじゃないですか。若い子たちだけで作ることが多くなって。男性は渋いおじさん枠があるけど、女性のおばさん枠はまた別のカテゴリーなんです。でも、宝物のような方はまだまだいっぱいいるからもったいないです。「雷神」の由来は「Rising」から来ているんですが、そこには「このまま人生をしまっていくのではなくて、また上がっていこうよ!」という私自身の気持ちも込められているんです。

――最近の若い声優さんを見て率直にどう思いますか?

岡本:門戸が開いて、声優になりやすくなってはいるけれど、使い捨てみたいになってしまうのは可哀想だなと思います。一人前になるのが不安でしょうがない子も多いと思うんです。お試し期間が終わったら消えちゃうんじゃないかって。あと、同じ喋り方をする方が多いとも感じていて。それって、現場に中堅やベテランが少ないからなんです。若い子たちだけの現場は楽かもしれないけど、もうちょっと中堅やベテランが入る現場が増えて、その方々の積み上げてきた技術や経験、知恵などが、若い子たちの今の感覚と融合したらもっといいアニメができるんじゃないかと思います。私もまだ先輩の背中が欲しいですし、逆に若い子から学べるところは学びたいです。

これが正しいということはないと思うんです。時代背景が違えば言葉遣いも日本人の在り方も変わってきていますし。でも、ただ迎合するだけじゃなくて「自分がどうありたいか」「どう生きたいか」を考えることはすごく大事だと思っています。現実がこうだから仕方ないと諦めるのはつまらないですからね。私が今、90年代のアニメの主題歌を歌って、なかった過去を未来に新しく作るのは、そういう風に皆さんに生きてほしいという願いも込められています。

――岡本さんが役者として意識していることがあれば教えてください。

岡本:私は演技プランを考えたことがないんです。その瞬間にセッションのように生まれたものの方が、自分でも思いもかけない音が出ることがあって面白いんですよ。自分の手札だけで料理をするよりも、知らない食材や調味料にどんどん触れていけたら面白い料理ができるんじゃないかなって。この作品もそうやって出来上がっていますので、CDに触れていただいて、「岡本麻弥はまだ成長してるじゃん」と思ってもらえたら嬉しいです。

――最後にメッセージをお願いします。

岡本:4月30日の「M3」でこのCDを先行頒布します。まずはそこで完成した楽曲をぜひ聴いて、楽しんでいただきたいです。そして、ぜひ興味を持っていただいて、TwitterをフォローしていただいたりWEBラジオを聴いていただけると次の山にも登れると思います。ぜひアニメを世に出したいと思っていますので、よろしくお願いします!【取材・文=千葉研一】

■取材協力

Cafe.picnic(代田橋)

住所   :東京都世田谷区大原2-18-5 2F

facebook:https://www.facebook.com/Cafepicnic-442016335887666/

リンク:プロジェクト公式サイト