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フィギュアの出来を左右する、こだわりの彩色技術とは

2015年09月16日 12:14配信
フィギュアの出来を左右する、こだわりの彩色技術とは

並べるだけでとても華やかな「アイドルマスターBD/DVDジャケットイラストシリーズ」

リリースされるごとに「アイドルマスター」ファンの間で話題を呼んでいる、フィギュアメーカーのファット・カンパニーによる「アイドルマスターBD/DVDジャケットイラストシリーズ」。アニメBD・DVD用に描かれたジャケットイラストを極めて高いクオリティで立体化しているのが評判の秘密ですが、それには原型師の間崎祐介さんによる緻密な原型とともに、“彩色”も大きく寄与しているとのこと。

そこで今回は、ファット・カンパニーの彩色担当の高山英樹さんと企画担当のタカマツさんから、「アイドルマスターBD/DVDジャケットイラストシリーズ」の彩色について話を聞きました。フィギュアの風合いや印象を決定づけ、商品としての生き死にを大きく左右する彩色のこだわりとは――。

■細部ではなくトータルで最高得点を

――高山さんが「アイドルマスターBD/DVDジャケットイラストシリーズ」を手がけるまでの経緯はどのようだったのでしょうか。

高山:そこまで古参ではないにしても、アイドルマスター好きでゲームもやっていました。それで「ウチでもアイマスやりたいね」と話していたところ、タカマツが門戸を開いてくれて。自分も携わることになってからは想いを込めてこだわれました。

――どういうところをこだわられたのでしょうか。

高山:工場での彩色作業では、基本デコマス(デコレーションマスター/工場彩色見本)から引き算されていきます。デコマスのクオリティのまま商品が出せるのが理想ですけど、それはなかなか難しい。それでも相当頑張ってくれていて、デコマスと商品で第一印象がほとんど変わらないものになってます。例えば響の髪の毛の色ですね。工場では2~3色が限界ですが、僕の塗装段階で5~6色使って独特の紺色を再現しています。工場の生産技術の向上に寄与するという名目でデコマスは120点で仕上げて、製品の100点を目指す。その結果、コストパフォーマンスがかなり高いシリーズになりましたが、代表にはえらく怒られました(笑)。

――高山さんから見て間崎さんの原型はいかがですか?

高山:イラストの雰囲気がよく再現されていますよね。細部ではズレるところもありますが、イラストを見た時の第一印象とほとんど変わらない。分割もすごく計算され尽くしているので、実際に塗りやすいんです。

原型師の間崎祐介さん:できる限りきれいに塗ってもらうために、分割は塗り手を意識して作っていますね。原型師の個性が出るところでもあります。

高山:それが複製段階で非常に活きてくるんです。型も作りやすいし、きれいなキャスト(複製品)も生み出しやすいので塗りやすい。それでいて生産もしやすくなる。すべてにおいてメリットが生まれるんです。

タカマツ:原型師には完成図がうまい人と組み方がうまい人がいるんです。だいたいどちらかにあてはまりますが、間崎さんはどちらも優れているんです。

高山:優れた立体キャンパスというか、気持ちよく、しかもいかんなく力を発揮しやすいですね。

――製品段階まで活きている“こだわりの色”はありますか?

高山:本生産の前に工場で着色したものを一度こちらで徹底チェックしていますから、こだわりはずいぶん活きています。貴音の髪の毛で透明度の高い部分はクリアパーツを複製したものに色を付けて半透明処理をしていて、それも工場でやってくれている。それに基本的には高純度の五原色(赤・青・黄・黒・白)からほとんどの色を作っています。それによって雑味のない色になるんですが、ここら辺のこだわりは工場でもしっかり再現されていますね。

――なるほど。

高山:響の髪の毛は結構大変な色で、以前別の作品で作っておいたレシピを元にしました。五原色では作れなくて、蛍光やクリアカラーなどの染料を混ぜないと作れないんです。

――印刷の特色(蛍光色やメタリックカラーなど)と一緒で出すのが難しい色ということですね。この色作りというのは、どのように工夫されるのでしょうか。

高山:まず元イラストや紙に出力したものを見て、その色を見ながら不要な白いキャストなどに塗って試します。それから目の錯覚を考慮してアドリブを入れていくんです。例えば響だと、髪の毛の紺と肌色が隣り合っていると、肌色が白っぽく見えてきちゃうので肌色をちょっと濃くしたり、紺色を抑えたり、隠し味にオレンジを足したり。

タカマツ:部分の再現性よりトータルで見た時の違和感をなくしていくことが大切ですね。

高山:その中で最高得点をたたき出せるような引き出しの多さが求められます。

――高山さんはどのような照明環境で作業をされるのでしょうか。

高山:以前フリーでやっていた頃は、仕事をよく振って下さる方の事務所の色に合わせて、自分の工房の照明を調整していました。写真撮影用の商品の場合は強い光で色が飛んでしまうのでグラデーションを濃いめに入れています。だいたいは2体作って、1体は営業用、1体は撮影・工場用と塗り分けますね。

――765プロが全13体プラス小鳥さん。現在第7弾の萩原雪歩まで発表され、シリーズも折り返しを過ぎました。

タカマツ:いろいろなことが重なって、ここまで来た感じです。造形・塗装に文句の付けようがないのはもちろんですが、時代の流れがうまく来てくれましたね。

高山:弊社としてもいい調子で大変ありがたいです。最初はどうなるかわかりませんでしたし、長い目で見ないとどこで好転するかわからないですね。

タカマツ:ここにあぐらをかかないで、きっちり1体1体作っていかないと。

――シリーズを完走したあとは「シンデレラガールズ」のジャケットイラストシリーズも…という話も出てくるのでは?

タカマツ:もちろんやりたいです。別のラインですが「ミリオンライブ」でも、もっと多くのアイドルを作っていければと思っています。