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日本アニメ(ーター)見本市 資料集発刊記念トーク&サイン会後半戦に本田雄と沖浦啓之が登場、「アニメ(ーター)海の家 @ 渋谷2.5D」作画語り編

2016年08月17日 15:49配信
日本アニメ(ーター)見本市 資料集発刊記念トーク&サイン会後半戦に本田雄と沖浦啓之が登場、「アニメ(ーター)海の家 @ 渋谷2.5D」作画語り編

「アニメ(ーター)海の家 @ 渋谷2.5D」の様子

スタジオカラーとドワンゴが贈る短編アニメシリーズ「日本アニメ(ーター)見本市」、その関連本が発売されることとなり、参加クリエイターが出演する「アニメ(ーター)海の家 @ 渋谷2.5D」が開催されました。

第2回目のゲストは、「作画語り」として「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可」(以下、西荻窪)の監督・本田雄さん(原案・キャラクターデザイン)と原画の沖浦啓之さんが登場。沖浦さんは、「日本アニメ(ーター)見本市」では「旅のロボから」の原案・監督を手掛けています。2人は世代も近く、同じ作品に関わっていることも多いため、作品から外れたざっくばらんな話題が多いイベントとなりました。なお、司会は前半に引き続き、「西荻窪」で制作進行を担当した里見かなさんが務めました。

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まずは里見さんが、本田さんから作画の上がりを受け取るときに「井上俊之検定」を受けさせられるという話を暴露するところからトークは始まりました。その「検定」とは、動画を見て、その中から井上さん(「西荻窪」にも参加)が担当したカットを当てるというもの。里見さんはなかなか当てられず苦労していたのだとか。

「(井上さんの絵が)分からないなんて、一体何を見てるんだ(笑)。井上さんの特徴は……手と洗練された線ですよ。井上さんと沖浦さんの絵を見分けるのは……俺も微妙なところがあるけど」(本田)

「ずっと同じ仕事(作品)をしているから、分かりにくいかもしれませんね。ただ、井上さんは学生のころから上手で、年々パワーアップしているけど絵は意外と変わっていない。僕は参加する作品ごとにどんどん絵柄が変わってきているから…」(沖浦)

「たしかに『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(沖浦さんはキャラクターデザインで参加)と『人狼 JIN-ROH』(沖浦さん監督作品)ではだいぶ絵が違いますよね」(本田)

「『攻殻』は黄瀬(和哉)氏(作画監督)が描くことを意識したのと、押井(守)さん(監督)の描くドラマの内容に(キャラデザを)あわせようと思ったから。士郎正宗さんの絵はその前のOVA『ブラックマジック M-66』のときにいっぱい描いたし、同じことをやっても仕方がないのかなと」(沖浦)

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続いて2人の話題は、キャラクターデザインの話に。沖浦さんは、本田さんが「西荻窪」で「少女漫画風」というモチーフをもってきたことにおもしろさを感じたのだとか。

「僕は自分で意識して作ったスタイルの絵がないですからね。キャラクターデザインのテーマを『少女漫画風』にしたのも、裸の女の子が走り回る絵が下品にならないようにということもあったかな」(本田)

「それっておもしろいなと思う。何をやってもいいんだから、自分の絵でやりたいという人が多いと思うんだけど……。師匠(本田)はどんな絵でもオールマイティに描ける人なのに、あえて自分に制約をかけている」(沖浦)

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そこで、沖浦さんが本田さんに質問。本田さんの絵は柔らかい絵が特徴だが、リアルな絵柄も描ける。どういう順番でその絵柄を獲得していったのか――。沖浦さんは、本田さんの絵に初めて注目したときの思い出を振り返りながら、その変遷を尋ねていきました。

「OVA『バブルガムクライシス』第8話で師匠のカット(原画)があるでしょ? 女の子の顔はかわいらしく崩して描いてあって、さらに、動きに飛躍があってすばらしいなと思っていたんです。そのあと『バオー来訪者』(本田は原画)を見たら、リアルなタッチで。これはどっちの絵が本当の師匠なんだろうと」(沖浦)

「(作業の時系列的には)『バオー』のほうが『バブルガム』よりも先かな。『バブルガム』は絵コンテの絵にだいぶ順じているんです。でも、リアルな絵はずっと意識していましたよ」

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 本田さんが本格的にリアルな絵へ興味をもったのは、沖浦さんが監督していた「人狼 JIN-ROH」だったそうです。

「それまで、今で言う萌え系の絵をずっと描いてきて、写真を見ながら描くことをやりたいなと思っていて。まさに『人狼 JIN-ROH』のリアルなんだけど簡略化した作画が俺のやりたかったことだったんですよ」(本田)

「ああ、それは嬉しいです。そのあと『千年女優』をやる(キャラクターデザイン・作画監督)でしょう?」(沖浦)

「『千年女優』は『人狼 JIN-ROH』をそのままトレースした感じでやりたかった。まあ『千年~』は女の子が主人公だったから多少華やかにしたけれど(笑)」(本田)

残念ながらここで時間切れ。このイベントに来場したファンは2人の会話をもっと聞きたいと、名残惜しそうにしていました。沖浦さんの洗練された絵と、本田さんのリアルな絵と柔らかい絵、「何でも描ける」2人のアニメーターの実力が「西荻窪」で楽しめる。ぜひ、絵とアニメーターに注目して、関連本を読んでみてください。