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「Fate」シリーズ初のスマートフォン向けRPGとして配信中の「Fate/Grand Order」から、「Fate」シリーズの生みの親とも言える奈須きのこさんがシナリオを担当した第六章の舞台化が実現しました。
【第五特異点までの定礎復元を果たしたマスター・藤丸立香やマシュ・キリエライトたちが、第六特異点となる「あってはならない歴史」になりつつある1273年へ向かい、獅子王と円卓の騎士に挑む――】
7月14日(金)から17日(月)にZeppブルーシアター六本木で行なわれ、9月にも公演を控える舞台「Fate/Grand Order THE STAGE -神聖円卓領域キャメロット-」にモードレッド役として出演する甲斐千尋さんに作品への思いを聞きました。
――最初にお話を聞いたときはどんなお気持ちでしたか?
甲斐 最初はマネージャーさんからの電話だったんですけど、どっちかの電波の調子が悪かったみたいでうまく聞き取れなくて。で「詳細送るね」って言われて、送られてきたメールを見てびっくり(笑)。「え、『Fate』じゃないですか?!」って。「Fate」シリーズは学生のころからTVアニメも見ていて、映画も見に行ったことがあるくらい好きだった作品だし、すごくうれしかったですね。
――TVシリーズですね。
甲斐 そうです。TVシリーズでは「Fate/stay night[Unlimited Blade Works]」も好きですけど、特に「Fate/Zero」が好きで、何回も見ました。
――好きなシリーズということもあると思い入れもありそうです。
甲斐 決まったときのうれしさはひときわあったかも知れないですね! とは言っても出演させていただく作品ごとにそれぞれの重さがわかってくるので、毎回稽古に入るまでのプレッシャーは大きくて、今回も稽古前まではすごく不安でした(笑)。事前準備はできるだけしておきたいので、今回も舞台が決まってすぐに「FGO」を始めて。携帯ゲームをやる習慣がそれまでなかったんですけど、やり始めたらすごくおもしろくて毎日深夜までやってました(笑)。
――やはりハマったんですね。元々「Fate」シリーズも好きだから。
甲斐 そう(笑)。すごくストーリーもしっかりしてるし、ボリュームもたっぷりで。ただアプリゲーム慣れしてないせいで敵サーヴァントに勝てないということもありながら、たのしくやらせていただきました。
――難易度は低くないですからね。ちゃんと自分のサーヴァントを育ててないと勝てません。
甲斐 敵、強いですよね(笑)。しかも、引きが弱いのでいいサーヴァントがいないんです(笑)。
――今、星5はいますか?
甲斐 いないです……(笑)。出なくて……。星4がチラホラいる程度、という感じだから倒せないんです(笑)。それから令呪の存在をこないだやっと知りました(笑)。1回負けても復活できる令呪があるって気づいて。これを使ったら……あれ、ガウェインを倒せた! みたいな(笑)。
――星5をおもちでない状態でガウェインを倒すというのは結構大変ですよね。
甲斐 そうですね、ガウェインがいちばん苦戦しました。
――舞台「Fate/Grand Order THE STAGE -神聖円卓領域キャメロット-」のお話に移らせていただきます。特異点を5つクリアしているマスターたちが挑む新しい特異点ということと聞いています。
甲斐 今回の物語は難易度EXという高難易度のステージ、第六特異点を舞台にしています。ベディヴィエールを中心に描かれるのですが、彼は獅子王を止めるために聖都の近くに身を潜めていました。そこに現れた藤丸立香やマシュたちは、聖都で行なわれた“聖伐(せいばつ)”後の“聖罰(せいばつ)”を目の当たりにして、人々を助けに飛び出します。それを見たベディヴィエールも立香たちに助太刀をして、いっしょに獅子王の元に行く、という物語です。
――甲斐さんの演じるモードレッドはどういった役どころなのでしょうか。
甲斐 獅子王に使える円卓の騎士のひとりで、ベディヴィエールやマスターの立香、マシュからすると一見、敵というか倒さなくてはいけない相手です。実際荒々しくて残虐な部分もあるので、敵と見えるかもしれないんですけど……、という存在ですね。
――モードレッドは男ことばを使う役ですが、演じる上で意識したことなどはありますか?
甲斐 やっぱり、ふだんなかなかしないことば遣いなので、最初は「自然に演じれるかな?」という不安はあったんですけど、今は逆に日常生活に侵食してきて、荒っぽく、ことば遣いも悪くなりつつある感じです(笑)。
――日常的に役作りは意識しているんですね。
甲斐 そうですね、例えば稽古場で座ってるときには、じゃあ普通に座るんじゃなくて胡座かこうとか。そういう男っぽさといか、モードレッドに近づくような体で自然になくてはいけないという意識があるので。
――他に今回新しく意識していることなどありますか?
甲斐 脚本と演出を担当される福山桜子さんが、顔合わせがはじまる前から事前ワークショップを開いてくださったんです。そこで演技の基礎的な“芝居とは”というところから、「こう考えてアプローチをかけていったら、もっと自分の中に(役や感情が)落ちていくよ」ということをいろいろと教えていただいて。これまでやってきたことでも、改めてことばにしていただいたことで、新しくまた挑戦という感覚で取り組めています。
――福山さんからのことばで印象に残っている物はありますか?
甲斐 「感情は湧くもの」ですね。これまでもそう思ってなかったわけではないんですけど、改めてことばにされたときに、すごく腑に落ちたんです。そのためにじゃあ何をしていかなきゃいけないのか。
――表面的な振る舞いではなくて、毎回同じように感情を湧かせるというのは簡単なことではない、ということですね。
甲斐 そうですね。今、それをみんなが稽古で必死にやっているところですね。今回は私自身、役者としての新しい試みもありますし、剣殺陣も初挑戦です。父上を思いながら自分の正義を貫いて戦うモードレッドを、「FGO」の世界観を大切にして演じたいと思います!
【取材・文:細川洋平、撮影:田上富實子】
【甲斐千尋プロフィール】
●かい・ちひろ/’90年1月23日生まれ。主な出演舞台に、『「ROCK MUSICAL BLEACH」~もうひとつの地上~』朽木ルキア役 『「終わりのセラフ」 The Musical』柊シノア役 など。2017年8月、『テイルズ オブ ザ ステージ-最後の預言(ラストスコア)-』への出演を控えている