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「楽しい」が詰まったエンターテイメント! 三森すずこライブ2017レポート

9月2日(土)、9月3日(日)、幕張メッセイベントホールにて、三森すずこさんによる「Tropical Paradise Mimori Suzuko Live 2017」が開催されました。本稿では、初日である2日(土)の公演をレポートします。

恥ずかしながら三森すずこさんのライブは今回が初めての体験となる筆者。「三森すずこさんのライブは、普通のライブとちょっとちがう」ということだけは聞いていたものの、実際にどんなステージが行われるのかドキドキしていました。会場が暗転すると、重々しい英語のナレーションとモニターのテロップにより、今回のライブがどんな設定であるのかという説明がなされます。どうやら三森さん扮する人魚の姫“みもりん”が、人間に変身できる一年に一度のトロピカルムーンの日に、こっそり人間界に遊びに行く……という話です。

深海をイメージした光と音の効果で、幕張メッセイベントホールがだんだんと海の中であるかのように思わされていきます。そしてステージ上に鎮座する巨大な二枚貝が開くと、ボッティチェリの名画『ヴィーナスの誕生』のごとく人魚の姫“みもりん”がそこにいました。

1曲目『ドキドキトキドキトキメキス』(※)が始まると、泡に見立てたシャボン玉がステージから会場に向かって大量に放たれます。観客席は泡でいっぱいに。アリーナ席にいた人たちにとっては、泡の向こうで三森さんが歌っているようにも見えたのではないでしょうか。(※本来の表記では末尾にハートマークが入ります)

3曲目『サマーバケーション』では、巨大な5つのビニールボールが客席へと投げ込まれます。何も説明がないなか直感でどうすればいいか理解した観客たちは、自分たちの頭上にきたボールをまた跳ね上げ、うしろへうしろへと流していきます。この光景を見たとき私は、これはただのライブではなく、ミュージカルのような、ショーのような、他では味わえないオンリーワンのエンターテイメントなんだと実感しました。観客席までをも巻き込んだ舞台芸術。ただただ「楽しい!」という感情でいっぱいになっていきます。

さらに、うろこを表現したドレスをまとった三森さんは、あくまでも人魚の姫みもりんとしてのトークに終始します。観ているこちらも三森すずこさんのライブというより、人魚の姫が海の仲間たちと歌って踊っているんだという気持ちにすっかりなってしまっています。

楽曲ごとにストーリーは進みます。

人間界への秘密の抜け道を見つけた人魚の姫みもりんは『ミライスタート』を歌いながらトロッコに乗ってアリーナを一周、中央に設置されたミニステージへと移ります。すると突然、大量のスモークが人魚の姿を覆い隠します。煙が晴れたときには、なんと衣装チェンジした三森さんが。ひと目見て「人間に変身したんだ」とわかる、緑のスカート姿になっていました。それから人間たちのパーティー会場へ行き、『WONDER FLIGHT』でメイドダンサーたちとお掃除風ダンスを披露したり、『TINY TRAIN TOUR』を歌いながら人間の女の子たちと楽しく遊んだりします。10名以上のダンサーたちとのパフォーマンスはまさに圧巻。まるでブロードウェイのようです。

その後、月を隠そうとする雲を吹き飛ばすために歌うシーンでは、新曲『Colorful Girl』を初披露しました。間奏ではMIMORIN BRADE(ペンライト)の色を順番に変化させる「カラフルタイム」と称されたコール&レスポンスで会場との一体感を獲得。さらにそれが雨上がりの虹のようになり、雲が晴れたことが表現されます。暗雲を吹き飛ばし、パーティーは再開。数曲を披露します。

そうこうしていると海に帰るように呼びかける母親の声がします(のちに佐々木未来さんの声だと明かされました)。人間界から海へ帰る演出として、『ユニバーページ』を歌いながら2階席をトロッコで一周していきます。

まさか2階席まで来てくれるとは思わなかった観客たちは大興奮。ひときわ熱の入った声援を三森さんへ送っていました。

そして人魚へと戻るために衣装チェンジが行われるのですが、そんなちょっとした時間でも海の仲間たちに扮したダンサーたちが舞台上でパフォーマンスをしており、観客を1秒たりとも飽きさせない仕掛けが盛りだくさんです。

そのままステージはクライマックスへ突入、ラスト4曲を歌い切ります。ここまで三森すずこさん本人としてのトークはほぼなく、最後まで人魚の姫の冒険物語としての軸がブレないショーでした。アンコールでようやく三森すずこさんが本人として登場し、人魚になりたいという小さなころからの夢を叶えたと話します。そして初披露となる新曲『エガオノキミヘ』を含む3曲を歌い、ライブは幕を下ろしました。

三森すずこさんのエンターテイナーとしての魅力が詰まったライブ。子供から大人までみんなが楽しめる仕掛けが満載で、最高でした!

【取材・文=みやたろう】

リンク:三森すずこオフィシャルページ
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