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i☆Ris 3rdアルバム発売記念インタビュー前編:「あり得ないくらいバラバラ」な6人の“カラー”が混ざり合った1枚

2012年にデビューし、5周年を迎える声優アイドルユニット・i☆Ris。声優としてもアイドルとしても確実に成長をしてきた彼女たちの現在の“カラー”で彩られた3rdアルバム「WONDERFUL PALETTE」が11月1日に発売されます。これを記念し、WebNewtypeでは彼女たちにインタビューを敢行。前編では「WONDERFUL PALETTE」というアルバム、そして本作の目玉となる全員のソロ曲についての話をお届けします。

――今回の「WONDERFUL PALETTE」のコンセプトを教えてください。

山北:タイトルのとおり、i☆Risが持つ色んな色を見せたいなと思って。全員分のソロ曲もそうですし、(若井)友希ちゃんが作詞、作曲した曲や、しぶわかやま(澁谷、若井、山北によるユニット)で作ったボーナストラックも入っています。

――本作のタイトルはどのように決まりましたか?

山北:これまでの2枚のアルバムのタイトルを私達が決めてきて、「We are i☆Ris!!!」「Th!s !s i☆Ris!!」と続いてきたなかで、今回も「○○i☆Ris」にしようかなと最初は思っていたんです。

山北:色々と候補はあったけど語呂がいいものがなくって。でも12曲目に収録されている「WONDERFUL PALETTE」を最初にレコーディングした時に、「これってそれぞれの色を出すというアルバムのコンセプトに合ってるんじゃない?」となり、満場一致でその曲名をアルバムタイトルにしました。

久保田:ここで「○○i☆Ris」をやめておかないとずっとそれに縛られ続けるから、ある意味よかったのかもしれない。

――なるほど。アルバムができあがっての感想をそれぞれ教えてください。

芹澤:「私達っぽいな」とすごく思いました。i☆Risって本当に、あり得ないくらいみんな考えてることや好きなもの、趣味も全部バラバラな6人なんです。ソロで歌うと、やっぱり全然全曲違うものになったし。

一同:全然全曲(笑)

芹澤:……になったので。なんかじわじわ来ますね(笑)。このバラバラなソロ曲のあとの「WONDERFUL PALETTE」でバラバラなのがひとつになるのがしっくり来て。その流れも含め、すごくいいアルバムになったんじゃないかな。

山北:2ndアルバム「Th!s !s i☆Ris!!」では新曲が多くて、制作期間中にアルバムを作っている感が半端なかったんですけど、今回はソロ曲と新曲が3曲だけのレコーディングだったので、それが薄くって。でも完成してみるとソロ曲だけでも聴き応えがあるし、やっぱり6人が集まるとすごい個性になるんだなというのが見えました。あとは完成品があまりわからなかったからこそ、第三者目線で楽しめるアルバムになったとも感じます。

久保田:ソロ曲や新曲以外の、既存の楽曲もだいぶ振り幅があるなと個人的には思っています。かわいいいキラキラした「プリパラ」のオープニングが2曲あれば、かっこいい「Re:Call」やバラードになった「イチズ」もあって。CDになっていなかった「Daily Berry!!」も入っているし。グループの振り幅の広さも、各メンバーの個性も見れるので、「i☆Risの名前は知っているけど曲はあまり知らない」という人にぜひ聴いてほしいです。

澁谷:できあがって、ジャケット写真なども含めて思うのは、メンバーの個性が手にとってわかる自己紹介的なアルバムということですね。1stアルバム「We are i☆Ris!!!」も「i☆Risです」と自己紹介する感じでしたけど、「WONDERFUL PALETTE」はより一人ひとりにフォーカスを置いた作品に仕上がったなと思います。

若井:まさにワンダフルな色がたくさん詰まったパレットだと思います(笑)。本当にタイトルがぴったり。一人ひとりの色がこれまでより濃く出ていて、「濃い絵の具を全部混ぜたらi☆Ris色です」みたいな感じですね。

茜屋:このタイミングで出してよかったな、と思える1枚ですね。武道館でライブをして、個人の活動もどんどん増えていって、6人それぞれの色が見えてきたからこそ、こうしてソロ曲を入れて、今できるi☆Risのすべてを出せたなと思います。

――ソロ曲について詳しく伺う前に、曲の並び順について教えてください。並び順がi☆Risのいつもの立ち順と同じですが、これは最初から決まっていたのでしょうか?

山北:結果的にそうなりましたね。できあがった楽曲を並べてみたらいい感じだったし。自己紹介的な意味でもわかりやすいですし。

――なるほど。それでは各ソロ曲について収録順で紹介してください。最初は山北さんの「Heart Crash!」です。

山北:前回のツアーで昭和歌謡をカバーさせてもらったのが結構ハマっていたので、今回のソロ曲は「昭和っぽい曲で」とオーダーしました。それで、できあがったのが昭和歌謡っぽさと現代のアイドルっぽさが融合したような「Heart Crash!」です。私はどちらかと言うとかわいい系に見られがちなんですけど、大人っぽい声のほうが歌いやすくって。初めてi☆Risのアルバムを聴くというかたには、「山北さんって歌うとこういう感じなんだ」と思ってもらえる曲だと思います。

――聞きどころは?

山北:メロディとかはわりと現代チックな部分もあるんですけど、歌いかたは昭和歌謡に寄せたので、少し切ない感じや吐息混じりな歌いかたを聞いてほしいです。あと今回は上ハモと下ハモを各2回ずつ重ねていて、結局3曲分くらいレコーディングに時間がかかりました。i☆Risで歌う時はハモに回ることが多い私が、主旋律もハモも歌っているのでじっくり聴いてほしいです。

――昭和歌謡ということですが、参考にしたアーティストさんはいますか?

山北:私は中森明菜さんや工藤静香さんが大好きで。かっこよくて哀愁が漂う感じ。特にAメロは明菜さんを意識して歌いました。

――続いて、芹澤さんが作詞された「キミノカノウセイ」です。

芹澤:私はソロでやっていることとの差別化を付けたいなと思って作りました。歌詞で言うと、元々はいつも通り「自分大好き」みたいなものを書いていたんですけど、途中で「i☆Risでやるからこそ本当に心の底で思っていることを言葉にしよう」となって。自分の中ではやっぱり「負けたくない」とか「自分を信じる」とかそういったものは人に言うものじゃないと思うんです。でもデビューから5年経って、ファンもそんな私も受け入れてくれるかなという気持ちを込めて、そういう言葉を歌詞にしました。少し照れ臭いですけどね。

――「今の私が全てじゃない なんにだってなれるから!」とか「私にしか創れない世界…届けるんだ」とか、すごく芹澤さんっぽいですよね。

芹澤:そうなんですよね。普段伝えていない言葉とは言え、私という人間の根本は変わらないので。わりといつもは、元気、チャッピー、ハッピーみたいな感じですけど。TECHNOBOYSさんのメロディがあまり生っぽくないからこそ、私の生っぽい歌詞とギャップがあって。そのコントラストがきれいな1曲になりました。

――作詞はスムーズにできましたか?

芹澤:キャッキャとした歌詞も二徹ぐらいして「もう死ぬ」って思いながら書いたんです。それが「ちょっとコンセプトが違うかも」となり、全部ポーイって捨てて。結局Bメロの「大空に飛び立つFeelingで」「溢れるほどのトキメキ!」しか採用されず、それ以外の歌詞をその場で4~5時間で書きあげたという、なかなか驚きな感じで。でも、そのおかげでソロ活動と差別化できたと思います。

――ソロ活動との差別化という意味では曲の面でもそうですよね。こういったテクノ曲を歌うのはいかがでしたか?

芹澤:難しかったですね。TECHNOBOYSさんはひとつの音が続くことが多いし、ひとつのフレーズに歌詞を滅茶苦茶はめるので、早く歌い過ぎないように意識しました。でもTECHNOBOYSさんとは昔からお会いすることが多く気が知れてるというか、「今のいいねー」とか言ってくれてのせて頂きました。

――3曲めは茜屋さんが作詞された「Dear...」です。

茜屋:今回、初めて自分の世界観で書いていいということだったので、亡くなったおばあちゃんについて書きました。ずっとおばあちゃんに歌ってる姿を見せてあげたかったんですけど、それは叶わなくって……いつか歌で届けたいと思っていて、それを今回叶えられました。私の場合はおばあちゃんですけど、聴いてるみなさんにも大切に思っていた人を思い浮かべながら聴いてもらえたらうれしいです。

――特にこだわった歌詞は?

茜屋:「ひまわりの花」です。おばあちゃんがひまわりを好きだったので、絶対に歌詞のどこかに入れたいなと思って。普段から歌詞を携帯のメモとかに書き留めているんですけど、それを引っ張り出しながらどうひまわりを入れようか悩みながら作りました。

――以前、インタビューでバラードが好きと仰っていましたが、「Dear...」もすんなり歌えましたか?

茜屋:そうですね。作曲と編曲をしてくださった野間康介さんは私が大好きなAimerさんも担当されているかたで、曲もいいし、ディレクションもすごい的確で。いいところがあれば「すごくよかったです」と言ってくれるので、自分もこう、褒められて伸びるというか(笑)。もう「やっちゃうぞ」という感じで終始満足のいくレコーディングでした。

――続いて若井さんが作詞、作曲された「Growing days」です。

若井:この曲は元々2年くらい前に書いていました。私が地元の岐阜から東京に来る時に感じたことなどを歌詞にしたんですけど、私自身というより、夢に向かって何か始めようとしている人の応援歌になるよう作りました。もっと前向きに、もっと色々とチャレンジしようとしてくれたらいいなって。

――作曲はいかがでしたか?

若井:作曲は……降りてきました(笑)

一同:おー

芹澤:やっぱ友希さんちげーな。

若井:(笑)。Bメロの「なにもできやしないんだって」ってところだけは少し悩んだんですけど、基本的にはAメロもBメロもサビも、歌詞とメロディがなんかスーンって感じで降りてきて。普段は曲を先に作るんですけど、「Growing days」は歌詞も一緒でしたね。

芹澤:一緒に降りてきたんだ。

茜屋:なかなかの逸材だ。

芹澤:メロディ工場の工場長だ。

若井:(笑)。一緒に降りてきました、この曲は。

――続いて久保田さんの「Lovely Time」です。

久保田:私はひとりでまるまる歌うのは初めてだったんですが、5年間で築き上げられたアイドル・久保田未夢のキャラクターソングみたいになりました。パーソナルな部分というよりは、アイドルとしての久保田の歌なので、レコーディング時もアイドルモード全開でライブみたいに歌わせて頂きました。

――自己紹介のフレーズ「(U^ω^)わんわんお!」も歌詞に入っていますしね。

久保田:「(*ΦωΦ)にゃんにゃんお!」とか。まさか歌詞に顔文字が入るとは思いませんでした(笑)。よく調べて歌詞を書いて頂いて、ありがたいです。

――聞きどころは?

久保田:私、i☆Risでは基本的になんかやさしい部分や大人しい部分は歌わないんですけど、「Lovely Time」だと落ちサビも歌っているんですよ。そこが私のファンにとっては新鮮だと思います。

――最後は澁谷さんの歌詞を共作した「DETERMINE」です。

澁谷:「DETERMINE」は、私が大好きなYOUSAYさんというギタリストの方に「ギターを存分に入れてほしいです」というリクエストをして作って頂いた曲です。それにエレクトロな部分……シンセサイザーの音や私の好きな音が入っています。歌詞はROOKiEZ is PUNK'DのSHINNOSUKEさんと共作させてもらって、自分のために書きつつ、ほかの人がこの詞を読んだときにも共感できるものにしました。あと歌詞を手紙にしたかったんですよ。だから歌の中では言ってない言葉も歌詞に書いていたり。曲がなく、詞だけを読んだ時も伝わるものがあるようにと考えて作りました。

――そういったソロ曲のあとで、表題曲「WONDERFUL PALETTE」、「Feel it」を挟んで、最後に若井さんがアルバム作詞、作曲された「パズル」が入っています。こちらはいかがでしたか?

若井:こちらはかなり苦戦しました。デビューから5年経って、私自身もメンバーみんなも感じてること……それぞれがi☆Risだけでなく個人の夢も生まれてきていて。i☆Risのみんなに色んな形で羽ばたいていってほしいし、その一方でi☆Risって存在も大事にしたいなという思いを込めて歌詞を書きました。なんか、暖かい歌にしたいと思って。

――ほかのメンバーはその歌詞について、どのように思われましたか?

芹澤:天才だなって思いました。この曲は、本当に友希ちゃんにしか絶対書けない。

山北:誰かが書いたのではなく、メンバーの友希ちゃんが書いたっていうのが重要で。私達としても歌う時の「大切にしなきゃ」みたいな感情が全然違いました。

澁谷:曲への向き合い方が全然違いましたね。

茜屋:個人的には、中学校で歌手になりたかった時にこういう曲歌いたかったから、その夢を思い出した感じ。だからすごいうれしかった。本当に天才だよ。

若井:うれしい、ありがとうございます。

取材・文:はるのおと

■「WONDERFUL PALETTE」
発売日:2017年11月1日(水)
価格 :Type-A【CD+Blu-ray】税別6800円
Type-B【CD+DVD】税別4300円
Type-C【CD only】税別3250円


リンク: i☆Ris公式サイト
    公式Twitterアカウント・@iris_official
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