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安元洋貴さんに聞いた!「頑張らずに踏ん張れ」【水中雅章 連載「俺より強い奴に会ってみる」第二回】

夏アニメ『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』で主人公を演じる若手声優・水中雅章さんの連載「俺より強い奴に会ってみる」。毎回、水中さんが尊敬する先輩方をゲストに迎え、アニメの魅力についてトークしながら、仕事の極意などを教わります。作中ではネトゲ界の最強プレイヤー・ディアヴロを演じる水中さん。この連載を通し、声優としてのレベルを上げることができるのか!? 第二回のゲストは、7月13日(金)放送開始のアニメ『ぐらんぶる』に出演される安元洋貴さんです!

水中:僕は山口県出身で、安元さんと同じなんです。僕は岩国のほうで。

安元:そうなんだ。俺の生まれは防府のほう。

水中:防府! おじいちゃんとよく釣りに行ってました。電車で1時間くらいですね。

安元:確か、駅前のジャスコが今はイオンになって、アニメイトが入ってるよ。岩国は駅前でドルが使えた記憶があるなぁ。米軍が近くにあるから。軍の人たちにココイチが人気で、店内に「今日のレート」の表示が出てたような…(笑)。

水中:僕より岩国にお詳しいです(笑)。安元さんとは3年前に一度、『名探偵dコナン』でご一緒させていただいて。お芝居する後ろ姿を見させていただきました。その時のセリフが魅力的で、すごい! と思った記憶があります。

安元:その時、俺は高山みなみさん達の芝居を見て、すっげえな〜と思ってたよ(笑)。

水中:皆さん本当にすごかったです。『くまみこ』のナツも魅力的でした。熊だけど、人間の言葉をしゃべっていることに違和感がないというか。お芝居ではいつも何を一番大切にされていますか?

安元:たとえばナツ役は、俺みたいな声が知ったかぶりの弟みたいにしゃべることの面白さがあるんじゃないかと思って。相手役の日岡(なつみ)と一緒に作っていったようなところがあるね。掛け合いのオーディションがあって、日岡がとってもナチュラルなまちを作ってくれたのね。だから俺の方がツンケンして「なんとかだかんねー」って返してみようかなと思って。声優って結局、人と絡んで芝居を作っていくものだから、その都度の変化を楽しんでますね。

水中:なるほど!

安元:あとは、その役にどんな役割が与えられているのかを考えること。お話を回すストーリーテリングみたいな役もあれば、ギャグアニメでの起爆剤になるような役もあるから。ストーリーの邪魔をしないで、その役として為すべきことをする。とどのつまりは、台本をめっちゃ読むこと。

水中:僕の場合は事前に練習をしすぎて、収録でディレクションを受けてもなかなか芝居を変えられないんです…。

安元:練習するのはとってもいいことだけど、しすぎは良くないかもね。自分一人でアニメを作るわけではないから、固めすぎないほうがいい時もある。すごい先輩方を見ていると、他の人のセリフを聴いてから芝居が変わるんだよね。耳がいい。我々は楽器なので「声」を鍛えるんだけど、同時に「耳」も鍛えなきゃいけないと思っていて。

水中:「声」だけではなく「耳」も!頭ではわかってはいるんですが…。

安元:わかる、わかるよ。俺も若い頃は大いにそうだった。ディレクションされて、変えてるつもりなのに全然変わんない(笑)。大丈夫。年取ってきたらできるようになるよ。

水中:安元さんでも、考えすぎて行き詰まっちゃうようなことはありますか?

安元:もちろん。でも、僕は理詰めで考えるんですよ。行き詰まっていても、明日も仕事があるなとか、今やらなければいけないことが目に入ると、ええい、ここで止まっている場合じゃないぜ、って気持ちを切り替えられる。こうなりたいってビジョンがあって、今の自分はここだから、これとあれを補ってみよう、って考えたりすると、気持ちが楽になるんだよね。

水中:パワフルですごいと思います。仕事のエネルギーの源になっていることは何かありますか?

安元:これが不思議なことに、お仕事ですね。仕事が好き。心から面白いぞ!と思うこともあれば、これは難解だ、ストレス抱えるわーっていう仕事もあるけど、どこかしらに自分で生み出す作業がある。たぶんそれが好きだと思うんだよね。仕事さえしていたらストレスはたまらない。だから仕事がなくなったら死ぬんじゃないかな(笑)。

水中:なるほど(笑)。プライベートで息抜きになるようなことは?

安元:好きなサッカーを見たり、料理作ったり、ゲームしたり、純粋に楽しめる時間。そういう日常生活の中で、一瞬でもお仕事のことを忘れられたらリフレッシュできるかな。

水中:今までにターニングポイントになったような人との出会いはありますか?

安元:声優っていう職業を教えてくれた人。俺は物を知らなくて、大学生まで声優っていう仕事を良く解ってなかったんですよ。大学時代に文化放送の報道部でアルバイトしている時に、それを教えてくれた人がいて。舞台はやっていたんだけど、舞台だけだと、たとえキャリアがあっても食っていくのは難しい。俺、長男だし、大学まで出させてもらってるから、食っていけないのはまずいなと。そんなことを思っていた時に、声優という職業を教えていただいて。俺は0か100か、黒か白かの人だから、じゃあとことんやってやろう、ダメだったら何やってもダメだっていう勢いで養成所に入った。それが22歳のときだったかな。

水中:そうなんですね!それが声優になるきっかけになったんですね。

安元:その時はお金がなかったから、稼げる可能性があるほうに行くしかなかった。でも結果的に、今は声優の仕事が楽しいから。いろんな人に出会えるしね。声の芝居も面白い。特殊技能というか、やる事はもしかしたら声優の方が多いかもね。

水中:舞台の時から考えたら、本当にキャリアが長いですよね。僕も息が長い声優になりたいです。ちなみに、オーディションですごく緊張してしまうんですが、どうしたら堂々としていられるんでしょうか。

安元:落ちるものだと思えばいいんじゃない? 10受けて、1つ受かったらめっけもん、くらいな気持ちで。

水中:ついつい欲が出ちゃうんですよね(笑)。

安元:わかる(笑)。わかるけれども、それで人生が終わるではないし、そこで折れてたらキリがない。乱暴なもんで、明日って必ず来るから。受かった役が君の役であって、受からなかった役は君の役じゃなかったっていうだけのこと。元気出せるようなルーティンを作ればいいよ。結果を聞いて、たとえダメでも好きなラーメン食べたらもう大丈夫、みたいな。俺なんか、人と話すだけでも結構切り替えになるけど。

水中:切り替え! 僕には足りない部分だと思います。

安元:必死すぎると必ず倒れるんだぞ(笑)! 仕事が続いた時、前の現場でどんな目に遭ったかなんて、次の現場の人たちは知らないわけだから。先輩から聞いたことだけど、「頑張らない」ことが大事。「頑なに強張る」のは良くないでしょ?その代わりに「踏ん張る」。地に足をつけるっていう意味。できないものはできないんだもん。地に足がついていれば、その時できることはできるから。

水中:踏ん張る。今の自分にすごく必要な言葉だと思います。体とか喉のケアはどうされていますか?

安元:普段はあんまりしてない。お酒をよく飲むんだけどその時に大声出さない、歌わない、とか。あと、エアコンを基本的に入れない。喉が乾燥すると良くないから。

水中:ええ!? エアコンなしで、夏、乗り切れますか!?

安元:扇風機を4台置いてるし、寝室とリビングにシーリングファンをつけてるから、それだけあれば結構大丈夫。冬場は寒いけど…くたばりそうな時は一瞬だけ暖房つけますね。基本的に喉は潰れないけど、一度だけ潰したことがあって。

水中:えっ!

安元:それまでは調子が悪くても無理くりやってきたけど、5年くらい前に初めて「今日は帰りなさい」って言われて。それが悔しくて悲しくて、タバコをやめましたね。体も、大きくして、筋肉と脂肪のバランスを整えたり。体で音が響くように。あと、右と左の筋肉がバラバラだったから、整骨院に通ったりトレーナーつけて身体作り直したり。

水中:メンタル面とフィジカル面、両方のアドバイスが身に染みます。最後に、水中雅章のこれからにご指導ご鞭撻の言葉をいただけますでしょうか!

安元:きっとこれからご一緒することもあると思いますので、優しくしてください(笑)。いやでもホント、頑張りすぎず、肩ひじ張りすぎずで。僕もまだまだですから、一緒に踏ん張っていきましょう。

水中:安元さん、ありがとうございました!

【取材・文:吉田有希】

■「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」
放送:TOKYO MX 毎週木曜22:00~
   サンテレビ 毎週木曜26:00~
   BSフジ 毎週木曜24:00~
   AT-X 毎週木曜21:30~(リピート放送有り)
配信:dTV、dアニメストアほかにて毎週金曜12:00より随時配信開始

■「ぐらんぶる」
放送:MBS 7月13日より毎週金曜26:25~
TBS 7月13日より毎週金曜26:25~
BS-TBS 7月14日より毎週土曜24:30~
AT-X 7月16日より毎週月曜21:00~(※リピート放送有り)
配信:Amazonプライム・ビデオにて日本・海外独占配信


リンク:アニメ「異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術」公式サイト
    公式Twitter・@isekaimaou
    アニメ「ぐらんぶる」公式サイト
    公式Twitter・@gb_anime
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