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河森正治「マクロスΔ」×小嶋慎太郎「モンスターハンタークロス」コラボ記念“クロス”トーク【前編】

4月から放送が始まった「マクロスΔ(デルタ)」。この作品のキャラクター原案を務めているのはゲーム会社カプコンのデザイナー・実田千聖さん。彼女の参加が決まった経緯には、河森正治総監督とカプコンの小嶋慎太郎プロデューサーとの繋がりがありました。まずは、二人の繋がりの原点であるというゲーム「エクストルーパーズ」と、「マクロスΔ」のキャラクターデザインについて振り返ってもらいました。

――今日は「モンスターハンタークロス」「マクロスΔ」を手掛けるお二人にお集まりいただきました。両作品はコラボレーション展開をしていますが、そもそものお二人の出会いはいつなのでしょうか。

小嶋:4年前に発売したゲーム「エクストルーパーズ」(2012年11月22日発売、ニンテンドー3DS・PS3用)のオープニングのアニメーションと背景をサテライトさんにお願いしたことがきっかけでしたね。

河森:そうですね。その時に実田千聖さん(カプコン所属、「エクストルーパーズ」キャラクターデザイン)の絵を初めて見させていただいて。絵がうまいのはもちろんのこと、立体的なデザイン力や造形力が魅力的だなと思ったんです。その時は安田賢司さん(現「マクロスΔ」監督)がコンテと監督を担当してくれて。

――その頃はすでに「マクロスΔ」の企画は進んでいたんでしょうか。

河森:新作はやらなきゃいけないなと企画はしていましたが、「マクロスΔ」としてはまだ動いていない頃ですね。

――その4年前の出会いがきっかけで、その後「マクロスΔ」でご一緒するわけですよね。

河森:一昨年前(2014年頃)「マクロスΔ」の企画を進めるなかで、キャラクターデザイナーの選定に悩んでいたんです。誰にしようかと3、4ヵ月は何人ものイラストレーターの絵を見たんです。イラストとしては良くてもキャラクターのデザインとしては弱いとか、その人が描く分には良いけれど、アニメーターが描くのが難しいとか。もちろんアニメーターからもキャラクターデザインができる人を探したのですが、アニメとして描きやすくなる半面、オリジナリティが弱いということがあって。なかなか決まらなかったんですね。その時、たまたま東京ゲームショウの会場へ行って、カプコンさんのブースでロマン・トマ(サテライト所属のデザイナー、「マクロスΔ」世界観デザイン)が参加しているゲーム「大逆転裁判-成歩堂龍ノ介の冒險-」を見に行ったんです。そこで小嶋さんと久しぶりにお会いして。「『マクロスΔ』はバンダイビジュアルさんが中心なので、カプコンさんにキャラクターデザインを依頼することはないかなあ(笑)」と思っていたら、翌日のシナリオ打ち合わせで安田監督から「もしキャラクターデザイナーに候補がいないようなら『エクストルーパーズ』の実田さんはどうだろう」と。「ああ、僕も昨日、小嶋さんに会って、実田さんのことを思い出して」と話が合ってしまって。これはもしかしたら「縁」なのかもしれないなと思って、無理だったとしても一度頼んでみようかとなったんです。

小嶋:いやー、そんな経緯があったんですね。河森さんたちから連絡をいただいた時は「マジか!?」となりました。カプコンのスタッフは、自社のゲーム以外の作品に関わることってほとんどないのですが、今回は決断の速度が求められるお話だったので、即上司にも相談しまして、社内的にオッケーをもらって。バババッと動き出したんです。

河森:なかなか話しにくい取扱注意の企画だったので、実際にお会いして企画の概要を説明したんですよね。

小嶋:大阪まで会いに来てくださったことにもグッときましたし、実田の絵を評価してくださったこともうれしかったです。実田は良いデザイナーですし、外の仕事をすることで実田がより強くなると思ったので、ぜひ引き受けることができればと思いました。

河森:そもそもカプコンさんには、ゲーム「超鋼戦紀キカイオー」(1998年リリースのアーケードゲーム)の時にお世話になっていたんですよね。「キカイオー」の企画自体はその10年前くらいに企画をして。まだ「スーパーロボット大戦」がない時期にロボット同士の異種格闘戦をやりたいといろいろな会社にプレゼンしたんですが、どの会社もピンと来てくれなかったんです。ところが、カプコンさんに話をもっていったらその日のうちに「おもしろいからやりましょう」となって。この機動力はなんだろう?と思った機会があったんです。今回も引き受けていただけて良かったです。

小嶋:お話をいただいたタイミングも良くて、「縁」ってこういうものなんでしょうね。

河森:あの時、東京ゲームショウに行ったのも良かった。実は、あの場で実田さんの話をしようと思ったけれど、「まだここでうかつに話をしてはいけない」とドキドキしていたんですよ。

小嶋:河森さんがそんな気持ちで「大逆転裁判」のムービーを見ていたとは知りませんでして(笑)。【中編に続く】

●河森正治
サテライト所属。アニメーション監督、演出家、メカデザイナー。「マクロス」シリーズを30年以上にわたり手掛ける。「マクロスΔ」では総監督として制作現場全体を監督するほか、メカアクションパートの絵コンテなどを担当している。代表作「AKB0048」シリーズ、「創聖のアクエリオン」シリーズなど。

●小嶋慎太郎
カプコン所属。プロデューサー。「モンスターハンター」シリーズの最初期では企画(ゲームデザイン)を担当していた。最新作「モンスターハンタークロス」ではプロデューサーを務め、本シリーズのさらなる広がりを作りだした。代表作「エクストルーパーズ」、「モンスターハンター」シリーズなど。

■5月10日発売の月刊Newtype6月号は、表紙&巻頭特集で「マクロスΔ」を総特集!

リンク:「マクロス」ポータルサイト
    「モンスターハンタークロス」特設ページ
    月刊ニュータイプ書誌ページ
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