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「13話は正しい最終回に」今石監督&まごに聞く「宇宙パトロールルル子」【連載企画 第5弾(後編)】

設立5周年を迎えたTRIGGERが手掛けるテレビアニメ「宇宙パトロールルル子」。その魅力に迫るべく、キャストやスタッフを直撃するインタビュー企画を連載してきました。

最終回となる今回は、今石洋之監督とキャラクターデザインのまごさんが登場。ついにラストとなる後編では、「ルル子」の物語作りと印象深かった話、そして最終話について聞きました!

――今放送されている「ルル子」は制作当初と展開が大きく変わっているとうかがいました。

今石:最初はゆっくり積み重ねていって、宇宙に行かないで終わっちゃうというストーリーでもいいかと思っていたんです。もしスタッフが違ったらそうなったかも知れないんですけど、今回のメインスタッフはすぐ「ドカーン!」というところに行きたがる性質の人間が多かったんです(笑)。なので「じゃあ、やるか」と。そもそも最初のプランでは4クール分のイメージだったんですけど、今時その本数は難しいので、ギュッと13本に圧縮しました。

――テンポ感でいうと「天元突破グレンラガン」や「キルラキル」というより「パンティー&ストッキングwithガーターベルト」に近いですよね。

今石:そうですね。やっぱりプロの脚本家がいないというので、すごく「パンスト」に近いと思います。

――中島かずきさんがいないというのは大きいですか?

今石:そうですね、大きいですね。

まご:中島さんご本人はTwitterで「キルラ回(7話)、言われたら脚本書いたのに」って書いてましたね。頼んだらどうなってたんでしょうね。

今石:いや頼んだら「時間ないよ!」って断ると思いますよ。

一同:はははは(笑)。

今石:あれは中島さんのフリ、というかリップサービスです。ありがたい話ですけど、そもそも時間がなくて中島さんに頼めるスケジュールじゃなかったですから。もし頼んでいたら生命戦維の話あたりのドラマが濃密になってた反面、今のグダグダ感はなかったかも知れないですね。

まご:4話の前半では、黒ひげ危機一発を無駄にちゃんとやってましたね(笑)。

今石:本っ当に何の意味もないですからね。例えば中島さんならああいった一見無意味なシーンも後で必ず意味を付けて伏線として回収!というすごい感動があるんですけど、今回はいないので「やっぱ無駄なまんまだな」みたいな(笑)。

――物語はいよいよラスト13話を残すのみとなりました。

今石:素人脚本集団の僕らなりに、最初からぼんやり提示していたテーマをまとめてメインキャラクターたちが答えを出していくという形になります。こう言うと変かも知れませんが、正しく最終回をしようと思っています。

まご:意外といい感じでまとまっていて驚きました。

今石:おお、それはよかったです。

――お2人にとって思い入れのある話数を教えてください。

まご:私はやっぱり1話が一番好きです。放送開始前の数日間はもらった白箱(完成映像が入ったDVD)を携帯に入れて、毎日寝る前に見て「ルル子ォ〜!」って悶えてました(笑)。

今石:あはははは!(笑) 僕も1話は思い入れがありますけど、まずは3話がスタンダードに作れて好きでした。普通に事件があって、数秒ですけど捜査して(笑)、犯人を見つけて逮捕。パトロールしているというのを珍しくやれました。あとは(ミドリを演じる)新谷さんがバカみたいに面白くて…こんなに面白くなると思わなかった(笑)。それから雨宮担当回ですが、11話はかなり意外でよかったです。こんな風になるんだと思いました。

――ルル子が地獄でインフェルノコップに会って戻ってくるという回ですね。

今石:すごく静かなで、シリアスな回。裏にいろんな笑いも潜んでいるんですけど、それこそ僕が担当した9話(「セックス&バイオレンスwithマッハスピード」回)と見事に対極に立ってます。今回雨宮がやった2話と11話はシリーズ中一番静かで、僕がガチャガチャしている回をやるという棲み分けも新鮮で面白かったです。

まご:2話と11話はテーマの初恋に沿った感じですよね。

今石:うん。2話でノヴァとの出会い、初恋の瞬間を描いた雨宮が、11話でもう一度初恋のテーマに触れた。僕一人でやっていると、あのテイストは出なかっただろうなと思うと、すごくいいなと思うんです。僕一人だと、ずっと9話みたいになりそうで(笑)。

――まとめのようになりますが、やはり「ルル子」は「キルラキル」とはカロリーの違う作品になりましたか?

今石:そうですね。「キルラキル」に比べるといろんな意味で、多少シリアスなアクションをしても、キャラクターが柔らかいというのもあってカロリー的には低いと思います。ただ、それはあくまで比べればという話で、「ルル子」は展開を詰めこんでいる分、短編にしてはシーン数が多いんです。それで結局15分とか20分のアニメを作っているのと変わらないくらいの大変さはあります。とはいえ、いつも300カットやっている所が80カットくらいで済んでいるので「頑張れば終わる」という安心感はありますね。本編の切り回しがいいんですよ。そこは今回短編をやってみて、いいなあと思ったところです。

――ありがとうございます。それでは最終話に向けて、メッセージをお願いします。

まご:説明するより見た方が好き嫌いハッキリわかると思うので、今までのやつを好きだと思っていたら、最終回も好きだと思います。ぜひお楽しみに!

今石:ここまで付き合ってくれた人は確実に楽しめると思います。現状できることはいつものようにやっているつもりなので、いつものように、ただ脳をカラにして楽しんでいただければと思います!【取材・文=細川洋平】

■今石洋之(いまいし・ひろゆき)
ガイナックスを経て、大塚雅彦、舛本和也らとTRIGGERを設立。アニメーターとしての人気、実力も非常に高い。主な監督作品に「天元突破グレンラガン」、「キルラキル」などがある

■まご
イラストレーター/漫画家。主な作品に「ともだちマグネット」(竹書房・全2巻)、「キルラキル/SDキャラ」などがある。現在WebNewtypeでエッセイ4コマ「潜入!TRIGGERトリガー24時」を連載中。twitterアカウントは@magodesu

リンク:アニメ「宇宙パトロールルル子」公式サイト
    アニメ「宇宙パトロールルル子」公式twitterアカウント・@s_p_luluco
    4コマ漫画「潜入! TRIGGER24時」
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