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第1期の感動が蘇る!「響け!ユーフォニアム」第1回定期演奏会レポート

10月5日(水)から放送がスタートしたテレビアニメ「響け!ユーフォニアム2」。放送に先駆けて10月1日(土)・2日(日)に開催された吹奏楽コンサート「響け!ユーフォニアム 公式吹奏楽コンサート ~北宇治高校吹奏楽部 第1回定期演奏会」のオフィシャルレポートが到着しました。

イベントが行われたのは、宇治市文化センター大ホール。2015年4月に放送されたテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」の第11話で、部員たちが練習を行ったホールのモデルになった会場です。

演奏は、アニメ本編で使われる演奏を担当した“洗足学園音楽大学 フレッシュマン・ウインド・アンサンブル2014”の62名が担当。指揮者に「響け!ユーフォニアム」の音楽監修を務めた大和田雅洋さんを迎え、アニメフリークキャスターの松澤千晶さんが司会を担当しました。

さらに、「響け!ユーフォニアム」シリーズの音楽プロデューサーを務める斎藤滋さんが解説を行い、トークゲストとして山岡ゆりさん(吉川優子役)が参加。歌のゲストとして、1期・2期のオープニング曲を担当するTRUEさんも登場して会場を沸かせました。

今回のコンサートは、「響け!ユーフォニアム」本編の物語中で演奏された楽曲を生で聴いて、2期を前にあの感動を音で体感しようという趣向。「響け!ユーフォニアム」の時系列に沿って楽曲が演奏され、運動会でお馴染みの「地獄のオルフェ」では、最初は平坦ながらも最後に突然激しくなる楽曲展開を、斎藤さんが「プロレスの様式美と同じだ!」と絶妙に例えて笑いを取りました。

「海兵隊」などは、吹奏楽部の顧問である滝先生の指導を受ける前と後の両バージョンを披露。下手に演奏するのは逆に難しいとのことですが、指導前の音やテンポがずれまくった演奏には笑いが沸き起こり、山岡さんも思わず「それにしても酷すぎ。あまりの酷さに鳥肌が立った!」とコメントして、さらなる笑いを誘いました。

感動再びといった感じで歓声があがったのは、「きらきら星」と「愛を見つけた場所」です。「きらきら星」は、伸び悩んでいた葉月が、久美子と緑輝に誘われて、初めて3人で合奏した曲。実際にチューバ・ユーフォニアム・コントラバスの3人で演奏され、葉月ら3人の友情をほうふつとする、あたたかくほんわかしたムードが会場を包みこみました。

麗奈と久美子が重い楽器を担いで登った夜の大吉山で演奏した「愛を見つけた場所」も、アニメ本編同様にトランペットとユーフォニアムで演奏。凛として美しく、しかしどこか脆さも感じさせるような、まさしく女同士の友情を音にした表現で観客を沸かせました。

また、サンフェス(サンライズフェスティバル)で演奏した「RYDEEN」やコンクールで演奏した「プロヴァンスの風」と「三日月の舞」も演奏。「三日月の舞」は、アニメ本編では麗奈がソロを吹きますが、このコンサートでは香織の音を担当したトランペットの富岡愛彩実さんが担当しました。富岡さんはここでしか聴けないレアなソロを聴かせて観客を魅了。そんな富岡さんに対して、山岡さんが「どうでした? あのアニメは私が吹いてるんだよとか、誰かに自慢したりは?」など質問責めしていると、いつしか矛先は山岡さんに向き、富岡さんとトランペットのソロ対決することになりました。「え! 私、麗奈じゃないし。優子はオーディションの時、客席にいたんですけど?」と、しどろもどろになった山岡さん。実は山岡さんは中高の6年間を強豪校の吹奏楽部で過ごした経験を持つだけに、会場に期待が広がりました。2人が演奏を終えると、斎藤さんが「あなたがソロを吹きますか?」と、 滝先生のマネを始め、山岡さんも「私は吹けません。ソロは富岡さんが吹くべきだと思います!」と発言。渾身の“ごっこ”に会場からは、拍手と歓声と笑いが贈られました。

歌のゲストとして、TRUEさんが本編最後に「DREAM SOLISTER(Movie Ver.)」を披露した他、アンコールで2期オープニング曲「サウンドスケープ」(10月12日にシングルとしてリリース)を吹奏楽バージョンで歌唱。「サウンドスケープ」を人前で歌ったのはこのコンサートが初めて、しかもそれが通常と違うアレンジということで、「ずっと一人楽屋で、仔犬のようにプルプル震えてました!」と、直前までの気持ちを暴露しました。しかし、ひとたび歌い始めると、演奏を凌駕するほどのパワフルな歌声で観客を圧倒。これには指揮の大和田さんも「ブラスバンドの演奏を上回る、これほどの声量を持った歌手はそういないです!」と、TRUEさんの歌声に太鼓判を押しました。

イベントを終え、斎藤さんが「僕たちがどれほどの熱量と、どれほどの愛情を注いで作っているかが、伝わっていたらうれしいです」とコメント。“フレッシュマン・ウィンド・アンサンブル”のメンバーも、滝先生ならぬ大和田先生のしごきに耐え、久美子たちと共に成長を重ねてきました。その成果はもちろん2期の放送でも聴けるわけですが、機会があればぜひ生で聴いてほしいもの(次回は11月20日にも神奈川県民ホールで開催)。生の吹奏楽体験が、「響け!ユーフォニアム」という作品の魅力を、もう一段階上に広げてくれました。

最後に、今回のコンサートを終えた山岡ゆりさんとTRUEさんのインタビューをお届けします。

<吉川優子役・山岡ゆりさん>

――イベントの感想を。

吹奏楽部のアニメなので、こういうスタイルのイベントがしっくりくるなと思いました。実際に私は中高の6年間吹奏楽部で、当時は定演(定期演奏会)をやっていたし、他校の定演にもよく足を運んでいたので、当時のことが思い出されてとても楽しかったです。

――今回披露された楽曲で、思い入れのある曲は?

それはもう「三日月の舞」でしょう! あのソロって、実は凄くハードルが高くて。高音から低音までまんべんなく使われているので、唇の形だけで音程を変えなければいけない場所もたくさんあったり、トランペットのあらゆる技術が詰め込まれているんです。大会で吹くのは、かなり度胸が必要ですね。

――トークゲストでの出演でしたが。

やっていた当時のことを思い出しながら、お話ができればいいなと思って。「響け!ユーフォニアム」は、ファンタジー要素はなく現実に忠実で、私も自分が演じた(吉川)優子たちがやっていたような練習をやっていたので、経験者としてもお話ができたらと思いました。

――ああいうソロ争いは実際にありましたか?

私の学校ではなかったです。確かに上手い後輩が入ってきたことはありましたが、コンクールは3年間の集大成という部分もあるので、3年間頑張ってきた先輩に譲るのが通例でしたね。吹奏楽部って何気に体育会気質なので、先輩を差し置いてソロをやりたがる、麗奈のような1年は実際にはあまりいないんじゃないかな。そういう普通は言わないけど心の片隅で思ったことがあるようなことを、実際に言うと北宇治高校のような人間関係のドラマが生まれる。それこそが「響け!ユーフォニアム」の魅力であり面白さでしょうね。

――1期を振り返りつつ、2期の見どころをお願いします。

1期は演奏面で、上手くなりたい気持ちが軸にあって、そのために人間関係が複雑になっていった。2期は、どちらかと言うと人間関係に主軸が置かれて、その結果演奏がどうなっていくのか。人間関係が演奏にどう影響を与えていくのか、楽しみにしていてほしいです。優子は、1期では悪者的な感じでしたが、あれは先輩のことを想うがゆえの行動でした。人の気持ちを考えているだけで、決して自己中というわけではないんです。2期でも、誰かのために動いているなぁと思うシーンがちらほらあります。そういう目線で見ると、優子の印象も変わるんじゃないかな。

――演じて大変な部分はありますか?

優子は感情の振り幅が大きく、ストレートに気持ちを出すタイプ。怒るときは怒るし、泣く時は泣く。喜怒哀楽を隠そうとはしません。感情をストレートに出すのはけっこう大変で、毎回優子についていかなきゃ!と、置いて行かれないようにするのに必死です。そこは2期も変わらずで、そこも含めて楽しくやらせていただいています。

――11月20日に神奈川県民ホールに足を運ぶ方に向けてメッセージを。

優子たちが物語を通じて成長すると同時に演奏もどんどん上手くなっていく、その成長過程も一緒に楽しめる構成になっています。吹奏楽のコンサートを見たことのない方、定演に行かれたことのない方も楽しめるものになっています。アニメが好きで来てくれた方も、あのシーンで出てきた曲だ!とか、アニメを思い出して楽しんでいただけると思います。神奈川では、あすか先輩こと寿美菜子さんがトークゲストで出演しますので、トークもお楽しみに!

<TRUEさん>

――イベントの感想を。

すごく緊張しました。本当に「響け!ユーフォニアム」が大好きな方ばかりが集まってくださっているので、その思いと同じくらい緊張しました。私の出演は、プログラムの後半なので、それはそれで緊張します。

――「響け!ユーフォニアム」という作品については?

私にとっては、改めてもう一度音楽は楽しいものだと思わせてくれた作品です。長らく仕事として歌っていると、いろいろな思いを抱え過ぎてしまうので、改めて音楽の原点に返らせてもらえました。楽しい思い出も悔しい思い出もひっくるめて、私の音楽人生なんだって教えてくれた。もう一回音楽の旅をさせてくれました。

――好きなキャラはいますか?

麗奈かな。私は久美子ほど俯瞰でものを見られる人ではなくて、そこに自分がいて物事を考えるタイプなので。麗奈のように特別になりたいと思っているわけではありませんが、私なりの輝きを求めて歌い続けているので、そこはとても共感します。特別になりたいと、自分に言い聞かせてるところも、すごく分かりますね。

――高校生の頃は何を?

すでにお仕事で歌っていました。ですが「響け!ユーフォニアム」を見て、みんなで何か一つのものを作ることの厳しさや楽しさは、当時の私は知らなかったことだな~と実感しましたね。いつも1人でステージに挑む感じでしたから。今回のようにたくさんの仲間とステージに立つと、それを改めて感じます。もちろんプレッシャーも感じますが、それを越えるくらい気持ちいいのも確かです。

――自身の曲が、ブラスバンドアレンジになったわけですが。

みなさんすごく楽しそうに演奏していましたし、聴かれる方には新鮮に受け取めてもらえると思います。指揮者の方は私と背中合わせですが、すごく通じてる感じがありますね。私の歌に込める感情が高まっていくと、音もそれに合わせてくれる。息づかい、空気の動き、それが不思議と合うんですよ。いつもとはまったく違うスケールで、より感動をお届けできるものになりました。

――2期の見どころは?

1期は目標に向かって進む青春の泥臭さや力強さ、音楽のキラキラとした楽しさ。2期は、それらを踏まえた上でさらに人間模様がより深くなります。誰かに伝えたい想いが音楽を続ける原動力になっていたり。友人、先輩、後輩、恋人、家族、みんなそれぞれ気持ちを伝えたい相手がいるので、見ている皆さんも共感できるキャラクターが必ずいます。そんなたくさんの想いに寄り添うように、2期オープニング曲も作りました。

――2期のオープニング曲は「サウンドスケープ」という曲ですが。

前回の「DREAM SOLISTER」では“響け!”をテーマに、今回は“届け!”ををテーマにしました。前の「DREAM SOLISTER」は多くの方にたくさん愛してもらったので、それにお返しができるようにと思って「響け!ユーフォニアム」のエッセンスをたくさん詰め込みました。作品と共に寄り添っていけたら幸せです!

――11月20日に神奈川県民ホールに足を運ぶ方に向けてメッセージを。

神奈川県民ホールのときは2期のストーリーが進んでいる中で見ていただくことになるので、より深いところで楽しんでもらえると思います。音楽と一緒に作品をなぞれる機会はなかなかないし、しかも実際に演奏していたメンバーですから。作品ファンの方はぜひ!

■テレビアニメ「響け!ユーフォニアム2」
放送  :TOKYO MX1…毎週水曜24:00~
     ABC朝日放送…毎週水曜26:14~
     KBS京都…毎週木曜25:30~
     テレビ愛知…毎週水曜26:05~
     tvk…毎週水曜25:00~(初回24:30~)
     BS11…毎週木曜24:00~(初回26:00~)
     AT-X…毎週金曜22:00~
     ※初回1時間スペシャル
スタッフ:原作…武田綾乃(宝島社文庫「響け!ユーフォニアム」シリーズ)/監督…石原立也/脚本…花田十輝/キャラクターデザイン…池田晶子/シリーズ演出…山田尚子/美術監督…篠原睦雄/色彩設計…竹田明代/楽器設定…髙橋博行/撮影監督…髙尾一也/音響監督…鶴岡陽太/音楽…松田彬人/音楽制作…ランティス/アニメーション制作…京都アニメーション
キャスト:黄前久美子…黒沢ともよ/加藤葉月…朝井彩加/川島緑輝…豊田萌絵/高坂麗奈…安済知佳/田中あすか…寿美菜子/小笠原晴香…早見沙織/中世古香織…茅原実里/塚本秀一…石谷春貴/後藤卓也…津田健次郎/長瀬梨子…小堀幸/中川夏紀…藤村鼓乃美/吉川優子…山岡ゆり/鎧塚みぞれ…種﨑敦美/傘木希美…東山奈央/黄前麻美子…沼倉愛美/松本美知恵…久川綾/橋本真博…中村悠一/新山聡美…桑島法子/滝昇…櫻井孝宏
主題歌 :オープニング…TRUE「サウンドスケープ」
     エンディング…北宇治カルテット「ヴィヴァーチェ」

リンク:アニメ公式サイト
   :公式Twitterアカウント・@anime_eupho
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