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チョップに4の字固め、コブラツイスト……前回とはうって変わって、濃密なプロレス回となった第7話。実況アナウンサー・村田晴郎氏も興奮ぎみのようです。見所たくさんの今回、さっそく「実況」してもらいましょう!!
出ました新キャラ、セリスさん。しかもリザード女子! お腹と背中が鱗! いいとこ取り!!
……すみません、取り乱しました。
快活でスポーティな娘なので「ははーん、この娘にプロレスさせる気だな」と予想しましたが、秒で予想通りの展開になって安心しました。
前回のプロレス濃度を抑えた展開は今回のタメだったのですね。開始20秒でプロレス技ですよ。
まずは「ブレーンチョップ」。相手の脳天にチョップを叩きつける打撃技です。ジャイアント馬場さんの得意技であり、馬場さんがやると「脳天唐竹割チョップ」と呼ばれました。源蔵さんはこっちの技名を叫んでいましたね。
2メートルを超える馬場さんが相手の頭上はるか上から手刀を振り下ろす姿が、竹を鉈で真っ二つに割るように見えたため、そう名付けられたと思われます。
脳天へ垂直に叩きつけることにより、頭頂部はもちろん内部の脳、そして首もと何重ものダメージを相手に与えます。
さらなる落差と勢いをつけるため、ジャンプして打つ「ジャンピング式」やコーナーから飛ぶ「ダイビング式」もあります。
次なるプロレス技は「足4の字固め」。英語名「フィギュア・フォー・レッグロック」。
技が完成すると、相手の足の形が数字の「4」の形になることから命名されました。
そのため、正しい表記は「4の字」であり「四の字」ではありません。
技の掛け方は少し複雑なので次回予告の映像を参照してください。
ダメージ箇所は主に膝。まっすぐになっている方の膝の上に、曲げられたもう一方の足が乗っかった状態で締め付けられることで、まっすぐになっている膝に逆関節方向の力が掛かります。また、脚の交差した箇所(4の数字で線が交差したところ)がテコの原理で折れそうになり、強烈な痛みを伴います。
完璧に極まれば脱出不可能と言われ、自力で技を解くことは非常に難しいです。技が極まった状態で腕の力だけで相手ごと引きずり移動するか、ゴロゴロと横回転して移動してロープエスケープ(*1)するしかありません。
ちなみにカーミラが「暴れれば暴れるほどよけいに酷いことになる」と言っていたのは、紐の結び目が「引っ張ればさらに強く結ばれる」というのをイメージしていたただければ理解できると思います。これは足4の字固めに限らず、プロレスの関節技全般に言えることです。
でも、暴れないと動けないし、動かないとロープエスケープできないし、究極の選択ですね。
……いや待てよ、この異世界にはリングはない。リングがなければロープもない。ロープがなければロープエスケープはない。ということは、選択できるのはギブアップのみ……いやー鬼だわ、源蔵さん。
お次はセリスの特訓シーン。
現代におけるプロレスのトレーニングといえば、団体の道場や近代設備のジムが主流ですが、劇中のように自然を活かした特訓を好んで行う選手もいます。
ひと昔前のプロレス専門誌には「タイトルマッチ前の〇〇選手を某所の山中で発見!」「流木を担いでランニング&スクワット!」「大木の幹に逆水平チョップ!」「岩を持ち上げ筋力強化!」などと、胸躍る見出しの記事がよく掲載されていました。
「プロレスラーの秘密特訓といえば大自然」という王道が、源蔵さんの中にも息づいているのですね。まぁ、異世界にジムがないだけかもしれませんが。
これはプロレスのネタではないですが、源蔵さんがセリスの弟子入り理由を聞いて激怒するシーン。
怒りによる筋肉のパンプアップで服が破れる様を、カメラが回り込みで捉えながら「てめぇらの血は何色だ!?」と叫ぶ源蔵さん。背景のエフェクトといい、これはもうアレですね、アレ。「YOUはShock!!♪」という音楽が脳内再生されましたよ。北斗と南斗の激怒のコラボレーションです。「北斗の拳」を知らないと(しかも原作とアニメの両方)まったく伝わらないギャグを、2019年のアニメ作品に堂々と入れ込んでくる。
どうかしてますね(誉め言葉
セリスとハンターの模擬試合中にポンコツアドバイスをしたカーミラに源蔵さんが食らわした技は「コブラツイスト」です。「アブドミナル・ストレッチ」とも呼ばれます。日本名は「アバラ折り」。
背後から相手の身体に巻き付くように絡みつき、上から体重をかけながら上半身を捩じ切るように締め上げます。主にあばら骨周辺と腰にダメージを与えます。
実はこの技、一般人が真似してやってもあまり効果がありません。
それはなぜか?
お互いの身体が細いからです。
プロレスラーのように筋肉がたっぷりついた密度のある身体にこそ最大の効果を生む技なのです。
濡れた雑巾やタオルを絞る時、細いと絞りにくい。そういう時は力が入りやすいように、たたんでから絞りますよね? それと同じ原理です。
さて、次回のタイトルは「ケモナー×興行」ですよ!
遂に異世界初のプロレス興行が実現するのでしょうか?
とても楽しみなのですが、不安要素があります。
源蔵さん以外に選手として試合ができそうなのはカーミラと特盛セリスだけ。三人。
3WAYマッチ?(*2)ハンディキャップマッチ?(*3)いずれにせよ1試合しかカードが組めない!
旗揚戦がワンマッチ興行なんて濃いファンが物珍しがって来てくれるかもしれないけど、異世界には普通のプロレスファンですらまだ誕生していない。ダメだ。
最低でも3試合はほしいところ。全試合シングルマッチでも6選手必要。全然足りない。
あとレフェリーとリングアナウンサーも必要ですね。特にレフェリーはプロレスのルールをちゃんと理解してないと務まらない重要な役割。誰がやるのか?
その答えは次回! 多分!!
最後に、これをご覧の皆さまは絶対に真似をしないように。技を仕掛けた側も仕掛けられた側も共に不幸な結末が待っています。ケモナーマスクのようになりたければ身体を鍛えてプロレスラーになりましょう。「Please don‘t try this at home.」約束ですよ。
<注釈>
(*1)ロープエスケープ
プロレスではフォールされたり関節技を極められたりした時、4方向にあるロープに触れることでレフェリーから「ブレイク」の指示がかかる。フォールカウントはストップし、関節技は解かれ、仕切り直しとなる。関節技から逃げるときには「ロープエスケープ」、フォール時には「ロープブレイク」と呼ばれることが多い。
(*2)3WAYマッチ
「トリプルスレットマッチ」とも呼ばれる、3人の選手が同時に闘う試合形式。3人のいずれかの間で勝敗が決まれば試合終了。
全員が敵同士なのでフォールやギブアップを妨害する行為が頻繁に見られる。
いかにリング上で1対1の状況を作れるかが勝敗のポイント。
タッグマッチで行われることもある。4WAY、5WAYなど人数がもっと多い形式で行われることも。多人数戦では「バトルロイヤル」が有名だが、バトルロイヤルは最後の一人まで闘う試合形式なので〇WAYマッチとは区別される。
(*3)ハンディキャップマッチ
2対1や3対1など、人数に差をつけて闘う試合形式。
1人の方はデカい選手や強い選手が選ばれる。主に1人の方の強さをアピールするために組まれることが多い試合形式だが、正統派レスラーが悪党レスラー軍団の陰謀や策略により不利な状況に追い込まれて、ハンディキャップマッチとなってしまうこともあったりする。その場合、1人の方が勝つのはかなり難しい。