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20周年を迎えたEテレのコマ撮りアニメ番組「プチプチ・アニメ」の記念企画として、発表された「ころがし屋のプン」。今回、この作品に監督として参加した三池崇史さん、そしてキャストとして参加したハムスター役の小桜エツコさん、スズムシ役の豊永利行さん、ホタル役の千菅春香さん、アニメーションを担当した稲積君将さんにインタビューしました。「十三人の刺客」「クローズZERO」から実写版「忍たま乱太郎」、4月公開の最新作「テラフォーマーズ」まで、幅広い作品を手掛けた三池監督が描く主人公は、ふんころがし!? 果たしてどのようにして生まれた作品なのでしょうか。
――「プチプチ・アニメ」20周年記念企画のオファーをもらった時の感想を教えていただけますか
三池:実は、「プチプチ・アニメ」は以前、「ニャッキ!」や「ロボット パルタ」の音響のお手伝いで制作に参加していたんです。タイトルコールには、自分の子どもを使ってみたりして…本当は、こういうの大好きなんですよ。
――稲積さんは、三池監督と初めてお仕事をされていかがでしたか
稲積:僕の師匠は三池監督の作品が大好きで、その影響で監督の作品をよくチェックしていました。そういう方とお仕事をご一緒できて、大変ドキドキしています。実際の制作では、監督からいただいたプロットがものすごく面白く、ワクワクしながら脚本と絵コンテを拝見してアニメを制作しました。とにかく楽しかったです!
――三池監督が普段撮られている映像作品と、コマ撮りアニメとの違いは?
三池:一番の違いは、(コマ撮りアニメの方が)作る人の人柄や想いがダイレクトに表現される点ですね。実際に手で動かして作っていきますから当然疲れるし、同じコンディションでいられないんです。正直、自分でできなくて良かったなって思いましたよ(笑)。特に今回は具体的なノウハウがないので、稲積さんに僕の絵コンテのどこをどう生かすか選ぶところまでお任せしました。ヒドい言い方をすると、まあ丸投げですよね(笑)。
稲積:最初いただいた脚本だと、映像にすると15分ぐらいの尺でした。これを5分にするまでの引き算を自由に考えることができて、結果、内容の凝縮したアニメが出来上がったと思っています。
――演じられての印象はいかがでしたか
小桜:最初、タイトルを「ころがし屋のプン」ではなく「ころし屋のプン」だと勝手に勘違いをしてたんです(一同笑)。“やっぱりそうか! Eテレすごいな!!”って思いました(笑)。でも実際は、とてもかわいらしい作品。身近な所から始まったお話が大きくなっていく様子が、とても面白いです。同じように思ってくれる子がいてくれたら、嬉しいですね。
豊永さん:僕は、こういう非言語のコミュニケーションを演じることが初めてだったので、とても貴重な経験でした。「ころがし屋のプン」は、5分間という短いアニメながら、実は大きなスケールの作品。短いながらも、作品の世界観が確立されていて感動しました。子どもたちも、きっと大好きになってくれると思います。
千菅さん:小さい頃観ていた「プチプチ・アニメ」に、まさか自分が参加できるとは思ってもいませんでした。あの頃見て感じていた“勇気をもらえる世界”が、「ころがし屋のプン」の映像でも同じように広がっていて嬉しかったですし、演じることが楽しかったです。小さなお子さんが、歳を重ねた後で改めて見ると別の面白さに気付く、そういう作品だと思います。
――最後に、視聴者の子供たちにメッセージをお願いします
三池監督:誰が作ったとか、どういう理由で作ったとかは、子供たちにとって関係ないので、まず楽しく、そして好きになってもらえるような作品を無心で作りました。その行為そのものが、(子供たちへの)メッセージだと思っています。この作品を観てくれた子供たちは、ふんころがしを見つけたらすごく嬉しく感じてくれるのではないでしょうか。日常の中にいるのに誰も意識しない存在だったプンですが、(作品を通して)子供たちはプンが他に変わりのない存在、プンにしかできないことがあると知ってるんですから…もう大事件ですよ。なので、ふんころがしを愛して、みんなの仲間にしてくれると嬉しいですね。【取材・文=小川陽平】
<「ころがし屋のプン」あらすじ>ふんころがしのプンは、丸いものを見ると、相手がゴルフボールだろうが生きものだろうがころがさずにはいられない、生っ粋の「ころがし屋」。ある日、居眠りしていたハムスターを勢いよく転がしたところ、ハムスターの怒りをかい、ハム車回転対決で完膚なきまでにたたきのめされてしまう。自信を失って落ち込むプンだったが、友人のスズムシとホタルの励ましを受け再起を図る。心機一転、プンがころがすモノとは…!?