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早いもので、2016年最初のクールも終わりが近づいてまいりました。2015年から続く「おそ松さん」旋風の中、それでも目を見張る盛り上がりを見せた作品もあったようです。そこで今回も、アニメコラムニストの私・小新井涼が、Twitterでのアニメファンの声に注目し、1月1日(金)から3月13日(日)までのツイートデータ(集計対象:タイトルを含むツイートから算出。角川アスキー総合研究所調べ)を元に、冬アニメも全視聴してきた私なりの「Twitter的2016年冬アニメの評価分析」をさせていただきたいと思います。
■2016年冬アニメ総合1位はやっぱり「6つ子強し!」
まず、1月から3月までの最もつぶやかれたベスト10をみていきましょう(【画像1】)。
結論からいうと、今期2クール目の「おそ松さん」と「ハイキュー‼」が、放送前からの勢いを衰えさせることなく1、2フィニッシュを決めました。
同じく、「だがしかし」が3位をキープ。その後に続く「僕だけがいない街」は、放送初回(1月7日)から一気にツイート数が増加しました。その後も一定数以上のツイートを常に確保して、結果「だがしかし」と接戦になるくらいの追い上げをみせています。実写映画の公開も、大きな影響を与えたと考えられるでしょう。
■大きく化けた作品「この素晴らしい世界に祝福を!」
次に、月別の総合順位をみてみましょう【画像2・3・4】。今回、語弊を恐れずに、あえて“大穴”と表現させていただきたいのが、「この素晴らしい世界に祝福を!」です。この作品の日別のツイート数をみてみると、放送開始前は600台が最高だったツイート数が、放送初日の1月13日(水)には3000ツイート超えを記録。その後も、毎週水曜日のたびにツイート値は上昇を続け、1月はトップ10圏外だったにもかかわらず、最終的には総合ランキングトップ10に食い込むまでに至りました。
「この素晴らしい世界に祝福を!」で描かれているのは、“世知辛いファンタジー”という新鮮さ、次々と加わる仲間の残念さ、いつまでも始まりの街から進まない物語……。そんな今作が注目されてのは、先が気になってのめり込む没頭感ではなく、放送を重ねるごとに深くなっていく“愛着”が一因だったのはないでしょうか。その反響の大きさから2期制作が発表され、それを祝う温かなツイート祭りの様子からも、たくさんのファンがあのパーティーを愛しているということが伺えます。
■中だるみの2月を勝ち抜いた作品は?
クールの真ん中の月、今回でいうと2月は、徐々に視聴作品を絞りはじめる時期であるため、1月と比べて、ツイート数はやや落ち着いた印象がありました。そんな中、大きく順位が浮上したのは、「プリンス・オブ・ストライド オルタナティブ」です。個人的な見解ですが、順位上昇の理由として考えられるのは、「プリスト」が、女性向け作品かと思いきや、蓋をあけると汗と涙の青春スポ根色が強かった作品であったこと。暴力事件で部を去った元エースの存在や、ヒロインの父がライバル校の顧問という良い意味でベタな展開もあり、意外と男性も楽しめる作品だったかと思います。総合ランキング上位は、男女どちらにも親しまれやすい作品が多い中、一見女性向け色が強そうなプリストがベスト10に食い込んだのも、それがあったからではないでしょうか。
他のタイトルの月別ツイートは、どうでしょうか。毎月順位をあげ続け、右肩上がりの伸び率をみせた「暗殺教室」や、平均ツイート率の上昇でまだまだ追い上げの可能性を予感させる「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」、そして安定の2位という順位から見逃しがちですが、2月にツイート数を大きく増やし、3月においてもツイート数を伸ばしつづけているのが印象的な「ハイキュー‼」など、2期ものや2クール目の長く続いてきたシリーズが、クライマックスに向けて期待値を徐々に上げていったことが伺えます。
昨今のネットでの情報の多さと速さもあり、放送前からのスタートダッシュが、最終的な総合ランキングにまで反映され続けたように思えた今クール。
しかしその一方で、今期の「このすば!」のように、蓋を開けてみるまでは分からない作品の面白さと反響というのも、ネットによってリアルタイムで増え続け、それが目に見えて分かったというのも興味深い結果だったと思います。
AnimeJapan 2016という大きなイベントと、「おそ松さん」という怪物作品の最終回を経て始まる4月期の新作は、いったいどんな反響を生むのでしょうか。春クールも目が離せません。