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アメリカ・ロサンゼルスで開催されている北米最大級のアニメイベント・Anime Expo 2026。その2日目となる7月3日、この夏スタートの新作TVシリーズ「天幕のジャードゥーガル」のUSプレミアが開催されました。
開始時間には約2000人規模の会場がファンで埋め尽くされるなど、期待の高さが伺える本パネル。本稿では、その模様を現地からお届けします。
第1、2幕の上映が終了すると、シタラが絶望の果てに生きる理由の一端を見出すまでが描かれた物語に、観客から大きな拍手が送られました。
その後、山田尚子総監督、サイエンスSARUの三角理恵アニメーションプロデューサー、テレビ朝日の遠藤一樹プロデューサーが登壇。作品の制作秘話がたっぷりと語られました。
最初のテーマは、アニメ化の経緯について。企画の発端となった遠藤プロデューサーは、「トマトスープ先生による原作マンガを読んだ際、可愛らしい絵柄と重厚でシリアスなストーリーのギャップに強く惹かれ、アニメ化を決意した」と振り返りました。一方で、「現在のアニメシーンでは珍しい作風だからこそ、高い表現力を持つサイエンスSARUへ制作を依頼することを決めた」と明かしました。
本作は豪華なクリエイターが集結していることも、魅力のひとつ。「スコット・ピルグリム テイクス・オフ」「ダンダダン」第2期で知られるAbel Gongora監督に本作を依頼した理由として、「Abelさんが好きな『アルプスの少女ハイジ』などの作品とも通ずるものがあると思ったのと、これまで監督されてきた作品とは異なる方向性の作品ではありますが、新しい演出を見せてくれると期待して監督をお願いしました」と三角アニメーションプロデューサーが起用理由を説明しました。
一方、「きみの色」「平家物語」などを手掛けた山田総監督は、次回作を検討する中でトマトスープ先生の原作マンガに出会い、モンゴルの生活や文化に興味を抱いたことや、アベル監督を始め新しいスタッフとの作品作りを刺激的と捉えてくれたことが参加のきっかけだったと語ります。
また、総監督と監督という役職の役割は作品によって異なりますが、本作では「明確な線引きはありません。完成した絵コンテも二人で一緒に確認しています」と山田総監督が説明。脚本面は山田総監督が中心となって原作の魅力や物語の流れを丁寧に整え、映像表現や音響面ではAbel監督が持ち前のセンスを発揮しているそうです。
続いて話題は、キャラクターデザインや作画へ。
「交響詩篇エウレカセブン」「ガンダム Gのレコンギスタ」などで知られ、原作ものでキャラクターデザインを担当するのは初となる吉田健一さんは、もともと「天幕のジャードゥーガル」のファンだったこともあり参加が決定。企画初期はアニメーターが動かしやすい、ややリアル寄りのデザインを検討していたものの、山田総監督やAbel監督との打ち合わせを重ねる中で、原作の繊細なタッチに近いデザインへとブラッシュアップされていったそうです。三角アニメーションプロデューサーは、吉田さんが作画チーフとしてTVシリーズの終盤まで力を振るわれていることにも言及していました。
そして、会場のスクリーンに、絵コンテ撮、レイアウト、原画、完成映像が順番に映し出され、それぞれの工程を比較しながら印象的なシーンの解説も行われました。
第1幕冒頭、シタラが街を逃げていくシーンについては、Abel監督が13世紀のペルシャの都市に魅了されたこと、そして彼女が逃げる勇気のある人物であることを描くために追加されたアニメオリジナルの演出だと紹介。三角アニメーションプロデューサーは、「当時のペルシャをどう描くか、そして逃げるシタラをどう魅力的に見せるか悩みましたが、原画を担当してくださった榎本柊斗さんのおかげで、本当に素晴らしいシーンになりました」と絶賛しました。
また、シタラたちが地下へ身を潜めるシーンについては、絵コンテ・演出を担当した山田総監督自ら解説。「第2話は人物同士の心のやり取りを軸に構成しています。派手なアニメーションは少ないですが、その分、表情の芝居をとても大切にしました」とコメントしました。
さらに、印象的に挿入されるザクロのイメージカットについては、「ザクロはペルシャに数多く実る植物なので、故郷を象徴する存在として描いています。また、子孫繁栄の象徴でもあることから、シタラが未来へ希望を抱いていることを表現するために描きました」と、その演出意図を明かしました。
最後に紹介されたのは、作品世界を彩る背景美術です。
美術監督を務めたのは、「鬼滅の刃」シリーズにも参加していたの樺澤侑里さん。山田総監督は、「写実的な背景など、さまざまな方向性のラフを提案していただきました。その中から現在のスタイルにたどり着けたのは、樺澤さんが一枚の絵としても魅力的になる背景を追求してくださったおかげです」と、その仕事ぶりを称賛しました。
パネルの最後には、スマートフォン用壁紙のプレゼント企画やフォトセッションも実施。三角アニメーションプロデューサーは「第3幕以降はいよいよモンゴルが舞台になります。ぜひ最後まで見届けていただけたらうれしいです」と改めて作品をアピールしました。
北米ファンの大きな拍手と熱気に包まれながら、「天幕のジャードゥーガル」U.S. PREMIEREは大盛況のうちに幕を閉じました。
【取材・文/太田祥暉】
天幕のジャードゥーガル公式サイト
https://anime-jaadugar.com/