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放送直前!河森正治が語る「重神機パンドーラ」の魅力

2018年04月03日 18:00配信
放送直前!河森正治が語る「重神機パンドーラ」の魅力

「重神機パンドーラ」より

(C)2017 Shoji Kawamori, Satelight / Xiamen Skyloong Media

ついに放送が明日へと迫る「重神機パンドーラ」。原作、総監督、そして重神機デザインを務める河森正治さんに今作に懸ける思いと魅力について伺いました。

――「重神機パンドーラ」のオンエアがいよいよスタートしますが、現時点での手ごたえはいかがでしょうか?

河森:今回、キャラクターの年齢層を20代にしたのですが、これまで自分がやってきた作品よりも年齢を上げたことで、キャラクターの芝居や関係性が深く描けると感じています。レオンやダグ、クイニー、ジェイやケインといったキャラクターたちのやり取りを魅力的に描くことができますし、絵づくりの面でも楽しいものになったと思います。キャストの皆さんのお芝居もおもしろくて、楽しんでもらえるものになっているんじゃないかと、すごく手ごたえを感じています。今回は基本的に2話で1エピソードを完結させるような構成をしていまして、それぞれのキャラクターを掘り下げるエピソードを描きつつ、全体ではひとつの大きなドラマが進行していくという内容にしています。

――今回、江端里沙さん(キャラクター原案)のキャラクターもアダルトな雰囲気が出ています。

河森:江端さんには「AKB0048」のときにキャラクターの年齢感を下げたかわいらしいデザインをお願いしていたんです。今回は逆に、年齢層を上げたらどうなるんだろうと。そうしたら、すごく良いデザインをあげていただけて。江端さんもとても乗って描いていただけている感じがあって、「そうこれこれ!」とすぐに方向性が決めることができました。

――オトナのキャラクターのドラマ面については、どのようなところを意識していましたか?

河森:「マクロスΔ」の主人公ハヤテにしても、これまで自分が描いてきた若い主人公というものはルールや枠組みを破るキャラクターが多かったんですが、この数年、自分もそうは言っていられないなと(笑)。「枠組みの大切さ」があらためてわかってきたというか……。それで「契約」と言うようなオトナのキーワードを本編に入れているんです。

――いわゆる地に足がついたキャラクターたちなんですね。

河森:自分が若いころは国境線がもっとはっきりとしていて、文化や国家の対立が明確だったから、あらゆる境界線を飛び越えて世界の風通しが良くなるような作品をつくろうとしていたんです。でも、いまは枠組みが崩壊しているような時代になって、アイデンティティをつくりにくくなっているような想いがあって。もしかしたら、だからこそ自分も「枠組みの大切さ」を題材にしようとしたのかもしれません。「マクロスΔ」のときに航空自衛隊へ取材に行ったのですが、そのときにアメリカ軍と自衛隊ではマニュアル(規則)に対する考え方が違うというお話を聞いたんです。日本だとマニュアルに「規則は守らないといけない」という考え方だけど、アメリカでは「規則さえ守れば、あとは何をしてもいい」という考え方なんだと。それを聞いたときに、すごくショックを受けたんです。もちろん、あくまで大枠としての例えなのですが、その違いを聞いて、もしかしたら新しいドラマをつくることができるんじゃないかという予感を感じていましたね。

――主人公のレオンは科学者でコミュニケーション能力が低い(笑)人物として登場します。なぜ、彼が主人公なのですか?

河森:ひとつは、プロデューサーから、海外、特に中国で人気のキャラクターは「お金持ちで頭が良くて強い」キャラクターだと言われたことにあります。最初に聞いたときは頭を抱えましたが、同じことをするのは嫌だったので、その要素をうまくパンドーラのメンバーに振り分けようと。頭が良くて、メカに乗ると強くなる部分をレオンに。経済力や政治力の部分を姫に。というかたちでキャラクターを考えていきました。

――ヒロイン像やクロエについては、どのように描こうとお考えでしたか?

河森:「芯があって強くてかわいらしい、そして自信をもっている女性」が良いとリクエストがありました。その要素をクロエやクイニー、姫などの女性キャラに振り分けることで個性を出していきました。クロエについては彼女自身の過去に複雑なものがある、ということと、自分が30数年前に中国の少数民族の村へ行ったときの経験が影響しています。そこで出会った少年少女たちは10歳前後なんだけど、すごくしたたかで(笑)。たとえば彼らと値段交渉をしても自分たち大人のほうが負けてしまったんです。すべてが守られている子どもたちではなくて、荒野で生き抜いている子どもたちがいることに衝撃を受けたし、その経験があったからクロエというキャラクターを描くことができたと思っています。

――今回、河森総監督は可変ビークルMOEV(モーヴ)のデザインもされています。このメカはどんなものなのでしょうか。

河森:実は、今回はロボットアニメをつくっているつもりはないんです。たまたまレオンのもっているハイパードライブの能力を発揮するときにMOEVが人型になる、という位置づけです。「サンダーバード」のように、乗り物や道具として描かれる機体で、人型に変形したときにだけスーパーヒーローのように活躍する。特殊部隊パンドーラのメンバーが使っている機体も、量産機をパイロットにあわせてカスタマイズしているという描き方です。デザイン的にはアニメーションのメカのような洗練された感じよりも、特撮に出てくるメカのような感じを出せるようCGスタッフにお願いしました。

――「重神機パンドーラ」は、もともと「THE NEXT」というタイトルがついていた企画だったそうですが、河森総監督にとっては「THE NEXT」とはなんでしたか?

河森:人類の「THE NEXT」ですね。この企画を練っている数年間だけでもテクノロジーの進歩が著しく、状況がどんどん変化していて、このあとどうなっていくかわからない。以前は、アニメがオンエアされる時期を予測して作品の内容を考えていたのですが、もう先が読めなくなっている。それで「THE NEXT」というタイトルをつけていました。AIのシンギュラリティ(AIの能力が人間を超えるタイミング)が来るとも言われているし、人間の寿命の延長も可能になるともいわれている。そのときどうなるか? その時代の変わり目に直面した、オトナたちのドラマをぜひとも見ていただきたいなと思います。

取材・文:志田英邦

■テレビアニメ「重神機パンドーラ」

放送:TOKYO MX…4月4日より毎週水曜23:30~

WOWOW…4月6日より毎週金曜21:30〜

BS11…4月6日より毎週金曜23:30~

    MBS…4月7日より毎週土曜27:38〜

配信:Netflixにて日本先行独占配信/全世界展開決定

スタッフ:原作、総監督、重神機デザイン…河森正治/監督…佐藤英一/シリーズ構成…根元歳三/キャラクター原案…江端里沙/キャラクターデザイン…安彦英二/B.R.A.Iデザイン…宮崎真一/アニメーション制作…サテライト

キャスト:レオン・ラウ…前野智昭/クイニー・ヨウ…花澤香菜/ダグ・ホーバット…津田健次郎/クロエ・ラウ…東山奈央/グレン・ディン…内田雄馬/ケイン・イブラヒーム・ハサン…石塚運昇/ジェイ・ユン…梅原裕一郎/セシル・スー…茅野愛衣/ジーク…中村悠一/ワン…近藤孝行/フォー…石川界人/ロン・ウー…石田彰

リンク:「重神機パンドーラ」公式サイト

    公式Twitterアカウント・@unit_pandora