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細田守×tupera tuperaの化学反応から生まれた夢の絵本! 『オニババ対ヒゲ』刊行記念対談

2018年07月23日 17:01配信

細田守監督(中央)とtupera tuperaのおふたり
細田守監督(中央)とtupera tuperaのおふたり

細田守監督の最新作『未来のミライ』がついに公開! 作品のキーとなるキャラクター、「遺失物係」と「駅長」のキャラクターデザインを担当したのはtupera tuperaさん。絵本やイラスト、アート・ディレクションなど幅広く活動している亀山達矢さん、中川敦子さんご夫婦のユニットです。さらに、映画に登場する絵本『オニババ対ヒゲ』が、細田監督とのコラボレーションで刊行されることに。3人の初コラボがどのようなものだったのかをうかがいました。

──最初は細田監督が直接tupera tuperaさんにアプローチされたそうですね。

細田:そうなんです。Twitterで連絡を取ったんですよ。ぜひ、お話を聞いていただけませんか、と。出版社経由とかじゃなくてTwitterでというところがなんとも現代的でダイレクトですけどね。

中川:キャラクターの一部をデザインしてほしいとお話をいただいて、嬉しかったのと同時に戸惑いもありました。細田守監督の映画の中に自分たちの絵がどのように溶け込むのか。入っちゃっていいんですか、と(笑)。どこまで自分たちのいつもの調子でやっていいのか分からない部分があったので。

亀山:監督も「こうしてほしい」と決め込むのではなく、「とりあえずいろいろ考えましょう」というラフな感じでしたね。

中川:最初は、とりあえず思いついたものをバーッと提案しました。

細田:10点以上ありましたよね。どれも面白くて、さすがだなと思いましたよ。

亀山:こちらが出した案に監督が笑ってくれたり、楽しいリアクションがあってうれしかった。これはないだろうなと思ったものでも反応してくれる。そのやりとりが心地よかったんですよね。ものづくりをする者同士として。

──「遺失物係」と「駅長」のキャラクターのほかに、映画の中に出てくる絵本『オニババ対ヒゲ』もtupera tuperaさんが描かれたんですね。

 映画「未来のミライ」で、くんちゃんが『オニババ対ヒゲ』を読み聞かせるシーン
 映画「未来のミライ」で、くんちゃんが『オニババ対ヒゲ』を読み聞かせるシーン
(C)2018 スタジオ地図

細田:せっかくtupera tuperaさんに関わってもらえるのだから、映画の中の絵本にも協力してもらえないかな、と考えたんです。

中川:「映画本編用にほしいのは、表紙、裏表紙と中の1、2見開き」とおっしゃっていましたね。実際の絵本にするかしないかは後で決めましょう、と。私たちも急がずに考えようと思っていたのでよかったです。

亀山:「絵本ってページ数も少ないしすぐできるんでしょう?」とよく言われるんですけど、そんなことはなくて。いままで三十数冊は絵本をつくっているんですが、構想から数えるとどれも1年くらいはかかっています。「これでいける!」と決まれば早いんですけど、そこまでが長い。ゼロからつくっていくので無限に可能性があるんです。コンセプト、画材、絵のタッチ、色、デザイン、判型、紙……。最終的に仕上った絵本を見ると、単純にみえるかもしれませんが、「絵本を作る」って実はすごくむずかしい。でもそこが楽しいところでもあります。

細田:時間がかかると言ってもお二人の思考がゆったりしているのかと言えばそうじゃない。一瞬のひらめきを物にする方々だと思うし、最初のひらめきが最後にちゃんと形になる。じゃあ、なんで1年かかるかというと、ほかの仕事もいっぱいやってるからですよ(笑)。わが家が最初に買ったtupera tuperaさんの絵本は『ぼうしとったら』なんですが、しかけ絵本で帽子の部分を開くたびに驚きがある。子供が遊びすぎて帽子の部分が取れてやぶれてしまった。本当にお気に入りなんですよ。

中川:ボロボロになった本って愛を感じます。嬉しいですね。

『オニババ対ヒゲ』中面
『オニババ対ヒゲ』中面
(C)Mamoru Hosoda 2018 (C)tupera tupera 2018 (C)2018 スタジオ地図

亀山:でも、今回の『オニババ対ヒゲ』ではtupera tuperaらしさを出したくないという前提で考えたのです。「遺失物係」と「駅長」がtupera tuperaらしく、というお話だったので絵本は変えようと。映画に出てくる絵本『オニババ対ヒゲ』は著者名がtupera tuperaではなく、「細川かめ子」という名前になっているし。

細田:僕はいつものtupera tuperaさんらしい絵本でいいと思っていたんですけどね(笑)。たとえば、「遺失物係」のキャラクターデザインと響き合ってもいいと思っていた。でもtupera tuperaさんは響き合っちゃだめなんじゃないかとずっと言っていましたよね。

中川:映画の中ではtupera tuperaの絵本がお部屋の本棚に挿してあると聞いていたので、余計に『オニババ対ヒゲ』はtupera tuperaではないという設定にしたかったんです。

亀山:それに内容に関しても僕らで勝手に進めていくのではなく、細田監督と一緒に考えたいとお願いしたんですよね。

細田:tupera tuperaさんらしさが失われるのは嫌だったので、僕はヘンに手を出したくなかったんです。でも、ネームの段階では、2つに分かれていた絵を1枚にしたらどうですか、とか何カ所か口を出しましたね。

亀山:的確な指示で、さすが監督だなと思いました。

中川:採用しなかった意見もありましたけど(笑)。監督の構図を採り入れすぎちゃうと映画との境界が曖昧になってきちゃうので。

細田:それでよかったと思いますよ。

亀山:細田さんがきっかけをくれた絵本ですから責任がありますよ(笑)。僕たちが思ってもみないところから絵本つくりが始まって、最終的にいままでやったことがないものが出来上がった。細田監督とtupera tuperaの化学反応で生まれた絵本なんです。

文=タカザワケンジ 撮影=阿部岳人

■劇場用アニメーション「未来のミライ」

全国ロードショー中

スタッフ:原作・監督・脚本…細田守/作画監督…青山浩行、秦綾子/美術監督…大森崇、髙松洋平/音楽…高木正勝/画面設計…山下高明/色彩設計…三笠修/CGディレクター…堀部亮/衣装…伊賀大介/プロダクションデザイン…上條安里、谷尻誠、tupera tupera、亀田芳高、小野令夫/企画・制作…スタジオ地図

キャスト:くんちゃん…上白石萌歌/ミライちゃん…黒木華/おとうさん…星野源/おかあさん…麻生久美子/謎の男…吉原光夫/ばあば…宮崎美子/じいじ…役所広司/青年…福山雅治

■「オニババ対ヒゲ」

発売中

作:tupera tupera、細田守

価格:税別1500円

リンク:「未来のミライ」公式サイト

    「スタジオ地図」公式サイト

    「オニババ対ヒゲ」詳細ページ