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アニメーションを見ることは人間そのものを見ること――堤大介監督と細田守監督がアニメの魅力を語り合ったトークイベントをレポート

2019年05月20日 11:28配信
アニメーションを見ることは人間そのものを見ること――堤大介監督と細田守監督がアニメの魅力を語り合ったトークイベントをレポート

トンコハウス映画祭のトークイベントで語り合う堤大介監督(写真左)と細田守監督(写真右)

東京・EJアニメシアター新宿で5月26日(日)まで開催されている「トンコハウス映画祭」。アニメーションスタジオ・トンコハウスがキュレーションした世界の名作ショートアニメーション20作品以上が上映されているほか、ワークショップやイベントも数多く開催されています。5月17日(金)には、アニメーション監督の細田守さんを招いてトンコハウスの堤大介監督とアニメーションの魅力について語り合うトークイベントが開催されました。

堤監督と細田監督の縁は2012年から。当時ピクサーに勤めていた堤監督のもとに、日本テレビの奥田誠治プロデューサーから「おおかみこどもの雨と雪」をピクサーに見せたいと打診があったのがきっかけだといいます。

堤監督は当時を振り返り「ピクサーは映画好きが多いがゆえに、映画に対して辛口です。細田さんの作品を理解できるのか不安だった」と語るも、結果は大絶賛だったとのことです。「(「おおかみこどもの雨と雪」は)ピクサーの作品とは毛色が大きく異なる作品でしたので、あれは嬉しかったです(細田監督)」。

当時の堤監督はアートディレクターとして2013年上映の「モンスターズ・ユニバーシティ」の制作真っ只中でしたが、細田監督はそんな堤監督に"自分も作品を作りたいというオーラ"を見たと述懐。ピクサーは役職ごとの分業がはっきりしており、「美術監督が監督をすると言ったら笑われることもあるくらい(堤監督)」だったそうですが、細田監督は「それでも、役職に縛られず作品を作りたいと思う人は作るべき」とアドバイスしたのが、堤監督がトンコハウスを設立するきっかけになったとのことです。細田監督は「僕がアドバイスのようなものをしたことがきっかけで生まれた「ダム・キーパー」が、いきなりアカデミー賞の短編アニメーション部門にノミネートされた。これは、僕の密かな自慢なんです(笑)」と笑顔で語ります。

堤監督と細田監督は、ともにアカデミーの会員でもあります。細田監督は「自分がアカデミー章に推薦した作品が選考から漏れるとすごくショック」と笑いつつも「世界の短編アニメーションをまとめて見られる機会は、こういう会員でもなければそうそうないので、トンコハウス映画祭はすごくいい機会になると思います。今回上映されているのはどれもすばらしい作品ですので、絶対に損はしないです」とコメント。それを受けて堤監督は「僕らが映画祭をやろうと考えた理由もまさにそこなんです。世界のショートフィルムにはすごい作品がたくさんあるのに、注目されるのはせいぜい数作品。それなら、映画祭をやれば少しでも広められるのではと」と、映画祭開催の経緯を語りました。

そして話題は、2018年に上映された「未来のミライ」に。細田監督は「(「未来のミライ」は)アメリカでは評価されないだろうと思っていた」と語ります。「公開規模もそれほどではありませんでしたし、作品も身の回りの個人的なことがモチーフ。制作時には、日本でも「こんな個人的なものをどうやって見せるのか」という話が出たくらいです。でも、それがゴールデングローブ賞にノミネートされるほど、アメリカでも評価していただけた。そうして初めて、自分の周りにある日常は取るに足らないものではない。そんな個人的な話にこそ価値があって、インターナショナルに通じているのだと分かりました(細田監督)」。

「アニメーションは、作っている人が(フィルムに)そのまま出る。人間そのものを見ているようで、そこが好き」と笑顔で語った細田監督。最後にアニメーション制作へのモチベーションを問われると「今、世の中は多くの作品であふれています。ですが、とりわけアニメーションにおいては、"こういう切り口でこういうジャンルを描いたらおもしろくなるのでは"というような可能性が十分に残されているとも思っています。まだまだ実験が足りていない。"もう満足できた"というような気分にはまったくなりません」とコメント。

堤監督は「アニメーションは最終的には、自分たちが感じていることや、未来に向けて残したいことを形にして届けるためのツールだと思っています。作品を作って、それを見た人が何かを感じてくれたら、そこに新たな可能性が生まれる。これはアニメーションでなくともできることですが、僕と細田監督にとって、それを一番うまくできるのがアニメーションだったのだと思っています」と続け、細田監督が「そのくらい、(アニメーションで)表現すべきことが残っているのはいいことです。作品が次の新たな作品の誕生につながる循環を作っていきたい」とまとめました。

トーク終了後は、上映作品の中から細田監督がセレクションした作品として、「父と娘」、「マイ・ムーン」、「木を植えた男」、「ダム・キーパー」、「ウィークエンド」、「ONI(仮題)」が上映されました。トンコハウス映画祭は、EJアニメシアター新宿にて5月26日(日)まで開催中です。上映作品の詳細、ワークショップやイベントのチケット販売状況などの詳細は「トンコハウス映画祭」公式サイトでご確認ください。

■トンコハウス映画祭

開催期間:2019年4月27日(土)~5月26日(日)

会場:EJアニメシアター新宿 4Fシアター/5Fカフェ

鑑賞料金:大人…1300円/中学生以下…900円/3歳未満のお子様…無料(個別に席を希望する場合は900円)

※各プログラムごとに上映チケットが必要となります

※上映日の6日前より劇場公式HP・劇場窓口にて購入可能です

リンク:トンコハウス映画祭公式サイト

    トンコハウス映画祭アンケートフォーム

    公式Twitter・@TonkoHouseJapan