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『シン・エヴァ』を前におさらい!教えて氷川教授!「設定資料からエヴァンゲリオンをもっと楽しめるようになる講座」イベント レポート

2019年12月26日 19:52配信
『シン・エヴァ』を前におさらい!教えて氷川教授!「設定資料からエヴァンゲリオンをもっと楽しめるようになる講座」イベント レポート

「設定資料からエヴァンゲリオンをもっと楽しめるようになる講座」イベントより

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「:破」の映像制作の軌跡を詳細に記録した公式書籍「全記録全集」シリーズ。そのソフトカバー版の発売を記念したトークイベントが、2019年10月18日(金)に東京カルチャーカルチャーで開催されました。

イベントの主旨は、「全記録全集」に掲載された設定資料を題材に、アニメ・特撮研究家/明治大学大学院 特任教授の氷川竜介さんに、アニメの設定資料の読み解き方を教わろうというもの。

MCの呼び込みで氷川さんが登壇すると、当日限定のコラボドリンクを片手に、満場の客席と乾杯。そしてまず、「全記録全集」という日本語として特殊なタイトルが、「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」という、アニメ史に残る名作の関連書籍を踏まえた由緒正しいネーミングである点に触れ、そこから「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」の制作発表時に、庵野秀明総監督によって書き下ろされた所信表明へと話題を繋ぎます。所信表明の内容にも現れている、「アニメ」という表現形態に対する庵野総監督の思いが、「全記録全集」に収録された設定のひとつひとつにも込められているといいます。

そしてトークは本題である、「全記録全集」の内容へと進みます。イベント中、「エヴァは特殊な作り方をしている」とたびたび口にしていた氷川さん。その「特殊」な部分に迫るような形で、トークは進行していきました。

まずはアニメーション制作のワークフロー全体図を確認。企画、脚本に始まり、設計・デザイン、絵コンテ……と、どのような工程がアニメを作る上で存在しているかを大まかに見渡したのち、個々の項目の詳細な解説へ。

項目ごとに、「全記録全集」に掲載された図版を大スクリーンに表示しながら、〈キャラクター表に三面図が必要なのは、立体として絵を動かすため。素材の質感などの情報があるのも同様の理由〉〈美術設定は、図の中にある複数のカメラ位置を把握するための目印をたどるようにして読み解く。そうすると、頭の中に作品の舞台をイメージすることができる〉〈レイアウトは画面と観客の視線を合わせるために作られている〉など、ひとつずつ〈映画とは何か? また、映画との関係において、アニメとはどういう表現なのか〉〈アニメーションの制作において、なぜその資料が必要とされるのか?〉という原理的な問いにまでさかのぼっての解説が続きます。

イベントの中盤から後半にかけて、比較的長めの時間を割いて行われた3DCGに関する解説では、アニメと日本の「特撮」との影響関係が掘り下げられました。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズのCGワークは、〈ミニチュア特撮を再現したい〉という目標を立ててカラー社内に専門部隊(デジタル部)を設立して制作されており、3DCGを使用しながらも、3DCG専任スタッフが思いつかないような特別な表現を開発することが、ミッションとして設定されているとのこと。

それ以外にも、前田真宏さんなどデザインに参加した個々のクリエイターへの言及や、画面上の注意書きなどを張り込む2DCGワークの重要性の指摘など、トークテーマは多岐にわたり、質疑応答も含めての2時間半、濃密なトークが展開されました。

最後にイベントの総括として、氷川さんは「ちょっとしたものでも来歴……〈それがどうしてここにあるのか? この先どういう役割を果たすのか?〉という、現在と過去、未来がセットになったようなものとして、アニメの中に置かれているのだという考え方があります」「『エヴァ』がもっている過去・現在・未来のベクトルに沿ったものとしてひとつひとつ(の要素)が置かれていて、それを大勢の人が編み上げて作品にしているところがアニメーションの魅力だと思います。それをここ(=設定資料)から読み解いていくのもまた、二次的な楽しみとしていいでしょうし、それでまた最初に見た映画がまた違った風に輝いて見えるならなお良しだと思います」とコメント。イベントをあらためて「全記録全集」へと接続し、講義を締めくくりました。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」「:破」の「全記録全集」ソフトカバー版は、現在、全国書店やエヴァンゲリオンストアで好評発売中です。また、ハードカバー版から割愛されたインタビューは、「エヴァンゲリオン」公式アプリ「EVA-EXTRA」にて電子書籍版が近日発売予定のこと。

【文・構成=前田 久(前Q)】