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「デカダンス」リレーインタビュー キャラクターコンセプトデザイン・pomodorosa「“人の営み”が感じられるようなデザインを目指した」

2020年08月13日 00:30配信

矯正施設の抜け穴が明らかとなり、新たな「可能性」が見え始めた「デカダンス」。本作の魅力を掘り下げるリレー連載第11回は、キャラクターコンセプトデザインのpomodorosaさんにお話を伺いました。ナツメやカブラギたちはどのように誕生したのでしょうか!?

pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
(C) DECA-DENCE PROJECT

――本作に参加されることになった経緯を教えていただけますか。

pomodorosa お話をいただいたのは、2017年の夏頃でした。ちょうど別のアニメのキャラクター原案が佳境の頃で、冗談抜きで自宅軟禁状態だったんです(笑)。本来ならこちらからNUTさんにお伺いしないといけなかったのですが、立川譲監督と角木卓哉プロデューサーにご足労いただいて、作品の説明を受けました。

そのときに立川監督によるオリジナルアニメであること、荒廃した世界が舞台であり、デカダンスという巨大な構造物の中で生活する人間の物語であることを教えていただいて、その人間たちのコンセプトデザインをしてほしいというオーダーをいただきました。

――その時点でキャラクターの設定はある程度決まっていたのでしょうか。

pomodorosa カブラギもナツメも、修理工であるとか修理工見習いであるという設定があったくらいで、そこまで詳細な設定は決まっていなかったと思います。「スチームパンクのような世界」とのことだったので、それも参考しながらカブラギ、ナツメ、ミナト、クレナイのデザインを少しずつ進めていき、2018年に入った頃にある程度まとまった設定やプロットをいただきました。

想像していたよりも複雑に入り組んだ世界で、一読しただけでは全容を掴みきれなかったことを覚えています。同時に自分のデザインしているキャラクターが作品全体の一部分にすぎないことがわかり、物語の壮大さに驚愕しました。

――キャラクターコンセプトデザインを考えられる際、どういう点を大事にされましたか。

pomodorosa 「デカダンス」は今日を生き残れるかもわからないような残酷で殺伐とした世界が基調になっています。でも私の絵柄はどちらかというと、それとは正反対の牧歌的でのんびりした雰囲気が特徴なので、ミスマッチではないですかと立川監督にご相談したことがあったんです。

今でも覚えているのですが、監督から「殺伐とした世界で生活する人が必ずしも殺伐としているわけではない。明日をも知れない世界の中でも私たちと変わらず子を産み育て、生きるために仕事をして日々をまっとうする。そういう点ではデカダンスの人々も私たちも変わらないんです」というお話をいただいて、とても感動しました。監督は「普通の人」を描くことを大事され、その上で私に依頼されたのだとわかり、それが嬉しかったです。

――デカダンスにはちゃんと人の営みがあると。

pomodorosa そうなんです。それが根底にあったので、奇をてらったキャラクターというのは考えないようにしました。

――では最初にカブラギのコンセプトデザインについて、大切にしたポイントを聞かせていただけますでしょうか。

pomodorosa カブラギはいろいろ諦めて修理工をしているとのことだったので、最初はかなり寂れた感じ、渋い路線からスタートしました。何度かフィードバックを受けて、その際にいただいたのが「今はこんな状況だけど、昔はすごかった」というキーワードです。そのヒントをもとに、ただの世捨て人ではなくかっこいい一面も出すようにしました。体つきも、元戦士なので年齢のわりには筋肉質という形にまとまっていったと記憶しています。

――最初はかなり寂れた感じだったんですね。

pomodorosa そうなんです。初稿を見ていただくとわかるのですが、最初は前髪がかなり薄かったんです(笑)。さすがにちょっと老けすぎということで、そこからかっこいいおじさんを目指していきました。

――ご自身で気に入っているポイントはどんなところですか。

pomodorosa 髪の毛の白いハイライトですね。実はこれ、白髪なんです。白髪交じりのおじさんってかっこいいなと思い、最初のデザインの一部を残しました。もう一つは、姿勢ですね。私は立ち姿にそのキャラクター性が表れると考えているので、姿勢の描き方を大切にしていて。初稿のカブラギは寂れた感じを出すために少し猫背にしたのですが、そこからただの世捨て人ではないと知って、姿勢をまっすぐにしていきました。いい意味でキャラ変できたかなと思います。

――では、ナツメについてはいかがでしょうか。

pomodorosa ナツメは最初、キャラクター表記を漢字でいただいていたんです。確か、棗椰子(ナツメヤシ)の「なつめ」だったと思いますが、夏を感じさせる女の子のイメージがあったので、明るいキャラクターを考えていました。ただ義手の設定もあったので、「悲惨な人生を歩んでいるけれど決してめげない芯の強さを持っている」という部分も大事にしたいと思い、内面の強さも意識するようにしました。どんなにつらくても上を向いているようなキャラクターですね。

pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
(C) DECA-DENCE PROJECT

――ナツメの髪型はいくつかパターンがあったと伺いましたが、どのように決まっていったのでしょうか。

pomodorosa 最初にナツメのデザインを提出したところ、別のパターンも見たいという監督のリクエストで4パターン追加しました。候補としてあったのは、最初に提出した現在のデザインに近いAパターン、ちょっとガーリーなBパターン、おしゃれ女子のCパターン、ロングヘアのDパターン、リボンをつけたEパターンですね。結果的に最初に描いたものがいいよねということで、Aパターンが現在のナツメの原型になりました。

ナツメの髪パターンA
ナツメの髪パターンA
(C) DECA-DENCE PROJECT

ナツメの髪パターンB
ナツメの髪パターンB
(C) DECA-DENCE PROJECT

ナツメの髪パターンC
ナツメの髪パターンC
(C) DECA-DENCE PROJECT

ナツメの髪パターンD
ナツメの髪パターンD
(C) DECA-DENCE PROJECT

ナツメの髪パターンE
ナツメの髪パターンE
(C) DECA-DENCE PROJECT

――義手側がノースリーブになっているのはpomodorosaさんのアイデアだったのでしょうか。

pomodorosa はい、衣服を着脱するときに義手が袖に引っかかってしまうので、ノースリーブにしてぱっと着脱できるようにしました。それから、義手だけど本人はそれを一切恥ずかしいことだと思っていない、というのもナツメらしさだと思ったんです。袖を切り落としているのは、大切な相棒のためであるという意味でもあります。

――ナツメのデザインで特に気に入っている部分はどこでしょうか。

pomodorosa ナツメに限らずタンカーたちは質素な生活をしているので、生成りの作業着のようなシンプルな衣服を着ています。クレナイのように中には装飾品をつけている人もいますが、あのマントはガドルの皮でできていて、ピアスはガドルのキバを加工したものなんです。簡素な洋服とガドルを利用した装飾品によって、デザインの幅が広がったのはとてもよかったなと思います。

pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
(C) DECA-DENCE PROJECT

――ではミナトについてはいかがでしょうか。

pomodorosa ミナトは司令官としてちゃんとした服を着ているという情報をいただいたので、わかりやすく制服を着せることにしました。あとカブラギとは古い友人でカブラギ並みにかっこいいとも伺っていたので、ワイルドなカブラギとは少し方向性を変えて、インテリジェンスのあるおじさんを目指していきました。

――ミナトの髪にも白いメッシュ状のものが入っていますが、あれも白髪ですか。

pomodorosa はい。あれも白髪です。

pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
(C) DECA-DENCE PROJECT

――ありがとうございます。では最後にクレナイについても聞かせてください。

pomodorosa 昔、「はじめ人間ギャートルズ」('74~'76年)という原始時代を舞台にしたTVアニメがあったのですが、最初は「~ギャートルズ」の人間が恐竜に立ち向かい、その肉を食べるような雰囲気をイメージしていたんです(笑)。初稿段階だとかなりの筋肉質で、下半身も今よりずっと太めでした。そこから現在の形に近づいていったのですが、マッチョボディにきれいな顔の女性というコンセプトは現在まで変わらず、束ねた髪をうしろでまとめるシニヨンも初稿のままです。

――強靱さを感じさせる肉体とかわいらしい顔のバランスが素敵です。

pomodorosa ありがとうございます。女性アスリートから着想を得た部分もありました。例えば腹筋がバキバキに割れているのに、顔はとてもかわいらしいという選手もいらっしゃいますよね。そのバランスが「かっこいい」に結びついたらいいなと考えました。

pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
(C) DECA-DENCE PROJECT

pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
(C) DECA-DENCE PROJECT

――ちなみに、描いていて一番難しかったキャラクターは誰ですか。

pomodorosa やっぱりカブラギでしょうか。最初にもお話ししたとおり、牧歌的でのんびりした雰囲気の絵を描いてきたので、やっぱり年季の入ったおじさんは難しくて(笑)。特に表情や姿勢に表れる内面的なものや生き様を引き出すのが難しいので、自分が引き出すというよりは、それをアニメスタッフの皆さんに引き出してもらえるようなデザインを心がけました。あまり固めすぎず、想像する余地のあるおじさんになればいいな、と。

――逆にスムーズに描けたというキャラクターは誰でしょうか。

pomodorosa 最初に描いた四人以外はみんなスムーズだったと思います。リンメイやフェンネルたちですね。

――リンメイは、服装が質素な一般のタンカーの中ではちょっとおしゃれですよね。

pomodorosa そうなんです。基本となるタンカーたちの服はありますが、独自におしゃれをしちゃうような子は必ずいると思いますし、着こなしは個々の自由だと思うので、私なりにアレンジを加えてみました。そういう部分も私たちと変わらないのかなと思います。

pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
pomodorosaさんが描いたキャラクターコンセプトデザイン
(C) DECA-DENCE PROJECT

――ありがとうございました。では最後に、「デカダンス」ファンへひと言いただけますか。

pomodorosa キャラクターコンセプトデザインとして、デカダンスに生きる「普通の人」たちを描きました。その普通の人たちが物語の中で意外な成長をしたり、変化を見せたりするのを楽しみにしています。皆さんにもぜひ、その普通の人たちの成長や変化を見ていただけたら嬉しいです。

【取材・文:岩倉大輔】

■TVアニメ「デカダンス」

放送:AT-X…毎週水曜23:30~

   TOKYO MX…毎週水曜25:05~

   テレビ愛知…毎週水曜26:35~

   KBS京都…毎週水曜25:05~

   サンテレビ…毎週水曜25:30~

   BS11…毎週木曜23:00~

配信:ABEMA…水曜24:00~ ※地上波先行・最速単独配信

   dアニメストア…毎週土曜24:30~

スタッフ:原作…DECA-DENCE PROJECT/監督…立川譲/構成・脚本…瀬古浩司/キャラクターデザイン・総作画監督…栗田新一/キャラクターコンセプトデザイン…pomodorosa/サイボーグデザイン…押山清高(スタジオドリアン)/デカダンスデザイン…シュウ浩嵩/ガドルデザイン…松浦聖/音楽…得田真裕/音響監督…郷文裕貴/アニメーション制作…NUT/製作…DECA-DENCE PROJECT

キャスト:カブラギ…小西克幸/ナツメ…楠木ともり/ミナト…鳥海浩輔/クレナイ…喜多村英梨/フェイ…柴田芽衣/リンメイ…青山吉能/フェンネル…竹内栄治/パイプ…???

リンク:TVアニメ「デカダンス」公式サイト

    公式Twitter・@decadence_anime