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「ジョゼと虎と魚たち」中川大志×清原果耶インタビュー「2人のピュアさが色鮮やかに、カラフルに描かれている作品」

2020年11月09日 10:00配信
「ジョゼと虎と魚たち」中川大志×清原果耶インタビュー「2人のピュアさが色鮮やかに、カラフルに描かれている作品」

中川大志さんと清原果耶さん

(C)2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project

芥川賞作家・田辺聖子の名作で、2003年には実写映画化もされた青春恋愛小説の金字塔「ジョゼと虎と魚たち」が、アニメーション映画となってスクリーンに登場する。

海と魚に惹かれ、海洋生物学を学ぶ大学生・恒夫と、生まれつき足が不自由な車いすのジョゼ。祖母と2人暮らしで趣味の絵と本にふけり、人との触れ合いをほとんど知らなかったジョゼは、恒夫との出会いをきっかけに外の世界に飛び出す決意をする。初めての海、初めてのショッピング、初めての図書館。そして……初めての恋。瑞々しく真っ直ぐな純愛が、切なさ、痛み、喜びを交えて描き出されていく。

恒夫を演じる中川大志さんと、ジョゼを演じる清原果耶さんは、昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」で共演をした若手実力派俳優。美しく表現される世界の中、にじみ出る恒夫とジョゼの感情。役を通し、2人はどんなことを感じ取ったのか。アフレコに臨んだ気持ちなどを聞いた。

――恒夫とジョゼ、それぞれのキャラクターを演じての印象。魅力に思ったところを教えてください。

中川:恒夫は海が好きで、ダイビングショップでバイトをしながら夢に向かって勉強に励んでいる大学生。性格的にはちょっと天然なところ、鈍感なところがある男の子ですね。

清原:ジョゼは関西弁で、ものすごくきつい言葉で話す子なんですが、その言葉の中にもジョゼらしい愛しさがあり、ちょっとヤキモチを焼いたり、普通の女の子らしい一面が見えるところもあったり。でも、自分の人生を達観して見てもいるような、いろいろな魅力が詰まった女の子だと思いました。

――脚本を読んで、アフレコではどのような役作りをしようと考えましたか?

中川:恒夫はジョゼの世界観に引っ張られていく部分が大きいので、最初、恒夫は受けでいようと思ったんです。でも、タムラコータロー監督からは、「恒夫は恒夫の世界観を持っていてほしい。ジョゼのペースに引っ張られすぎない、ちょっと噛み合わないような具合を出してほしい」という言葉をいただきまして。それで天然さや、海のことになると周りが見えなくなってしまう、そういう熱量を大事にする方向に変えていきました。

清原:ジョゼはとにかく気が強く、でも臆病なところも持っている。ひとつのシーンの中だけでも感情の起伏がはっきり付いている子なので、それを声色だけで、しかも、関西訛りのいいアクセントで話さないといけないというのは意識したところです。監督からは、「ジョゼは24歳だけど、もっと幼い、小学生くらいの子に声を当てるような気持ちで」という、年齢感的なところでアドバイスをいただきました。でも、きっと喋り方の問題ではないと思うし、監督のおっしゃる幼い表現ってどういうものだろうって……。ずいぶん悩みながらの役作りでした。

――お2人はこれまでにもアニメ声優のお仕事をされていますが、今回のアフレコでの新しい発見、大変なことなどはありましたか?

中川:僕は今までにアニメーション、吹き替えの仕事は4回経験しているんですが、今回はそれらとは違い、監督からは声優ではない僕らを起用した意味、本職の声優さんが持つ声の技術よりも、ナチュラルさを大事にしてほしいという話がありました。とは言え、普段の映像のお芝居とはまた違うので、キャラクターっぽくなりすぎない、人間味のある自然なラインを探っていくのが大変でした。

清原:私はデビューしてすぐの頃にアニメーションのお仕事させていただいたことがあるのですが、今回もまたそのときと同じで右も左も分からない感覚でのアフレコでした(苦笑)。でも、監督の話をしっかり聞いて、それを体現できるようにとだけは考えて。関西弁については私も大阪出身なので、訛り方や言葉について提案させていただいた部分もあります。

――独特な絵の表現がある作品です。ビジュアルを見ての印象や脚本を読んでの印象はいかがでしたか?

中川:ジョゼの視点から見た世界がすごく独創的で美しく、そこはアニメーションにしかできない表現ですよね。ぜひ大きいスクリーンで見ていただきたいところです。障害を持つ女の子の話であり、それが丁寧に描かれているんですが、テンポの良さもあり、重い気分にならない。じめっとした雰囲気がないんです。僕はこの作品のそういうところがすごく好きで、2人のピュアさが色鮮やかに、カラフルに描かれている作品だと思いました。

清原:光の入り方や色の世界観は、本当にアニメーションでしか体現できないものですよね。脚本はジョゼと恒夫だけでなく、周りのキャラクターが起こす行動にも興味をそそられる内容で、どのキャラクターも応援したくなる。人の弱さや強さが、それぞれの視点から見えてくるんです。恒夫とジョゼが二人三脚で成長していく様子。盛り上げたり、背中を押したりする舞と隼人。優しく、温かく、ほっこりして、そういう中に切なさを感じる部分も魅力的でした。

――非常に心に刺さる物語でもあります。アフレコをしていて特に印象的だったセリフはありますか?

中川:恒夫が、ジョゼが描いた絵を初めて目にするシーン。彼女の描く絵というのはとても独創的で、それを見た恒夫が、ぼそっとつぶやくんです。「あんな海があったら、綺麗だろうな」って。ジョゼの感性、景色の見え方に恒夫が魅力を感じるきっかけのようなところで、このシーンのセリフはとても印象的でした。

清原:私はジョゼの、「ノラ猫なら甘えてたらあかん……一人で虎と戦うんや」というセリフ。これ、ジョゼの決意表明だと思って、決め台詞のように読んだセリフなんです。「あれをしたい、これをしたい」と思っても、なかなか行動に起こせないことってあるじゃないですか。それを飛び越える心の強さみたいなものを感じ取れて、とても良いセリフだなと思いました。

――この映画からどんなことを感じ取ってほしいか、上映に向けてメッセージをお願いします。

中川:ジョゼにしかない視点や感性、そういう世界がアニメーションで美しく、綺麗に描かれていますので、そこはやっぱり劇場の大きい画面で見てもらいたいです。

清原:原作を読まれている方、実写映画をご覧になられている方は沢山いらっしゃると思いますが、今回のアニメーションはまったく別の新しい「ジョゼ」として見ていただけるものです。そして、描かれる世界と同じくらい、Evan Callさんが作る劇伴が素晴らしいんです。1分あるかないかくらいの劇伴の中ですら素晴らしい世界を聴かせてくださって、とても感動的でした。アニメーションと合わせて、ぜひEvanさんの音楽も楽しんでいただきたいです。

【取材・文:鈴木康道】

スタッフ:原作:田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫刊)/監督:タムラコータロー/脚本:桑村さや香/キャラクター原案・コミカライズ:絵本奈央/キャラクターデザイン・総作画監督:飯塚晴子/コンセプトデザイン:loundraw (FLAT STUDIO)/音楽:Evan Call/アニメーション制作:ボンズ/主題歌:Eve 「蒼のワルツ」(TOY’S FACTORY)/配給:松竹/KADOKAWA/製作:『ジョゼと虎と魚たち』製作委員会

キャスト:鈴川恒夫:中川大志/ジョゼ:清原果耶/二ノ宮舞:宮本侑芽/松浦隼人:興津和幸/岸本花菜:Lynn/山村チヅ:松寺千恵美/西田店長:盛山晋太郎(見取り図)/駅員:リリー(見取り図)

リンク:映画「ジョゼと虎と魚たち」公式サイト

    公式Twitter・@joseetora_movie