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山本プロデューサーと担当編集が「Project Itoh」を語った「虐殺器官」公開記念イベント

2017年02月06日 17:49配信
山本プロデューサーと担当編集が「Project Itoh」を語った「虐殺器官」公開記念イベント

上映前に登壇してコメントをした山本幸治さん(左)と塩澤快浩さん(右)

(C)Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN 

2月3日(金)から絶賛上映中の「虐殺器官」。その公開初日を記念して、「Project Itoh」3作品一挙上映オールナイトイベントがTOHOシネマズ新宿で開催されました。

上映前には、「Project Itoh」の生みの親であり、ジェノスタジオ代表でもある山本幸治プロデューサーと、「虐殺器官」「ハーモニー」の担当編集者の塩澤快浩さんが登壇し、伊藤計劃さんとの出会いや「Project Itoh」の誕生秘話について語りました。

■山本幸治さん(「Project Itoh」チーフプロデューサー)

――本日「虐殺器官」初日を迎え「Project Itoh」が完結となりました。今の心境をお聞かせください

先日、「ひと仕事終わったんだって?」って母親から初めてメールがありました(笑)。「虐殺器官」はアフレコロールを見た時から「面白い!」と確信していたので、その時から観客目線ではありました。昨年の年末から「完成が間に合うか?」とブルーになることはありましたが、画さえ上がれば(作品のクオリティに関しては)大丈夫だと思っていました。「虐殺器官」は、絵コンテの段階から、画面のカッコ良さがありましたね!

――原作から受け取ったもの

自分は「東のエデン」をやっていた頃から、アニメを作る上で、物語、テーマ、ガジェットという部分を意識していましたが、伊藤計劃さんの原作には、“計劃”という名前だけあって、意図的に“それ”が入っているんです。

――伊藤さんの死について

伊藤さんの小説には、やはり侵食してくるような“圧”があるんです。それは病を抱えて「これが最後かも…」という状況の中で、作品に自分が反映されているからこそ出てきた“圧”なんだと思います。プロモーションに際して「祈りなのか? 悪意なのか?」という言葉を使ったのですが、自分の命は終わるけど、世界は続いていく。伊藤さんは世の中をどう見ていたのか、そこには悔しさ(=呪い)もあったかもしれない。でも、自分はいなくても、世界にこうあってほしい、という“祈り”もあったんじゃないかと思うんです。

――「Project Itoh」はこれで完結する? 「オールドボーイ」を映画化した某監督が実写化を熱望しているという噂も…

まず“彼”にも本作を見てほしいですね。それで「これは面白い! 実写化したい」となるか「敵わないから辞めよう」となるか、どちらか…(笑)。

■塩澤快浩さん(「虐殺器官」「ハーモニー」担当編集者・SFマガジン編集長)

――本日「虐殺器官」初日を迎え「Project Itoh」が完結となりました。今の心境をお聞かせください

原作の小説が出て、ちょうど10年になるんですが、ちょうど今くらいの時期に、僕は初めて伊藤計劃さんにお会いしました。「感慨深い」と言いたいところだけど…いろいろあり過ぎてわかんないですね(笑)。

――完成した映画を見て、いかがでしたか

アフレコが行われたのは2年くらい前で、画はない状態で絵コンテで見たのですが、その時点ですごく面白かったし、そのまま完成した感じで「なるほど」と思いました。あるシーンで、原作との違いがありますが、村瀬監督は、確信犯的にやっているんだと思います。熱烈な原作ファンからは叩かれるかもしれないけど、確信を持ってやっているし、最初に原作を読んだ時と同じような“読後感”を感じていただけるようになっていると思います。

――伊藤計劃さんとの出会いをお聞かせください

伊藤さんが他社の新人賞に最終選考で落ちて、それが「虐殺器官」だったんです。2006年の秋ごろに原稿をいただいていて、2007年の1月か2月に初めてお会いしました。作品を読んで、もっとアクションを足してほしいと思ったんですが、お会いしたら「こう書き直します」という改稿案を、伊藤さんが既に持っていました。それはこちらが考えていたものと全く同じで、そこから「ムンバイ編」が加えられました。

――伊藤計劃さんの凄さとは

「語りの力」が凄いですね。単に物語を進めるためだけではない、キャラクター自身の声がある。病に冒された伊藤さんの生への執着なのか、この強さは、なかなか他の小説にはないと思います。

――伊藤さんの死について

お会いした頃からすでに病に冒されていて、打ち合わせも入院先ですることが多かったです。主体的に何かを表現するというよりは、「メタルギアソリッド」の小島秀夫さんのファンだったり、映画が大好きで外出許可が出ると1日で5本くらい見たり、オタク気質でミーハーな方、自分は“消費する側にいようとする人”だったと思います。 それでも自分が小説を書いたのは、やはり、何かを遺したい気持ちがあったからなのではないかと思います。もし、伊藤さんがこの場にいたら、原作者面することなく、自分の小説だということなど眼中になく、村瀬監督の映像作品として「ここが凄い!」とか言っていると思います。ご本人も見たかったと思います。

――実写化の噂については

それは噂ですね。「プロジェクトはまだ続くかもね…」という感じですかね。

■劇場アニメ「虐殺器官」

2月3日(金)より公開中

スタッフ:原作…「虐殺器官」伊藤計劃(ハヤカワ文庫JA)/監督…村瀬修功/キャラクター原案…redjuice/アニメーション制作…ジェノスタジオ

キャスト:クラヴィス・シェパード…中村悠一/ウィリアムズ…三上哲/アレックス…梶裕貴/リーランド…石川界人/ロックウェル…大塚明夫/ルツィア…小林沙苗/ジョン・ポール…櫻井孝宏

リンク:「虐殺器官」公式サイト

    公式サイトTwitter・@PJ_Itoh