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西沢幸奏のソロプロジェクト・EXiNAとして初のフルアルバム「SHiENA」が先日リリースされました。「本当に好き勝手作りました」と解放と自信に満ちあふれたことばが本人から語られるほど、これまでの彼女からは想像がつかない本作品。アルバム制作の過程から、「EXiNA」として活動する現在について、さらにアルバム曲それぞれにまつわるエピソードまで、お話をお聞きしました。5月22日(日)に行なわれる2年半ぶりのワンマンライブに向けて、ぜひ「いまの彼女」を知ってください。
――本アルバムをつくることになった経緯を教えてください。
シングル「ENDiNG MiRAGE」を完成させたことで、今後の方向性のビジョンが固まりつつある、ひとつの「手応え」のようなものを感じていました。そのタイミングでチームスタッフから「アルバムを作ろう!」という提案をいただきました。新しい曲を作れる機会をいただけてとてもうれしかったです。
――タイトル「SHiENA」にはどんな思いを込めているのでしょうか?
EXiNAとしての最初のフルアルバムで、あえて本名であり、前の活動名の「SHiENA」な訳なのですが。理由としては、生きてきた25年間を表現するような一枚にしたかったというのと、今までいろんなチャレンジをしてきたけど、それもひっくるめて私なんだよ、という思いを込めたかったからです。全ての経験、応援してくれたみんな、スタッフさんに感謝を込めて、今の私にならせてくれてありがとうという気持ちで制作しました。おかげでこんなにいい作品が作れて、自信たっぷり歌えるようになったよって。
――アルバムジャケットも印象的ですが、どのようなモチーフがあるのでしょうか? またご依頼された乾シンイチロウさんとのエピソードも教えてください。
もともと私が、このジャケットを描いてくださった乾シンイチロウさんの大ファンで。1年くらい前、インターネットで乾さんの作品を見て、一発で虜になりました。アルバムを作ると決まった時に、ミーティングで「こんな感じのジャケにしたい」と勝手に乾さんの画像をスタッフさんに見せたら、「この方に依頼してみよう!」と言ってくれて。そして奇跡的なことに、その少し前の時期に撮った「DiViNE」のMV撮影で乾さんのブランド「guernika」のコートを偶然着ていたことがその時発覚して、運命を感じざるをえなかったです! 今の私の荒削りなサウンドや不器用な生き方のようなものも、乾さんの作品のタッチと合っていると思います。細かいオーダーは全然していないのですが、こんなにも自分のことだと思える作品になったことに神秘を感じます。一生の宝物です!
――西沢幸奏のソロプロジェクトとしてのEXiNAとしては、初のフルアルバムとなります。 このアルバムを作成するにあたり、ご自身の心境の変化、音楽に対しての視線などの変化はありましたか?
EXiNAというプロジェクトが始まった時から〈音楽を楽しむ〉というテーマでやってはいたのですが、それと同じくらいに「何をしたら喜んでもらえるんだろう?」「何が私に合っているんだろう?」と、自分がユーザーの目にどう映っているのかということを考えていました。そこにとらわれすぎると、きっと喜んでもらえると思ってやったことが裏目に出たりした時に、ものすごく落ち込んじゃうんですよね。そういうことの繰り返しで、音楽をやめたくなったことさえありました。だけどそうやって極限まで落ちて、私がやるべきは〈音楽を楽しむ〉のと同時に、〈好きなことを全力でやること〉だったんだと気がつきました。「好き」=「楽しい」ので、自然とエネルギーが湧いてくる。そして笑顔が増えて、周りの人も楽しくなってくれる。最高でしかないじゃないですか。なぜこんな単純なことに気がつけなかったんだって感じです。そんなわけで、今回のアルバムは本当に好き勝手作りました(笑)。
――楽曲、ご自身のイメージとしては時を経てガラっと変わられた感じもあります。 以前からEXiNAを知っている、応援しているファンの方は、その変化も気になるところかと思うのですが、そのあたりはなにかきっかけ、意識があったのでしょうか?
まさにさっき言ったような〈好きなことを全力でやること〉に気付けたことが、大きな理由ですね。今までは「何が喜んでもらえるかな?」と考えて作っていたのですが、今では自分が心から大好き!と思える曲だけを作っています。前から「フーファイターズが好き!」とよく発言して、カバーを披露したりもしてたので、前から応援してくれてた人からしたら「なるほどね」って感じかもしれません。ライトなユーザーさんは「!?」ってなるかもですが。そこは、なんというか、素直にごめんね……って感じです(笑)。いい曲作るので、楽しんでいただけたらうれしいです。
――今回のアルバムについて、制作の段階で楽しかったことやうれしかったことはありましたか?
曲ができたり、アートワークができたり、いい写真が撮れたり、そのたびに楽しくてうれしくてたまらなかったです。これが、好きなことをすることのパワーかなって思いました。特に印象的なのは、アルバムの中で私がチャレンジしたものに対して、スタッフさんが盛り上がってくれたことですかね。今回、「MONOLOGUE」「DONUT」の作詞作曲、そしてアレンジにも参加したり、他の曲はギターのレコーディングをしたり(「DONUT」のギターは全部私が録音しました)、そのたびに「すげーいいじゃん!!」とうれしそうにしてくれて……。基本的にあんまり自分に自信がもてない性格だったので、感激でした。やってよかったーって思いました。おかげで、このアルバムが完成した今、とっても自信満々でいることができています! リハーサルの時、バンドメンバーにも「ねー! 新曲めっちゃいいでしょ!!」とグイグイ話しています(笑)。前だったら考えられない……。
――苦労したことのエピソードもあれば教えてください。
やはり生みの苦しみは瞬間瞬間でありましたけど、そんなに印象に残っていないですね。それ以上に楽しんでいましたから。強いて言うなら、1日で3曲分のギターソロをレコーディングするとなった時かな。私、アドリブがものすごい苦手なんですよ……。スケールもよく分からないし、ギターソロを考えるのにものすごい時間がかかってしまって。本当に、1曲あたり何時間もかかっちゃうみたいな。その日は「BYE BYE」「MY KEYS」「SAGA」のソロを録ったんですが、「SAGA」のソロが家を出る直前まで思いつかなくて。それで、「もう、やったれーーー!」って弾いたのが、あのソロです(笑)。結果スタッフのみんなから、「ぶっ飛んでて良い!」っていちばん好評なんです。音楽っておもしろいですね(笑)。
――アルバムのそれぞれの曲について、思いや制作中、あるいはレコーディング中印象的だったことなどのコメントをお願いします。
「MONOLOGUE」
作詞作曲をした曲。声もギターも全部私です。部屋で録ったほぼそのままの音源!
「DONUT」
こちらも作詞作曲をした曲。私がかっこいいと思うギターフレーズ満載です。ここはフーファイ! ここはニルヴァーナ!って思いながら作りました。どこだかわかるかな?(笑)
「KAiJiN」
マネージャー糸賀さんとの共作。「Boo!」や「Hey!」などの掛け声は、ライブでやることを想定して作っています。絶対楽しい!
「BYE BYE」
アルバムでいちばんエモい曲。私の恋愛経験を歌詞にしました。こんな曲を歌えるなんて、大人になったなぁ。
「MY KEYS」
なんと言っても、曲頭の「ズーン、ジャーン!ズンズンジャーン!」というフレーズ!あれ、私が録ってるんですが、荒すぎていい(笑)1番は英語、2番は日本語で同じことを歌うという実験的なこともしています。
「MONKEY WRENCH」
愛するフーファイターズのカバー。原曲と違いすぎてインタビュアーさんにびっくりされまくってますが。だって、そのままやってもフーファイには敵わないじゃん! 私らしく歌う、私式のリスペクトです。
「ENDiNG MiRAGE」
このアルバムのサウンドをプロデュースしてくれているdaiki kashoさんとの出会いとなった、大切な一曲。EXiNAの新たな物語はここから始まりました。
「STEREOTYPE」
怪しくて、ダンサブルで、アルバムの中でいちばんクセの強い曲。でも、めっちゃかっこいいです。実は、だいぶゴリゴリなギターが鳴っているので、聴いてみて!
「DiViNE」
神聖な雰囲気があるけど、めちゃくちゃメタルな一面ももつ一曲。しっとりさせたいのか、ヘドバンさせたいのか、どっちだよ!って言わないでね。どっちもです(笑)。
「ZOMBiES DON'T CRY」
いままでしたことのないアプローチで歌った曲。バックのサウンドは激しいのに、ボソボソ歌う。この違和感がたまらなく、つい何回も聴きたくなる曲です。
「SAGA」
これは……ぶっ飛んだ曲です。シンプルだし、疾走感があり聞きやすいと思うんですが、ギターのフレーズとか、ボーカルとか、結構攻めてます! めっちゃかっこよくて、自分でも大好き。
「YOU ARE THE REASON」
マネージャーの糸賀さんが私との「10年という時間」を曲として表現してくれました。サウンドプロデューサーのdaikiさんの発案で随分悩んだようですが、私をいちばん近くで見てきてくれた彼だからこそ作ることのできた曲で、私にとって特別で大切な曲になりました。
――5月22日(日)には、アルバムを引っ提げたライブがあります。 こちらについての意気込みを教えてください 。また「EXiNA」としてのご自身を知っている人や、この記事で知った人にメッセージをお願いします。
たくさん書きましたが、結局は、ライブを、見れば全て伝わると思っています。どんなにここで魅力を話しても伝えきれない気がするので、とにかく、見てほしいです!これくらいは言っておこうかな。「汗、かけるよ!」(笑)。アルバム、気合い入ってるので、ぜひ聴いてほしいです!