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10月28日(水)に2枚目のベストアルバム「BEST OF CHIHIROX ll」をリリースする米倉千尋さん。前作から10年あまりの間にリリースされた楽曲を収録する一方で、それ以前の楽曲も初回限定盤付属のLive盤として収録し、世代を問わずに楽しめる作品になっています。来年1月のデビュー当日には活動20周年を記念したライブも開催する米倉さんに、このアルバムやライブにかける想いを語ってもらいました。
――今作の収録曲の顔ぶれをご覧になった時に、どのような思いが湧きましたか?
米倉千尋:「私、いろんな想いを綴ってたんだなぁ…」って。それぞれがその一瞬を切り取って瞬間凍結したものなので、時を経て振り返ると、タイムマシーンでその時に戻るような不思議な感覚がありますね。今回の収録曲の時期は、今の事務所に移籍していろんなレコード会社で歌ったり、海外で歌う機会が増えた時期で。その膨らみ続ける風船のようなイメージが、前作から引き続きジャケットに登場する気球ともリンクして「どこまでも新たな世界に向かっていく」ことを表しています。
――まさに、新しい挑戦がまだまだ続いていくのを感じるアルバムでもありました。
米倉:特に「アザゼルさん」の主題歌では極端なビブラートや、キュートな声で歌い手が複数いるように思わせたりと歌声で仕掛けていきましたし、それこそ「ヨコハマを歩こう」なんて演歌調ですし…振り返ると、この10年は新しい挑戦をどんどんさせてもらえたな、という感じがします。なので、このアルバムを一文字で表すなら、“動”ですね。感動の“動”も含めて。
――その一方で、付き合いの長い作品の主題歌も数多く収録されています。
米倉:その中でも、(OVA「機動戦士ガンダム第08MS小隊」オープニングテーマの)「嵐の中で輝いて」と同じ作家さんが手掛けた「ガンダムに愛を込めて」は思い入れが深いです。「ガンダムに感謝の気持ちを込めたラブソングみたいなものを作りたいね」ということで制作したら、レコード会社の方に気に入っていただいて、ガンダムのゲームの挿入歌に決まったんですよ。作家さんたちもすごく喜んでくれたし、私も嬉しかったです。
――そして、アニソンシンガーとしての“王道”を挙げるなら、本作中ではやはり「フェアリーテイル〜約束の日〜」だと思います。
米倉:そうなんですよ! 頭サビで、歌い出しもタイトルからの“ザ・アニソン”で…嬉しすぎて私、この曲は一睡もできずに歌ったんです(笑)。緊張とドキドキといろんな感情が相まって、寝ようとしても自分の心音で全然寝られなくて。作品自体が海外でもすごく人気なのもあって、海外でのライブでも大喜びしていただけるのもまた嬉しいことですね。
――そして、初回限定盤付属のLive盤もベストアルバムにふさわしい顔ぶれですね。最近米倉さんを知った方からのリアクションも楽しみなのでは?
米倉:はい。実は「アザゼルさん」の時に、すでに若い世代の方から「え、ガンダム歌ってるんですか!?」みたいな反応をいただいていまして(笑)。そういう方々はまた新たな驚きにも包まれるでしょうし、逆に昔からのリスナーさんがDisc1で「最近はこういう曲も歌ってるんだ!」って驚いてくれたりと、両者の橋渡しができるアルバムになったと思っています。
――そして今回、新録曲として「三本の魔法の木」が収録されます。
米倉:これは私の小学生の時の、自分の“原点”とも呼べるようなエピソードをもとにした歌なんです。
――どのような体験をされたんですか?
米倉:小学校の時、校長先生が退任の挨拶で“三本の木”をくれたんです。それは元気・勇気・根気の三つの“き”で、「今はまだ小さな木だけど、この三本の木を大人になるまでに立派に育っててください」という言葉をいただいて。それが今の自分を形作ってくれたんですよ。
――きっとこの曲で、今度は米倉さんがリスナーに三本の木を届けていくんでしょうね。
米倉:そうですね。ぜひ皆さんにも持っていてほしい、大切な木です。
――そして、2016年1月にはデビューからちょうど20周年の日にライブを開催されます。
米倉:「絶対この日にやる」と決めていました。やっぱりデビューの日にいちばんしていたいことは、“歌うこと”です。
――来てくれるファン層も広そうですね。
米倉:そうですね。ずっと応援してくれている方の中には、ファン同士で結婚して子供も生まれている方もいますし。デビュー当時は自分がそんなアーティストになれるなんて考えられなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。あと、実はLive盤の中には、このライブへの布石も仕込まれているんですよ。とはいえそれもド派手なことではなく(笑)、ライブ全体としては今回のベストの収録曲を網羅しつつ、その他にも今まで歌ってきたたくさんの曲の中から、みんなに心から喜んでもらえる楽曲をいっぱい歌えるようなライブにしたいと思っています。