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2024年10月2日にソロデビューアルバム「Crier」をリリースした田中有紀さん。「アイドルマスターシャイニーカラーズ」(芹沢あさひ)や「トリリオンゲーム」(高橋凛々)などに出演し、この先の活躍がますます楽しみな田中さんが、いよいよソロアーティストデビュー。インタビュー後編ではアルバム各曲についての思いをお話いただきました。
――2曲目は「From here to HISTORIA」。この曲も「Crier」から続いている感じがありますね。
田中 これも「Crier」に負けないくらい大事な始まりの曲で、自分を信じていいという「Crier」に対して、「From here to HISTORIA」は歌う私と聴くあなた、というふうに皆さんが出てくるんです。だから歌うたびに、皆さんと歌声を合わせるたびに、どんどん彩りを増していくんだろうなとワクワクしています。先日のリリイベで、2番の「この歩みすべて残せる先が 君の心なら From here to HISTORIA こわくない」という歌詞を歌うのをすごく楽しみにしていて、皆さんのところに歌声として届けられたのがすごくうれしかったです。
――3曲目「Blue Wind」はいかがでしょうか。
田中 前々から、風なら皆さんのところにもすぐに行けるな、とか、追い風にもなれる、風っていいなとこの曲をいただく前からそう思っていたらこの曲をいただけたので、つながった!と感動したのを覚えていますね。親にも言えないくらい落ち込んだ時、歌に勇気や元気をもらってきた人生だったので、私にとって歌は、風のように優しくそっと寄り添ってくれるもの。その気持を乗せられたらいいなと思って歌わせていただきました。
――4曲目の「No Pain No Gain」は、デジロック調の攻めたナンバーです。
田中 もうボロボロじゃん、大丈夫!?って心配になる歌詞ですけど、それこそ「歌」っていろんな寄り添い方ができるから、この曲で誰かに寄り添えたり共感してもらえたらいいなって。あがいてもがいてそれでも行くんだ!という力強さが歌詞にあってかっこいい曲です。アルバムには緑色ベースの10色ペンライトが付く限定版があるんですけど、アルバムの10曲にちなんだ緑色をそれぞれ私が選んでいて、「No Pain No Gain」はダークな感じがしたので、いちばん暗めの色になってます(笑)。
――田中さんの担当カラーといいますか、好きな色が緑だから、緑色で10色! いいですね。さて、5曲目はダンサブルな「KURAGET DOWN」です。「クラゲッ(ト)・ダウン」と読みます。
田中 イントロから何度も繰り返すキャッチーなパートは皆さん、一度聞いたら覚えると思います(笑)。耳にも頭にも残って口ずさみやすい曲で、ゆるく漂う感じがクラゲみたい。身を任せればいいんじゃない?という開放感があってすごくうれしくなりますよね。ふだん頑張っている皆さんを「ちょい、ここはいったん待って!」ってつかまえて、いっしょに流れに身を任せて進んでいく、そんな気持ちで歌わせていただきました。今、この曲の最後にする決めポーズを皆さんから募集しているので、あの……よろしくお願いします!
――6曲目は打ち込みが印象的な「Going Going Going」。
田中 ライブで歌うのがめちゃめちゃ楽しいです。かっこいいけどすごく明るい曲なんですよね。みんなで声を合わせて「Going Going Going、Doing Doing Doing」って歌えたら楽しいだろうなあ。歌詞と音、どちらもじっくり聞いてほしいです。
――7曲目の「Familiar」はTVアニメ「転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 第2期」のED主題歌。タイアップはアーティストデビューする際の目標のひとつに掲げていました。早くも目標を達成してしまいましたね。
田中 そうなんですよね! アルバムのなかにタイアップの楽曲まで入れていただけたのはもう予想してなかったというか。作品の世界観とも共通していると思いますが、大切な仲間を思う気持ちや温かい気持ちを歌わせていただけることもうれしかったです。ユニット活動の時から、みんなでいっしょに何かをつくるってすごくうれしいことだったので。そんな仲間たちのことがふっと頭に思い浮かんだレコーディングでもありました。ただ優しいだけが優しさじゃないこともあるじゃないですか。大切な人を思う強さ、あなたの笑顔を守りたい、あなたの帰る場所になりたい、そういう強さを表現できたらいいなと思って歌いました。
――歌うほどに思いが深まってきそうな曲ですね。
田中 そうですね。この先の出会いや、仲間たちが増えれば増えるほど、向き合い方も大切さもどんどん膨らんでいくような、変わっていくような気がします。
――8曲目、こちらが結城アイラさんと歌詞を共作された「Dear STELLA」ですね。
田中 デビューしたNOW ON AIR(以下、NOA)のオーディションで、課題曲の歌詞をアイラさんが担当してくださっていて、それ以来続くご縁です。NOAが活動休止になってからも気にかけていただいて、このタイミングでまたごいっしょできたのは本当にうれしかったです。10代のころから今までの私を見てくださったアイラさんからの気持ちも歌詞に乗っていて、言葉のプレゼントをいただいた気がしました。
――田中さんが綴ったメモを、アイラさんが歌詞に仕上げたと聞きましたが、「ビルに隠れて 雲がかって 見えない明日も/照らせる様な 私になってゆきたい」という歌詞の前半は田中さんが書かれて、後半はアイラさんが加えたんだと別のインタビューでも話されていましたね。まさにアイラさんから田中さんに向けての言葉があり、この言葉で田中さんに歌ってほしいというアイラさんの思いも込められているようで。
田中 そうですね。私のことをずっと見てきてくださっているアイラさんだからこそ、「もっとこれぐらい言っちゃいなよ!この曲を歌って、どんどんそういう自分になったらいいじゃん!」って背中を押してくれている気がして。アイラさんからのエールだなとすごく感じました。
――「どうか君が笑ってますように/優しい愛に 包まれながら」「だから独りで泣かないで/淀みない空にほら 映るものは」という歌詞もいろんな人に届く気がしますね。
田中 この歌詞を書くためには、誰かに当てたほうがきっといろんな言葉が出てくると思ったので、学生時代の友だちのことを思って書きました。昔、電話で話している時にその友だちが泣いてしまったことがあって。会える時には励ませるけど、見えないところで追い詰められていたら言葉もかけられないし気づけもしない。それってすごくつらいなって。友だちとか、大事な人にはできるだけ笑顔でいてほしい、幸せでいてほしいと思っていて。私の歌を聞いて、声優・田中有紀にファンとしてかかわってくださる皆さまも同じくらい大切に思っているけど、何かあっても私が電話に出られるわけじゃないから、この曲で寄り添えたらいいな、なんて思っています。ひとりで泣かないでね、ありがとう、という私からの言葉を詰め込んで、そしてアイラさんが私へのエールも込めてきれいにまとめてくださった1曲です。
――9曲目は「未来スケッチ」です。
田中 “さくらさくえんぴつ”(サンスター文具)さんとのコラボ曲です。歌詞に「一筆」という言葉もあるんですが、すてきなコラボをいただけました。これから進んでいく未来は自分で自由に、いろんなふうに描くことができるんだよという希望や応援の気持ちもテーマとして込められています。進路や人生の岐路に差し掛かった時に、寄り添える楽曲になっていけたらいいなと思います。
――10曲目は「UP TO DATE」、とても晴れやかな曲調の曲ですね。
田中 大団円という感じというか、じゃーん! Crier劇場終わり!って感じのゆかいな曲ですよね。これもライブが楽しみです。「やっちゃえばいいじゃん」って軽く背中をポンって押してくれるような、私自身も歌っていて励まされる曲です。ミュージカルっぽさもあるし、すごく楽しいし、この曲で物語が書けそうだなって思うんです。あ、言ってるだけですよ(笑)。でも何かおもしろいことができたらいいなって思ってます。
――CDジャケットのアートデザインは初回限定盤と通常盤でガラッと違いますね。
田中 通常盤はお花みたいで華やかだけど、幾何学的な模様にちょっとダークな感じもありますよね。対照的に私のアー写がジャケットになっている初回限定盤は白黒がかっこよくて、2種類が並んだときに、すごく立体的になって目立つなあと思いました。CDの盤面も2種類のピクチャーレーベルになっているし、歌詞カードのデザインも凝っているので、隅々まで楽しんでいただけるとうれしいです。
「Crier」通常盤ジャケット
――このデビューアルバム「Crier」を皆さんにはどんなふうに聞いてもらいたいですか?
田中 声やオケをメインに歌を聞く友だちは、カラオケで歌詞を見ないと歌えないそうなんです。私は歌詞に注目して聞くことが多いですし覚えるタイプですが、音楽って本当に人によっていろんな楽しみ方があると思って。だから私のアルバムも歌詞を重点的に見てもらってもいいし、音を中心に聞いてくれてもいいし、好きなように、自由に楽しんでもらえたらいいなと思っています。
――次の大きなイベントとしては、2025年1月11日のヒューリックホール東京での1stワンマンライブですね。どんなライブにしたいですか。
田中 リリイベでは緊張していたのが途中から楽しくなっていって「私の歌を聞いてー!」という感じで歌っていたんですね。そして楽しく歌えたことで皆さんとつながれたと実感しました。1月のライブはそのことを大事にしつつ、パフォーマンスをもっと研究してステージを大きく使って、皆さんにどこまで近づけるのかも意識して、楽しんでもらえるような時間をつくっていけたらと思っています!
【取材・文:細川洋平】
■田中有紀「Crier」
発売日:2024年10月2日
発売・販売元:バンダイナムコミュージックライブ
価格:初回限定盤 4400円(税込)/通常盤 3300円(税込)
リンク:田中有紀オフィシャルサイト
田中有紀公式X(旧Twitter)・@yuki_t0626
田中有紀 Lantisスタッフ公式X(旧Twitter)・@Lantis_TY
田中有紀「Crier」配信サイト