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『宇宙なんちゃら こてつくん』ムロツヨシインタビュー「目標や夢を持つ大切さを“ゆるーく”伝えていけたら」

ムロツヨシさん
ムロツヨシさん(C)2021 Space Academy/ちょっくら月まで委員会

人気クリエイター・にしむらゆうじさん原作のTVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」が、毎週水曜日午後6時45分~ NHK Eテレにて放送中宇宙の知識を教えてくれるマスコットキャラクター・DAXAくん役とナレーションを務める俳優のムロツヨシさんに、「宇宙なんちゃら こてつくん」の魅力を伺いました。

本作は、宇宙飛行士を目指すこてつが宇宙アカデミーの仲間たちと一緒に学び、奮闘する姿を描いた物語。ムロさんは「小学生や幼稚園のみんなに向けたアニメ」であることに興味を持ち、オファーを快諾したそうです。「僕には子どもがいませんが、友人の子どもに小学生が多く、その子たちに見てもらえる作品に参加できるのが嬉しかった」と、その喜びを語ります。また、作品を通じて宇宙飛行士が「なりたい職業」になってほしいと期待を込めながらも、難しくなく、おしつけがましくない「ゆるさ」を一番のポイントに挙げました。

番組ナレーションをする機会も多いというムロさんは、その経験を生かすつもりで収録に挑んだそうですが、監督から「うまくやらないでほしい」と釘を刺されたそうです。実は「こてつくん」のナレーションはただのナレーションにあらず。「なんちゃってナレーション」と台本に書かれているのだとか。「なんちゃって“風”」ではダメで、できる限り肩の力を抜き、うまくやろうとせず、「ふわーっと伝わるような感じ」を意識しているとのこと。「多少のおふざけを入れてほしい」とのオーダーには、毎回、声の質を変えたり、ふざけてみたりと試行錯誤しながらぶつかっているそうです。

TVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」より
TVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」より(C)2021 Space Academy/ちょっくら月まで委員会


子ども向けという点で意識していることはありますかとの質問に、「特別に意識していることはないです」と答えたムロさん。他の番組でも特定の世代に向けて演じたり、表現したりすることはないと言いますが、「こてつくん」に関しては「まずはお子さんたちに伝わらないと意味がない」とのことで、子どもに伝わることを「絶対条件」にしながらも「いろいろな方に伝わると嬉しい」と期待を込めます。その一方で、「あまり遊びすぎて茶化しすぎてもダメですし、偉ぶってもダメですし。あまり小難しいことはやらないようにしています」と語り、「自分が楽しいと思うこと」をやりたいと意気込みました。

マスコットキャラクターのDAXAくんについては、「DAXAで働いているおじさんが、子どもたちに豆知識を伝えようとして、ちょっと無理して高い声で喋っているという設定をいただいた」と明かします。その設定があることで、だいぶやりやすくなっているのだそうです。また、にしむらさんのキャラクターの魅力については、「ゆるさ」を挙げつつも「浅いという意味ではなく、親しみが持てる感じ」「現実にはないけれど、手に届く距離感が魅力的」と分析しました。

そんなムロさんのお気に入りキャラクターは、校長先生。「ほかの仲間たちもかわいいなと思うんですけど、校長先生に惹かれてしまう」とのことで、校長先生の教育方針や伝え方に共感したと言います。校長先生はギャグを連発しながら宇宙の知識を教えてくれる、ひと癖もふた癖もあるキャラクター。その一方で、生徒をホルモン焼き屋に連れて行く、親しみやすい「大人」としても描かれます。ムロさんの理想の大人像のようで、「そういう大人になりたいですよね。優しさがあって、教育方針が面白い人間でありたい」と語ってくれました。

「もし自分にお子さんができたら、こういう番組を見てもらいたいですか」との質問には、「見てもらいたい」と回答。スペクタクルな展開があるわけではないけれど、時間がゆるく流れる中で知識を得られることや、どこか希望が持てるところをその理由に挙げます。「夢を目指しているキャラクターたちがゆるく頑張っているところを見て、無意識のうちに『やりたいことをやる側』にいきたいと、お子さんたち、見てくれる人たちが一人でも思ってくれたらいいなという思いを込めて作っていきたい」と、真摯な思いを語ってくれました。

TVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」より
TVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」より(C)2021 Space Academy/ちょっくら月まで委員会


本作にはパイロット科やスペースクラフト開発科など、様々な学科が登場します。入ってみたい学科を聞かれると、職業柄、「人前に立つこと」を意識しているとのことで、「ここはやっぱりパイロット科でやっていきたい」と希望。また、この取材の前にJAXAの取材を受けたそうで、「今年の秋から採用が広がるということで、私ももしかしたら……」と語り、大きな笑いを誘いました。

最後に、ムロさんは目標を持つことや夢を持つことが現実的ではなくなり、目標や夢を語ること自体が「現実離れした夢物語」になっていると指摘します。その世の中に対し、「目標や夢を叶えようとする生き方を提示できる大人でありたいですし、おじさんでありたい」「でも、おしつけがましくなくです」と強いメッセージを語り、それを「ゆるーく」伝える「こてつくん」に期待を寄せました。

ムロツヨシさん
ムロツヨシさん(C)2021 Space Academy/ちょっくら月まで委員会


【取材・文:岩倉大輔】

■TVアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」
放送…NHK Eテレ…4月7日より毎週水曜18:45〜
配信…ABEMA ほか、4月8日12:00〜

スタッフ:原作…にしむらゆうじ/監督…作田ハズム/シリーズ構成…加藤陽一/アニメーション制作…ファンワークス/主題歌…RHYMESTER/製作…ちょっくら月まで委員会

キャスト:こてつ…藤原夏海/ニコ…榎木淳弥/ルー…玉木雅士/ひかる…竹達彩奈/おたま…山口茜/じいちゃん…山口勝平/ナレーション、DAXAくん…ムロツヨシ

リンク:「宇宙なんちゃら こてつくん」公式サイト
    公式Twitter・@Space__Academy
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