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約12年ぶりの再登場となったシゲルが、サトシたちとともにオーキド研究所から姿を消したゴウカザルの謎に迫った「ゴウにライバル!?ミュウへの道!!」。シゲル役・小林優子さんへのインタビューの後編では、演じていて強く印象に残ったシーン、「ポケットモンスター」に対する思いなど、より深く突っ込んだ内容についてお話をうかがいました。
――久しぶりにシゲルを演じてみて、彼の成長や変化を感じたところというと、どこになりますか?
小林 明確な目標をもっているところは、これまでと大きく変わったところだなと思いました。今のシゲルはプロジェクト・ミュウのメンバーになるため、与えられた課題をひとつずつクリアしようとしているんですね。広い意味で、ポケモンを研究していたのと較べると、そこから一歩踏み込んだ熱いシゲルになっている、というか。
――性格も少しアグレッシブになっているような印象があります。
小林 そうですね。音響監督の三間(雅文)さんからも、もっと挑戦者としての気持ちを出してほしい、という指示をいただきました。これまではちょっと斜に構えて「××じゃな~い?」みたいな感じだったのに対して、今のシゲルははっきりと「僕はこれをやるんだ」という意志がある。たとえば、Bパートに入ってすぐのところで、シゲルたちが渓谷に行く場面があるんですけど、そこですごく長いセリフがあるんです。
――今回のエピソードの背景を、シゲルが解説する場面ですね。
小林 そうですね。説明ゼリフなんですけど、淡々と説明するのではなくて、ちゃんと目標をもっている人が、そこに向かっていく、そういう話し方でお願いします、と。それこそ謎解きのように、何がどうなって、こういう理由だからこういうふうになった、みたいな感じで演じてほしいと指示をいただきました。そこは本当に、何度も録り直しました。私くらいの歳になってくると、なかなかダメ出しをいただく現場が少ないんですけど(笑)、みんながこだわって録っているんだなということが伝わって、むしろうれしかったですね。
――昔からのファンにとっては、シゲルとサトシの会話が久しぶりに見られたのが、うれしかったですね。
小林 そうですね。シゲルとサトシが肩を並べて歩くシーンがありましたけど、そこは同級生というより幼なじみだからこそのいい空気感がありました。同窓会に行くと、一瞬にして学生のころに戻ったりするじゃないですか。ああいう感じに近かったのかもしれないですね。しかもあの場面は、最後のほうは「アドリブ的に」という指示で(笑)。そこはサトシとシゲルの信頼感に、私と梨香の信頼感が重なってたのかもしれないなと思います。
――もう一方のゴウとの絡みはいかがでしたか? ゴウから見ると、少し先を行っている先輩みたいな立場かなと思うのですが……。
小林 ゴウ君は今回、なんとなくちょっと仲間外れみたいなところがあって(笑)、「俺、入っていけないな」って思ってたりするのがおもしろいところなんですけど……。シゲルはたぶん、ゴウ君の才能をパッと見抜いてると思うんですよね。見抜いたうえで、逆に挑発しているようなところがある。それこそ昔、サトシを挑発していたように――サトシの面影をゴウ君にも見ていたのかなって、そんなつもりで演じました。
――改めて今回のエピソードを振り返ってみて、好きだったシーン、印象的だった場面というとどこになりますか?
小林 ファイヤーの登場シーンがすごく好きでした。ぶわーっと羽根を広げて出てくるんですけど、まさに圧巻でした。しかも今回、ファイヤーの羽根を手に入れるのがシゲルに課せられたミッションの目的で。その羽根をゲットしたときの、シゲルがすごく清々しいんですよ。今回、「目標に向かってセリフをつくってください」と言われてアフレコに挑んだわけですけど、そんな私自身とシゲルの達成感が重なったのかな、と。まさにシゲルと気持ちがつながって、一体化できたのかもしれないですね。
――ちなみに、小林さんの好きなポケモンというとどれになりますか?
小林 私、ブラッキーが好きなんです。シゲルのポケモンの1匹なんですけど、「ブラッキー!」と呼ぶと「ブラッ!」と返してくれる、その音が好きで(笑)。ブラッキーの役をこおろぎさとみちゃんが演じていたんですけど、さとみちゃんはふだん、高くて可愛らしい声じゃないですか。そんなさとみちゃんが、ブラッキーを演じる時だけはすごく声が低い(笑)。好きなポケモンというと、まずブラッキーが思い浮かびます。あとはもうピカチュウ! ピカチュウはやっぱり可愛いですね。
――なるほど(笑)。では最後にTVアニメ「ポケットモンスター」は小林さんにとって、どんな作品になりましたか?
小林 これだけ長く歴史を積み重ねてきたTVアニメ「ポケットモンスター」はすごい番組だと思いますし、その最初のシリーズで、サトシのライバルであるシゲルをやらせていただけたことは、すごく誇りに思っています。それこそ、私にとって代表作のひとつかな、と。関わらせてもらったことがしみじみ幸せだなと思いますし、とても大切で、大好きな番組ですね。
【取材・文:宮昌太朗】