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本日10月3日から放送が始まるアニメ「見える子ちゃん」。泉朝樹さんによるマンガを原作とした本作は、化け物が見えてしまう女子高生・四谷みこが主人公のホラーコメディです。WebNewtypeではそのみこを演じる雨宮天さんとメインキャラクターのキャストによる対談を実施します。まずはみこの親友・百合川ハナ役の本渡楓さんが登場。全3回にわたってお届けします。
――みこはある日突然異形の存在が見えるようになったものの、それを無視し続ける女子高生です。本渡さんは、雨宮さんが演じるみこをどう見ていますか?
本渡 台本を読んで想像していた通りです。特に口に出す台詞とモノローグの差というか、冷静を装いながら内心で葛藤している様子が面白いキャラクターなので、そこをあんなにスラスラと演じ分けられるのがすごいなと感じています。
――その切り替えは大変ですか?
雨宮 みこって表面上は平気なふりをしてるけど怖がってはいるので、モノローグと表に出している部分で気持ちのギャップは小さいんですよ。だからそれほど難しくはないかもしれません。でも、あまりに気持ちの落差が大きいところは、別々に録らせてもらうこともあります。
本渡 でもハナとしてみこちゃんと喋ってるとその切り替えが圧巻ですし、台本のチェック量もすごいだろうなと思っています。台本をもらってチェックする時って「みこちゃんはこんな風になるのかな」とか想像しますけど、自分だったらただの冷たい、心のない女の子になりそうで。
――確かにそう感じてもおかしくないですよね。
本渡 でもアフレコで天さんのみこちゃんを聞くとちゃんと優しさがあって、そこもすごいです。みこちゃんって他人に対して絶対に超えないラインがある中で、そこで優しさを感じさせつつハナと会話を成り立たせているお芝居を見て、ミリ単位の繊細な作業をされているんだろうなと。
雨宮 いやー、ありがたいです。取材でこんなに褒められるとは(笑)。みこは口数は少ないし表情もあまり出さないけど、本当は普通の女子高生なんですよ。友達のハナとの会話では普段と微妙にトーンを変えて彼女の心情や、やさしさを出すように意識しているんです。
――本渡さんはそれをきちんと感じ取っていたと。一方、ハナはまったく“見えない”、食欲旺盛で元気な同級生です。雨宮さんは本渡さんが演じるハナをどう見ていますか?
雨宮 「見える子ちゃん」のキャラクターはみんな愛らしくて好きですけど、その中でもハナは特に好きなんですよ。役が決まってからは、みこの立場で作品を楽しんでるからというのもあるかもしれませんけど。ハナは賑やかですが、絶対うるさいと感じさせないところが本渡ちゃんの力なんですよね。
本渡 !
雨宮 ハナはいっぱいお喋りしてくれるし、マイペースなところもあって。みことハナは時折会話になってるんだかないんだかって時もありますけど(笑)。そういう人ってうるさいとか、自分のことしか喋らないって感じることもあると思うんですけど、本渡ちゃんのハナからはまったくそれを感じないんです。ずっと喋ってくれてても全然大丈夫。しかもアドリブも多くて面白いし。アフレコが始まって、ハナがより好きになりました。
本渡 アフレコが始まる前からうるさいと感じさせないことを意識して、ずっと試行錯誤しているので、そう仰っていただけてすごく嬉しいです。
雨宮 そうなんだ。
本渡 ずっとみこと一緒にいることになる子なので、オーディションの段階から耳馴染みのよさを考えていて。その中で粒立ちがよすぎない音というか、尖り過ぎてない元気な音なら、自分が思うハナに近いかなと想像していました。
雨宮 確かに丸いですよね。ハナって賑やかなキャラだから、お馬鹿っぽいとかうざいと感じさせるキャラクターにもなり得るのに、本渡ちゃんは一切そういったニュアンスを感じさせないのがすごいです。
――ハナはアドリブが多いという話がありましたが、やりやすいですか?
本渡 この作品はアフレコ時に絵が結構できていて表情や状況がわかりやすいし、あとハナは大抵お腹が空いている状態なのもあってアドリブはやりやすいです。ただ逆にやりすぎてしまうこともあって、森の空気を食べちゃったときは止められました。
雨宮 あった! めっちゃ笑いました。
本渡 「さすがにハナでも空気までは食べないかな」と言われて。すごい恥ずかしかったです。
雨宮 あの時はブース内で笑わないように堪えました。だって空気を美味しそうとか言って、モグモグ、ハムって食べたんですよ。めっちゃかわいいじゃないですか。本渡ちゃんのハナは愛らしいんですよ。
本渡 ハナはお腹が減るとそれくらいはするんじゃないかなと(笑)。まだハナを捉えている途中ですね。
――アドリブと言えば、「本渡さんのジ○リ風の鼻歌が素晴らしかった」と以前雨宮さんが絶賛されていたと耳に挟みまして……。
雨宮 いないところで絶賛しちゃってすみません!
本渡 ありがとうございます。あれは難しかったですね。ジ○リの曲って誰でも知っているので、そこからわかる範囲でずらすというのが大変で、台本をもらってからどうするかかなり悩みました。ディレクションでも「もう少し寄せて」とも「もう少し離して」とも言われましたし。
――少し先の話ですが、あの鼻歌ってそんなにシーン内でフィーチャーされるものではないですよね?
本渡 ただのハナがモーニングルーティンをしているシーンでの鼻歌ですね(笑)。
――そんな細かいところまでこの作品はこだわってるということで。
雨宮 あれは見事なので、みなさんにぜひ聞いてほしいですね。感動しました。
――では最後に1話の見どころ教えてください。
雨宮 1話はアニメオリジナルの演出がすごくいっぱいあります。みこが見え始めるくだりを丁寧にやっていて。例えばバス停のシーンなんて完全にオリジナルですけど、アニメスタッフ陣の「本気でホラーをやってやる」というのがバシバシに伝わってきてアフレコでも普通に怖かったです。
本渡 私はお布団の中にいる化け物がMVPでした。
雨宮 あれ、嫌ですよね。一緒に寝てるし。
本渡 逃げようがないですし。化け物と言えば、確か公式Twitterのキャンペーンで化け物をプリントしたクッションをプレゼントしていたじゃないですか。
雨宮 ええええ、そんなのやってたんですか。応募あったんですか?
スタッフ 全力の悪ふざけでやったんですけど思いのほか反響があって……5000人くらい。
雨宮 すごい。面白いとは思いますけどホラーが苦手な私は応募できないですね。
――雨宮さんはホラーが苦手だそうですが、本作の収録は平気なんでしょうか?
雨宮 「見える子ちゃん」は平気なんですよ。ここまでちゃんとホラーをやっている作品で、普通に観られるのは唯一くらいかもしれません。ホラーコメディというこの作品独自の雰囲気があるからでしょうけど、ホラーが苦手な人でも観られる絶妙なバランスです。滅茶苦茶ビビリな私でも大丈夫なので。
本渡 特に1話はほぼほぼ大丈夫だと思います。2話からは少しびっくりするシーンもあるかもしれませんけど。
雨宮 いや、1話も充分怖いよ?(笑)
【取材・文:はるのおと】