キャスト

アニメ「NARUTO -ナルト-」20周年! 竹内順子&杉山紀彰インタビュー

アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念 NARUTO THE GALLERYは絶賛開催中
アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念 NARUTO THE GALLERYは絶賛開催中(C)NARUTO THE GALLERY実行委員会

アニメ「NARUTO -ナルト-」の20周年を記念して、東京・秋葉原のAKIBA_SQUAREにて、アニメ「NARUTO -ナルト-」の歴史を振り返る「NARUTO THE GALLERY」が開催されています(2023年1月31日(火)まで)。20周年を記念して、うずまきナルト役の竹内順子さんと、うちはサスケ役の杉山紀彰さんに20年の歩みを振り返っていただきました。

竹内順子、杉山紀彰、宣伝大使の四千頭身、井上裕介(NON STYLE)による、アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念 NARUTO THE GALLERYオープニングセレモニーテープカットの様子
竹内順子、杉山紀彰、宣伝大使の四千頭身、井上裕介(NON STYLE)による、アニメ『NARUTO-ナルト-』20周年記念 NARUTO THE GALLERYオープニングセレモニーテープカットの様子

 

「NARUTO -ナルト-」には、当時の自分が刻み込まれている

――「NARUTO -ナルト-」は2002年からスタートして、20周年を迎えました。お2人は20年を実感することはありましたか?
竹内 それが、ないんですよ。全然。だって自分の成人式さえ何も感じませんでしたからね(笑)。でも、こうやって数字を打ち出されて、何度も質問されていると、ようやくすごいことなんじゃないかと感じ始めました。
杉山 僕もそうですね。竹内さんと同じです。「NARUTO -ナルト-」のあとも同じ世界観で「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS-」でサスケという役を引き続きやらせていただいているからこそ、一週一週コツコツと収録をしてきて、気が付いたら20年という感じなんですよね。数字を知って、あらためて驚くぐらいなので生活の一部になっていたということなんでしょうね。

――2002年10月3日に放送された「NARUTO -ナルト-」第1話の収録のことは覚えていますか?
竹内 第1話はとくに覚えています。あのときはクラス全員がひと言で収録が終わったんですよ。
杉山 そうですね。サスケは出ていたんですけど、セリフはひと言だけだったと思います。
竹内 杉山くんたちが先に収録が終わってしまったので、良いなあって思ったんですよ。

――第1話はナルトの産声から始まるエピソードでした。
竹内 たしか、あのときは最初の産声はSEでやるから、やらなくても良いよって言われたんですよ(笑)。

――ははは。ナルトは忍者学校で落ちこぼれ扱いされ、「封印の書」をめぐる陰謀に巻き込まれていきます。第1話から濃厚なドラマが描かれていましたね。
竹内 第1話のナルトくんは、ちょっと怖いところがあるんですよね。しかも、最後には高等忍術の「多重影分身の術」まで使うんです。あのときは自分の精一杯をやってもナルトくんに追いつけないような感じがあって。この先、大変だなと思っていて。「じゅんちゃんがんばれ!」と自分に言い聞かせていました。

アニメ「NARUTO -ナルト-」より
アニメ「NARUTO -ナルト-」より(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

 

アニメ「NARUTO -ナルト-」より
アニメ「NARUTO -ナルト-」より(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

――ナルト、サスケという役はお2人にとってどんなおもしろさや難しさがありましたか?
竹内 杉山くんは、サスケを演じるときに無理をしてた?
杉山 無理はしていないです。だけど、最初のころは悩みましたね。サスケは序盤のころは何を考えているのかわからないところがあったんですよね。話数が進むと、サスケの過去の出来事や復讐心を抱いている理由がわかるんですけど。人を殺したいとはどういう動機や原因があるんだろうとずっと考えていましたね。動機につながる部分がないと、自分の気持ちの置き場がないなと思っていたんです。
竹内 そうかあ。私はナルトくんをやっているときは、だんだん悩まなくなったんです。ナルトくんはセリフと表情がそのまんま直結しているんですよね。ラーメンを食べて嬉しそうなときは、美味い! だし。ストレートに出したら正解ですから、シンプルでしたね。ナルトくんのもともともっている感性的なところも好感を抱いていたので引っかかるところはほとんどありませんでした。
杉山 竹内さんはキャラクターの成長や物語の流れのシチュエーションをすごく考えて、繊細に演じていらっしゃるんですよね。でも、収録のときは竹内さんはそういうところを一切表に出さずに、スルッと演じていらっしゃるんです。だから、僕はいつも言っているんですけど、竹内さんは天才肌だな、って。
竹内 わははは。もっと言って!
杉山 わからないときは「うきーっ」って言ってるんです。その「うきーっ」を聞くと、ああ竹内さんが苦労しているなって思っていました。

――20年にわたり、ひとつの役(成長するキャラクター)を演じ通すことはどんなおもしろさがありましたか?
杉山 長きにわたって、いろいろな変化を見せてくれるキャラクターを演じることができて、とても勉強になりましたし、楽しかったです。サスケというキャラクターを通じて一番大変だったのは、サスケが境地に至ってしまうことでしたね。全てに達観した領域に入ると、感情がなくなってしまって、どう演じたらいいのかわからなくなるんです。やはり演者は、声で喜怒哀楽を表現するのが役割なんですが、サスケは喜怒哀楽がなくなる境地に達してしまう。すごく難しい問題にぶち当たったなと思いながら、演出の神尾さんと試行錯誤しながら収録したことが思い出深いですね。
竹内 たしかに、見えない感情を伝えるのって難しいよね。感情がないからといって、棒読みにするわけにもいかないし。難しいね。
杉山 人間という存在の奥深さを感じました。完成した映像では効果音や音楽、作画の力も含めて、サスケの境地を表現していただきましたね。
竹内 そこがアニメの良いところですよ。ひとりの力ではたどり着かないところも総合の力でなんとか表現できるっていう。

――竹内さんはいかがですか?
竹内 20年も続く作品に携われるというチャンスってそうそうないですよね。それでまた成長する役に関わることもまたそうそうないと思うんです。だから、ラッキーとしか言いようないですよね。もちろん辛いことも苦労したこともあるかもしれませんが、そういうのは幸せの中の小さなスパイスですよ(笑)。全てひっくるめてラッキーだったなって思います。「NARUTO -ナルト-」に関わることができて本当に幸せです。

アニメ「NARUTO -ナルト-」より
アニメ「NARUTO -ナルト-」より(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

 

アニメ「NARUTO -ナルト-」より
アニメ「NARUTO -ナルト-」より(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

――20年前の自分にことばを伝えるなら、どんなことばを伝えたいですか?
竹内 ないです(きっぱり)! 当時の自分にどんなことをアドバイスしたとしても、自分は一切聞かないと思うから(笑)ムダだと思います。長く続く作品になるよ、といっても「へえ~っ」って言うだけだと思うし。当時は、本当に1話1話に一生懸命だったから、たぶん先のことなんて何も考えていなかったと思うんですよね。そもそも原作マンガも連載中だったし!
杉山 僕はもっと「他のセリフを集中して聞こう」と伝えたいですね。もちろん当時もかなり集中して、まわりのセリフを聞いていたと思うんですけど、日本のアニメ作品でレギュラーをやらせていただいたのが「NARUTO -ナルト-」が初めてだったので、タイムコードを気にしたり、ページノイズ(台本のページをめくる音)を気にしてしまったり、マイクワークを気にしてしまったりして、雑念で少しずつ意識が削がれていた部分があったんです。さすがに今はもうそういうことはなくなりましたが、当時からもっと集中できていれば良かったなと思っています。
竹内 えー、でも、もしそういうアドバイスを聞いたら、当時の杉山くんがもっと真面目になっちゃうってことでしょ? 今のように仲良くなってくれないような気がする(笑)。
杉山 何を言っているんですか! 竹内さんは舞台で経験を積まれていて、度胸があるから、集中すべきところにスパッとやり切ることができるんですよね。当時の僕は場数も少なかったし、収録中に素に戻ってしまって「あれ、自分は何をしているんだろう」と思ってしまうことがあったんです。
竹内 サスケはセリフが複雑だし、ナルトはセリフが単純だからね。とくに後半はサスケは説明セリフも多かったから(笑)。そういう違いだと思う。
杉山 「NARUTO -ナルト-」や「NARUTO-ナルト- 疾風伝」は幸いにも長いシリーズだったから、少しずつ慣れてきて、徐々に集中力を保てるようになりました。

アニメ「NARUTO -ナルト-」より
アニメ「NARUTO -ナルト-」より(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

――じゃあ、もしいま「NARUTO -ナルト-」を第1話から録り直すとなったら、お芝居は変わりますか?
竹内 うーんどうかな? 序盤のナルトくんも、今の自分でやると思います。当時の芝居をトレースするつもりはないですね。でも、そうした結果、「昔のほうがいいね」なんて言われそうな気がする(笑)。やっぱり、若くて拙いけれど、そのときの勢いみたいなものが、ナルトくんという役には混ざっているんですよ。
杉山 そうですよね。僕も伊達(勇登)監督(「NARUTO -ナルト-」監督)とお話をしたことがあるんですが、若い時のがむしゃらな感じの良さというのもあるんですよね。技術的な表現で一生懸命さを見せることもできると思うんですが、それでは表現できないものもきっとあるんだろうなって。だから録り直すと、そつなく演じた、こなれ感がでちゃうかもしれないですね。

――当時の竹内さん、当時の杉山さんならではの芝居が「NARUTO -ナルト-」「NARUTO-ナルト- 疾風伝」には込められているんですね。
竹内 そうだと思います。「NARUTO -ナルト-」「NARUTO-ナルト- 疾風伝」は話数がたくさんありますけど、どこかに、そのときの自分が印されているはずです。

アニメ「NARUTO -ナルト-」より
アニメ「NARUTO -ナルト-」より(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ


【取材・文:志田英邦】

■アニメ「NARUTO-ナルト-」20周年記念 NARUTO THE GALLERY
会期:2022年12月10日(土)~2023年1月31日(火) 10:00~20:00(最終入場19:00)
会場:AKIBA_SQUARE (秋葉原UDX内)
入場券販売期間:~1月31日(火)18:30
料金:中学生以上 2400円(税込)、 小学生 1300円(税込) ※未就学児無料
主催:NARUTO THE GALLERY実行委員会 

■アニメ「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS-」
毎週日曜夕方5:30~テレビ東京系にて放送中

リンク:アニメ「NARUTO-ナルト-」20周年記念 NARUTO THE GALLERY
    NARUTO THE GALLERY/NARUTO THE LIVE公式Twitter・@naruto_20th
    アニメ「BORUTO-ボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS-」公式サイト
    アニメ「BORUTO-ボルト-」公式Twitter・@NARUTOtoBORUTO
    推奨ハッシュタグ:#BORUTO #ボルト

この記事をシェアする!

MAGAZINES

雑誌
ニュータイプ 2024年5月号
月刊ニュータイプ
2024年5月号
2024年04月10日 発売
詳細はこちら

TWITTER

ニュータイプ編集部/WebNewtype