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2018年4月から放送されているTVアニメ「魔法少女サイト」。「週刊少年チャンピオン」で連載中の同名マンガを原作とする本作では、ステッキを使って特殊な力を発揮する魔法少女と、その存在を生み出す“魔法少女サイト”を巡る物語が展開しています。WebNewtypeではその中心となる2人の魔法少女――朝霧彩役の大野柚布子さんと奴村露乃役の茜屋日海夏さんにインタビューを実施。徐々に友情が育まれつつある2人のヒロインや物語の行方といったアニメにまつわる話から、最近あった「不幸だねー」エピソードまで語ってもらいました。
――完成された作品を観られての感想はいかがですか?
大野:原作は読んでいましたが、色が付いてキャラクターが動いて音が鳴ると、目を背けたくなるくらい怖かったです。でも魔法少女サイトが出てくるシーンでラジオ体操風の曲が流れているとか、想像していたものと違っているところが面白かったです。
茜屋:先行上映会イベントでファンやキャストの皆さんと一緒に観たのが初めてでしたが、音や色によって印象が全然違ってくなるな、と。たとえば彩がいじめられているシーンでは日常的なやさしい劇伴が繰り返し流されていて、それがより恐怖を煽っていて。1話は彩ちゃんに味方がいないということが強調される演出だったのですごく怖かったし、でもラストに露乃も登場してこれからどう救われていくか……楽しみになりました。
大野:イベントでメインキャスト5人で観たときは、みんな同じところで「うっ」「これは酷い」という反応でした。山崎はるかさんは「やめてあげて」とか仰っていて、演じている雫芽さりなとは真逆でちょっと「かわいいな」と思っちゃいました(笑)。
茜屋:山崎さん、すごくいい人だから(笑)。
――それぞれが演じるキャラクターについて教えてください。
大野:彩は気が弱く、自信がないせいで必要以上にネガティブに考えてしまうところがあって、「そうじゃないよ」「頑張ろうね」と言ってあげたくなるような子です。
茜屋:彩は学校ではいじめられて、家では虐待されてというあの悲惨な状態がずっと続いているんだろうなと1話ですごく感じました。自ら行動するのは冒頭の自殺くらいで、それ以外に意思がない……こんな言葉では足りないんでしょうけど、助けてあげたくなりました。
大野:彩は暴力を受けて「やめて」とか言うんですけど、それも本当にやめてほしくて言っているわけではなく、反射的に言っているだけなんです。そんな意思すら外に出せなくなった子なんです。
――茜屋さん演じる露乃はいかがですか?
茜屋:ポーカーフェイスでクールな女の子です。表情がまったく変わらず、彼女にとっては人を殺すのも当たり前の行動。そんな風になったのも辛い過去があるからなんですけど……露乃は最初の精神的に無の状態、誰にも心を開いていない状態を結構引っ張るんですよ。「少し心を開いたかな?」という台詞も実は無意識で言った言葉で。そういった心を開いていく段階というのをすごく考えながら演じています。
大野:露乃ちゃんは狂気を感じさせるけど、その過去を考えると仕方ない面もあるかなって。本当は普通にいい子だったんだろうに……彩と同じく、やっぱり不幸ですね。
茜屋:過去エピソードを演じているときは震えで手が止まらず、ノイズが乗りまくりました(笑)。
大野:隣で観ていたけどすごくガクガクしていました(笑)。「魔法少女サイト」はそういうシーンが結構多いです。
――茜屋さんは「プリパラ」の真中らぁらや「ミイラの飼い方」の茂木朝を始め、明るい声のイメージが強かったので露乃のクールな演技を聴いて驚きました。
茜屋:基本的には感情を出すキャラクターばかりやってきたので、そこからギャップのある露乃を演じるにあたり、暇さえあれば役作りをしていました。それが視聴者のかたにどう感じてもらったか、ドキドキしています。
――彩や露乃以外に、気になるキャラクターやシンパシーを感じるキャラクターはいますか?
大野:……。
茜屋:シンパシーを感じるとまずいキャラクターばかりかもしれない(笑)。
――魔法少女狩りの潮井梨ナと、二面性のある穴沢虹海と、彩をいじめる雫芽さりなですもんね。
大野:意外とさりなは好きですね。1話だけ観ると「うわぁ」となりますけど、その奥には友達思いなところがあるんです。友達がいないと不安を感じる、弱い面もあるんじゃないかなって考えると、彼女のこともわかる気がします。
茜屋:私は変な役がやりたいので、梨ナちゃんみたいに「ウヴェアアア~」とか言ってみたいです。それと梨ナちゃんはコンプレックスが強い子なので、そこは自分の嫌な部分や好きじゃない部分を気にしちゃう私も共感できます。
――梨ナは2話で早速変顔をしていましたが、ああいうシーンも演じてみたい、と。
茜屋:もう実写でやりたいくらいです(笑)。
大野:え、露乃やってくださいよ(笑)。
――いつか実写版が実現したときの配役を楽しみにします。本作のテーマに友情があると思いますが、おふたりは理想の友情とはどんなものだと思いますか?
大野:私は、お婆ちゃんになっても一緒に温泉に行けるような関係ですね。そんな関係ってすごく素敵だなと思って……温泉、大事ですね。温泉に入りたいです。
茜屋:そっちに話いくんだ(笑)。
大野:定期的に旅行とか行って、何でも話せるような友人がいいです。私もずっと彩ちゃんみたいな人見知りでしたけど、この仕事を始めてから「役を演じるのは人を演じることだから、人を好きになれ」と言われたことがあって。それから人を観察して面白いと思い始め、少しずつ話しかけるようになってから自然と友達ができてきました。
――茜屋さんは?
茜屋:難しいですね。そもそも友情って何なんですかね?(笑)。仕事もプライベートも本当に全部話せる友達は少ないけど、そこにあるのは友情だと感じるので……自分としては、仕事も含めて気兼ねなく相談できる友達が理想でしょうか。
――ありがとうございます。では「魔法少女サイト」らしく、最近あった「不幸だねー」なエピソードを教えてください。
茜屋:私はまさに今が不幸で、親知らずを抜いたので固形物を食べられないんです。でも流動食しか食べられないから、普段はあまり食べないプリンなどをすごく食べていますね。もう食べ比べしちゃうくらい。ライ○ップの濃密チーズケーキとかおすすめですよ、美味しいのに糖質オフでカロリーも低いし。
――さすが、不幸な中にもポジティブな要素を見つけますね。大野さんは悩んでいる様子ですが……。
大野:今日、上着を忘れました。
茜屋:また忘れたの?
大野:家にいるときは温かいからそのまま外に出てくるんですけど、帰る頃には一気に寒くなっているじゃないですか。それが今日も……あっ! 服にタグが付いたままだ。なんかチクチクするなと思っていたら。
茜屋:ちょうど今、不幸なエピソードが生まれました(笑)。
――そんな大野さんが座長だとアフレコ現場も楽しそうですね。どんな雰囲気ですか?
大野:作品が暗い分、「明るくいじめる、明るくいじめられる」が現場のコンセプトです。本編からは想像できないくらい、わいわい仲よくしています。最近はどんどん人が増えて……(笑)。
茜屋:本当にみんな個性的だから楽しいです。でも収録が始まったらピッとスイッチ入ってそれぞれの役割を果たすし、メリハリがありますね。
大野:あとお兄ちゃん(朝霧要)役の岡本信彦さんが面白くって。現場の癒やしになっています。
――キャストと言えば、バーチャルYouTuberのキズナアイさんがサイト管理人捌(はち)役で出演するのも話題です。おふたりは放送直前のYouTubeライブでキズナアイさんにお会いになりましたが、どんな印象ですか?
大野:すごくかわいいかたでした。動画を観ていたときも思っていましたけど、実際に話してからさらにかわいさが増してしまって、役得でした(笑)。
茜屋:私はキズナアイさんでバーチャルYouTuberという存在を初めて知ったんですけど、すごいですね。本当に美少女で、2次元ともまた違った魅力がある。着ぐるみショーのお姉さんみたいな感じで、かわいいしすごく頼れるし。子供の頃を思い出しました。
【取材・文:はるのおと】