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【第13回「声優アワード」受賞者インタビュー】新人女優賞 本渡楓さん

2019年3月9日、2018年度に最も活躍した声優を称える第13回「声優アワード」の受賞者が発表されました。本稿では、新人女優賞を受賞した本渡楓さんへのオフィシャルインタビューをお届けします。

――2018年は本当にたくさんの作品に出演されていましたね。

本渡 今まで以上にたくさんの作品に携われた1年になっていて、どこから振り返ったらいいんだろう……? 主役を務めさせていただいたものとしては「刀使ノ巫女」があって、ふと振り返ってみるとオリジナル作品に関わる機会が多かったなと思います。もちろん原作のある作品もおもしろいし、どちらも大切なんですけど、オリジナルならではのよさに気づくことも多かったんですよね。毎週その場に行くまで次の展開がわからないから、視聴者の皆さんと同じ気持ちで作品に臨むことができるし、スタッフさんたちと密に相談しながらできるのもオリジナルだからこそだなって。スタッフさんたちがどれだけ作品を愛して、育ててきたかということに気づかせてくれたのが「刀使ノ巫女」で、そこからもう一歩踏み込んでスタッフさんに相談なり質問なりしようと思えた1年になりました。

――オリジナル作品でいえば「ゾンビランドサガ」の大ヒットも記憶に新しいところです。

本渡 「ゾンビランドサガ」に関してはスタッフさんも常々言っていますし、私たちキャストもそうですけど、ここまで話題になるとは正直思っていなかったです。でも本当に「ゾンビランドサガ」は見る人を飽きさせないつくりがうますぎるなと思いますし、何も考えないで見ていられる作品をつくる人たちって、どれだけ頭がいいんだろう? と思いましたね。楽曲もたくさん歌わせていただいて、それも「アイドルがこれを歌うんだ?」というものばかりで(笑)。デスボイスやラップにも初めて挑戦させていただきました。

――同時期に放送されていた「色づく世界の明日から」では主人公の祖母の高校生時代という、なかなか特殊な役柄でした。

本渡 私が演じさせていただいた琥珀ちゃんの60年後を演じられているのが、島本須美さん。最初は「あの、島本須美さん……!」と思って、やっぱり緊張はしましたね。私の出番自体は第4話からだったんですけど、第1話のアフレコにも顔合わせと見学でお邪魔させていただいて、そのときに島本さんのお芝居を拝見していて「すてきだなあ、上手だなあ」って、当たり前なんですけど感動して。その若かりしころとはいえ私が同じ役を演じるんだと思って、もう一度ピシッと背筋を正して現場に向かっていった記憶があります。

――最終回では月白琥珀役として、島本さんと連名でクレジットされていましたね。

本渡 すごく素敵なクレジット……。あんなこと、二度とないなと思いますよね。最終回のアフレコのときに撮った集合写真も島本さんが私の肩に手を置いてくれて、思わずファンの気持ちになりそうでした。危なかったです(笑)。

――2018年は貴重な経験ができた年にもなったということですね。

本渡 個人的には「ドラえもん」にゲストで出させていただいたことも大きかったです。私はもともとアニメを見ることが少なかったんですけど、その中でも「ドラえもん」は見ていた作品だったので、姫子ちゃん役としてのび太さんたちとしゃべることができたのは感慨深かったですね。普段あまりアニメを見ない友達からも「「ドラえもん」を見ていたら本渡ちゃんの声が聴こえてきてビックリした」と声をかけてもらえて、すごくうれしかったです。しかも、のび太さんのお母さん役が「ゾンビランドサガ」の山田たえちゃん、三石琴乃さんなんですよね。実は「ゾンビランドサガ」のアフレコが全部終わった後に、ちょっと間が空いてから「ドラえもん」のアフレコだったので「お久しぶりです!」とあいさつしたら、三石さんが「久しぶりだね、さくら」と言いながら抱きしめてくれたんですよ! 「今日はよろしく」と言って、頭をポンポンしてくれて、三石さんからの愛を感じました(笑)。

――これから演じてみたい役や、出演してみたい作品はありますか?

本渡 今までずっと言ってきた赤ちゃんのお芝居は「学園ベビーシッターズ」と「未来のミライ」で"これでもか!"というくらい演じさせていただいたので、次どうしようかな……? ホウキに乗って空を飛ぶという夢も「魔法少女サイト」でかないましたし、まだかなっていないのは恋愛をする役ですかね。「かみさまみならい ヒミツのここたま」の四葉こころちゃんみたいな淡い恋はあっても、ガチな恋愛をする役は今までなかったと思うので。オーディションこそ受けるんですけど、私に魅力が足りないのか、どうも受からなくて……(笑)。「色づく世界の明日から」のときも本当にみんながうらやましくて、私もいつか"恋するヒロイン"を演じてみたいです。あとは声優のお芝居をすごく求められるような、静かでリアルなアニメーションにいつか出てみたいです。賞をいただいたというこの機会をきっかけに成長して、難しい作品にも挑戦したいなと思います。

●ほんど・かえで/3月6日生まれ。愛知県出身。アイムエンタープライズ所属。主な出演作に「ゾンビランドサガ」(源さくら)、「刀使ノ巫女」(衛藤可奈美)、「色づく世界の明日から」(月白琥珀)など

撮影=田上富實子 取材・文=仲上佳克

■第13回「声優アワード」受賞者、受賞作品(敬称略)
●主演男優賞:内田雄馬
●主演女優賞:三瓶由布子
●助演男優賞:古谷徹、三宅健太
●助演女優賞:芹澤優、東山奈央
●新人男優賞:天﨑滉平、石井マーク、落合福嗣、仲村宗悟
●新人女優賞:石見舞菜香、楠木ともり、林鼓子、本泉莉奈、本渡楓
●歌唱賞:ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-
●パーソナリティ賞:諏訪部順一
●功労賞:緒方賢一、京田尚子
●シナジー賞:ポプテピピック
●富山敬賞:山口勝平
●高橋和枝賞:かないみか
●キッズファミリー賞:TARAKO
●特別賞:ちびまる子ちゃん
●外国映画・ドラマ賞:森川智之、甲斐田裕子
●ゲーム賞:東山奈央
●インフルエンサー賞:南條愛乃
●MVS(Most Valuable Seiyu):神谷浩史
※今回は、特別功労賞に代えて、本年度ご逝去された声優を顕彰しました。

リンク:「声優アワード」公式サイト
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