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テレビアニメ「昭和元禄落語心中」をきっかけに、「実際に落語を観てみたい」というファンの声に応えるために企画されたイベント「声優落語天狗連 supported by 昭和元禄落語心中」。3月20日(日)に開催される第3回は、助六役の山寺宏一さんがトークゲストとして登場することでも注目され、予想を上回る応募が集まったとのことです。
そんな第3回で、新人声優が初めての落語に挑戦するコーナー「声優チャレンジ」に登場と発表されたのは、4月に放送開始するアニメ「クロムクロ」で主人公を演じる阿座上洋平さん。そこで、阿座上さんの稽古が行なわれている現場に潜入取材してきました!
稽古には、前回の石井マークさんの時と同様、立川志ら乃師匠が立ち会います。今回、阿座上さんが出演オファーを受けたのは、本番の数週間前。挑戦するのは、与太郎が劇中で披露していた「出来心」です。15分間という長めの「出来心」のネタを、この短期間で覚えること自体が難しく、稽古を始めたばかりの頃は深々とため息をつくこともあったそうです。
ところが、4度目となるこの日の稽古では、そんな話が信じられないほど、すらすらと「出来心」を披露し、取材陣は心の中で大拍手!
しかしながら、師匠から飛び出したのは「自分がやっているの見たことある?」と、穏やかながら考えさせられるひと言。師匠は、「うまく喋るというより、感情の流れを意識しながら、声の強弱でメロディを作るといい」と指導しつつ、阿座上さんにお手本を披露しました。さらに、「言わなくてもいいセリフがある」「相槌のバリエーションは表情や仕草で増やせばいい」とアドバイスが続きます。それらはある意味、“アドリブ”とも言える演出。そう、セリフを完璧に覚えた阿座上さんは、さらにワンステージ上の落語にチャレンジしていたのです。
稽古は、本番前日の1回を残すのみ。阿座上さんは「以前教わったことを落とし込んできたつもりが、今日もまた言われて気づくことがたくさんありました。本番までには、もっと完成度を上げていきたいです」と強く意気込み、それに対して師匠は、「今日伝えたことを丁寧にやれば大丈夫」と太鼓判を押していました。
慌ただしくも濃密に過ごした1時間の稽古の後、荷物を片付ける間にも時間を惜しむように雑談をしていた立川師匠と阿座上さん。その内容は「個性」について。「一度グッと抑えたところから、それでも出てきちゃうのが個性。足し算じゃないんだよね。でも、若い時は気づかないもの」という師匠の言葉に、深く頷いていた阿座上さん。こんな2人の関係性から生まれた「声優チャレンジ」、どんな仕上がりになるのでしょうか? WebNewtypeでは、第3回「声優落語天狗連」のイベントレポートも行なう予定なのでお楽しみに!【取材・文/麻布たぬ】