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「ゲームに登場する風景が、僕が子どものころに見ていた風景に似ていた」――「OPUS:Prism Peak」ユージン役・三木眞一郎×SIGONO.INC ブライアン・リー 対談:延長戦


心の旅が始まる――台北に拠点を構えるインディーズゲームスタジオSIGONO.INCの新作「OPUS:Prism Peak」が、ついにリリースされました。
帰省の途中で、幻想的な世界に主人公ユージンは迷い込んでしまいます。そこで出会った謎の少女と協力して、ユージンは山の上を目指すことに。カメラのファインダーを通して世界を見ることで、隠された謎を少しずつ解き明かしていくのです。
3DCGで描かれた美しい自然の中で、ユージンはさまざまな不思議と出会い、自分が見ないようにしていた自らの過去に向かい合っていきます。

今回はその「OPUS:Prism Peak」の開発スタジオSIGONO.INCにユージン役を担当した声優・三木眞一郎さんが訪問。開発ディレクターのブライアン・リーさんと対談をしました。「OPUS」シリーズにかける思いや今回フィーチャーされたカメラという重要アイテムに込めた意味などをじっくりと伺います。

提供:集英社ゲームス

どの画面も一枚の絵として残したくなるようなゲーム体験を目指して



――「OPUS」シリーズは2016年から3作がリリースされている、SIGONO.INCの人気シリーズです。ブライアンさんにとってこのシリーズとはどんな作品なのでしょうか?
ブライアン 私たちにとって「OPUS」シリーズは、「人の心」を探求するための器のような存在です。これまで一貫して、「愛」「魂」「自己の完成」といったテーマを描いてきました。舞台は地球から宇宙、そして今作では山へと移り変わっていますが、世界観の根底にあるロジックは共通しています。広大な世界の中で迷ってしまったひとりの人間が、他者との絆を通して、自分自身を取り戻していく物語です。私たちが大切にしているのは、「温かい悲しみ」。 感情を揺さぶられたその先で、プレイヤーがもう一歩前に進む力を得られるような体験を届けたいと考えています。

――最新作「OPUS:Prism Peak」は幻想的な世界「ボウの地」に迷い込んだ主人公がカメラを使って、謎を解き明かしていくゲームです。ブライアンさんは、なぜカメラを題材に選んだのでしょうか?
ブライアン 「無常とどう向き合うか」を描きたかったからです。写真を撮影するという行為は、本質的には「消えゆく瞬間を留めようとする芸術」だと思っています。感情を排せば、物理的に私たちは何ひとつ留めることができません。それでも人は写真を撮り続ける。それ自体が、後悔や喪失に抗う行為だと感じています。物語の中には「心で見る」というキーワードがあります。カメラというシステムを通して、プレイヤーにはただ物語を“見る”存在ではなく、 自ら“探し”“見出す”主体になってほしい。何が記憶として残るべきものなのか――それを考える体験にしたいと思いました。「ボウの地」は 「大人のための『千と千尋の神隠し』のような世界」を目指しました。「ボウの地」は、魔幻的で、現実と夢の境界が曖昧な場所です。すべてがぼんやりとし、象徴的で、どこか掴みどころがない。しかし、カメラを通すことで、それらが「ピントを結び」「現像」されていく。心を込めて見なければ、本当の姿は見えない――そんな世界を描きたかったのです。

――三木さんはこの「OPUS:Prism Peak」をどのように受け止めていましたか?
三木 ゲームに登場する風景が僕の原体験というか、子どものころに見ていた風景に似ていたんですよね。親戚がいた福島であったり、四国であったり、そういう場所に似ていて。ゲームの主人公ユージンが見ている景色が、僕にもリアルにイメージができて、ユージンにシンクロしやすい部分がありました。彼がそういう場所に放り込まれてから起きることは、彼自身の内面と向き合わなくてはいけない出来事で。そういう二面性がこの作品の魅力のひとつではないかなと思っています。




――ユージンはボウの地に迷い込み、少女と出会います。どんな少女として描こうとお考えだったのでしょうか?
ブライアン この作品のテーマである主人公が、失意に陥った中年の成人男性という方向性が定まったときに、彼の心の中に無邪気な幼い子がいるというインスピレーションがあったんです。今までの「OPUS」シリーズは悲しいストーリーを温かみのある演出で描いていくという方向性があるんですけど、失意の大人が、無邪気で希望に満ちて好奇心のある子どもの目線も入れることで、より深みが出るんじゃないかという感覚があったのです。実際にどういうふうに物語が進むのかは、プレイヤーのみなさんがその目とその心で感じてもらいたいと思います。



――これまでの「OPUS 地球計画」「OPUS 魂の架け橋」は2Dゲームで「OPUS 星歌の響き」は2.5Dゲームにチャレンジしましたが、本作「OPUS:Prism Peak」は3DCGで美しい空間が描かれます。3Dスタイルにしたのはなぜでしょう?
ブライアン おっしゃるとおりで、今までずっと2Dの形式であえて余白を残してプレイヤーの想像に委ねながら物語をつくってまいりました。今回はより空間の広がりのある「OPUS」をつくってみたいという野望がありました。今回のコンセプトがカメラということもあって、3Dの世界観が適しているなと思って今回のチャレンジに踏み出しました。キャラクターや風景を撮影するにあたって、光の強さや角度であったり、風でなびく物体であったり、動植物の動きをよりリアルに表現することで、これまでの「OPUS」シリーズとは違う物語を描けるようになったと思います。
三木 僕が収録のときに見た映像は100%完成したルックではなかったので、なかなかゲームの映像について語るのは難しいのですが、その未完成の状態であったとしても、空間の広さや景色、青空や登場する動物たちが感じられて。そこからしばらくすると、今度は違ったテイストの映像が入ってくる。良い意味で裏切ってくれる展開になっているので、きっとゲームをプレイされえる方にとっては驚きと、テンポが変わる瞬間を味わえってもらえるような映像になっているんじゃないかと思っています。
ブライアン 極端なフォトリアル表現は、かえって想像力を制限してしまうと感じています。アニメ調の3Dだからこそ、光や色彩を誇張し、感情の揺らぎをより詩的に表現できる。「存在しない風景」「夢の中にしかない美しさ」…… それを描くことが「OPUS:Prism Peak」のテーマである郷愁や空気感と、最も相性の良い表現方法だと思いました。どの画面も、一枚の絵として残したくなる――そんな体験を目指しています。




【取材・文:志田英邦】

「OPUS:Prism Peak」はNintendo Switch、Nintendo Switch 2、Steamに加え、PlayStation 5でも発売することが決定! 2026年内に発売予定。さまざまなゲーム機で「OPUS:Prism Peak」を楽しめます。


©SIGONO INC. / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES


今回の対談にあたり、台北を訪れた三木さんは、自身のガジェットを用いて、旅を記録したそうです。今回は特別のその一部をお届けします!










■「OPUS: Prism Peak」
●Nintendo Switch(TM)、Nintendo Switch(TM)2、STEAM(R)で発売中
©SIGONO INC. / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES
Nintendo Switchのロゴ・ Nintendo Switchは任天堂の商標です。
©2026 Valve Corporation. Steam and the Steam logo are trademarks and/or registered trademarks of Valve Corporation in the U.S. and/or other countries.

リンク:OPUS: Prism Peak 公式サイト https://opuspp.shueisha-games.com/
    集英社ゲームズ公式X(Twitter)・@ShueishaGamesON https://x.com/ShueishaGamesON

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