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2025年10月25日・26日に岐阜・大垣市スイトピアセンター文化ホールで「水の都・大垣アニメ文化祭2025」が開催されました。
このイベントはアニソンアーティストや声優、そして岐阜県出身のクリエイターを招いて、トークやライブを行なうというもので、今回が初の開催となります。ここでは2日目の様子をレポートします。
第1部では、MCの鷲崎健さんがゲストとトークを繰り広げるというコーナー。そのオープニングゲストとして、『BanG Dream!』や『D4DJ』といったコンテンツにストーリー原案や作詞で携わり、このイベントの発起人である中村航さんが登場しました。18歳まで大垣で過ごしたという中村さんは、青春時代や作家になるまでの紆余曲折を振り返りつつ、今回のイベントを企画した経緯を語ります。
「大垣で毎年続くような、アニメにかかわるイベントをやりたかった」という中村さん。それで今年の正月に発行された新聞用の取材で「いつかやりたい」と話すつもりだったものの、正月でおめでたいし「今年やります」と言ってしまったとのこと。その結果、今年開催することになり、急ピッチで準備をしてきたことを明かしました。
日本全国の温泉をモチーフにしたキャラクターと声を担当する声優たちが、温泉地を盛り上げるプロジェクト「温泉むすめ」からは、福地珊瑚役の反田葉月さん、長良川かがり役の三谷綾子さんという岐阜の温泉むすめを担当する声優と、月岡来瑠碧役で岐阜県出身である西田望見さんの3人が出演しました。
トークコーナーでは大垣が俳句の町ということで、事前に出演者が詠んだ俳句が披露されるという展開も。「温泉むすめ」チームは全員が食べ物関連の句となり、食いしん坊ぞろいの一面をのぞかせます。また岐阜の話を促された西田さんは、自身がバイク乗りということで「岐阜のツーリングは最高!」とアピールしました。
続いて登場したシンガーソングライター・友希さんも岐阜県出身であり、「ただいま!」とあいさつすると、そこからは怒涛の岐阜トーク。友希さんは、岐阜県出身の声優が少ないなか、これまで岐阜に関するアニメに多く出演できたことに触れ「今後も岐阜のアニメに全部かかわりたい」と力強く意気込みを語ります。
その後に登場した、茅原実里さんが詠んだ俳句は「友だちの笑顔が夢呼ぶ文化祭」。高校の文化祭のカラオケ大会で優勝した際に、同級生が笑顔で「感動した」と言ってくれたことから、歌手という夢ができたというさわやかなエピソードを披露して拍手を浴びました。
最後のトークゲストは遠藤正明さん。「正明」という名前は自宅の3軒隣のおじさんが名付けたというリラックスしたトークが繰り広げられるなか、bambooさんとやまけんさんが加わり、MCの鷲崎さんも含めて遠藤会が集結。このユニットは遠藤さんを中心にした飲みサークルだそうですが、コロナ禍のためしばらく飲むことができず、今回が6年ぶりの活動とのこと。気心が知れたメンバーということで、唯一のアニメタイアップ曲となる「健全ロボ ダイミダラー」が作られた経緯や、イベントまでに水まんじゅうや岐阜タンメン、ソースカツ丼など岐阜の食を存分に楽しんだことが賑やかに伝えられました。
ライブコーナーとなる第2部の冒頭では、大垣市長・石田仁さんが当地の魅力を観客に訴えると、続いて声優の上間江望さんが登場。自身が作曲し、中村さんが作詞した「水の都・大垣アニメ文化祭」のテーマソング「その文化祭は終わらない」を歌唱し、早速会場を熱気に包みました。
アコースティックギターをかついで現われた友希さんは、声優アイドルユニット・i☆Risで見せる姿とはまったく別の、シンガーソングライターとしてのパフォーマンスを見せます。特に思い入れたっぷりに歌ったのは「新幹線のなかで泣きながら、故郷で歌うために書いた曲です」という紹介から始まったバラードの「オレンジシャワー」。ほかにもバラエティ豊かな楽曲を披露し、故郷への凱旋を果たしました。
「温泉むすめ」は盛り上がり必至の人気曲「咲かせよ 沸かせよ バンバンBURN!」でスタート。福地珊瑚のキャラクターソング「気分はストレンジャー」を反田さんと三谷さんの2人で歌ったり、初期から歌われるバラード「さよなら花火」を、長良川と花火大会をイメージして中村さんが歌詞をアレンジした「長良の花火」といった今回限りの特別なステージで存在感を発揮。終盤には「Petit Etoile」「青春サイダー」といったアッパーナンバーを続け、会場を熱気に包みます。
代表曲のひとつ「境界の彼方」から始まった茅原さんのステージ。ハイライトとなったのは、自身が出演したTVアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の劇中歌「Lost my music」でした。トークパートで文化祭の思い出に触れたうえで、「アニメ文化祭」にこれ以上なくふさわしい選曲のカバーは、ファンを大いに喜ばせます。
ソロとして「勇者王誕生!」をはじめとする新旧の代表曲を連発し、観客の大合唱を引き出した遠藤さんは、その後遠藤会のメンバーとして第2部のトリを務めました。しかし久々の活動で持ち歌も3曲しかなく、メンバーも「茅原さんがトリでいいんじゃない?」「クールダウンのつもりで聞いてください」と恐縮しきり。
しかし歌いはじめると熟練の技で会場を盛り上げていき、ついに最後の曲である「健全ロボ ダイミダラー」を熱唱。必殺技の“投げ込み”が多用される王道ロボットアニメソングに、観客も大ボリュームのコールで応え、会場はこの日一番のテンションに。歌い終えた遠藤さんの「本当にすみませんでした!」の謝罪で、第2部は盛大に締めくくられました。
その後のエンディングでは、2026年10月3日(土)・4日(日)に次の「水の都・大垣アニメ文化祭」が開催されることが早くも発表されます。この日、多くの人が「これからずっと続いてほしい」というコメントを発していましたが、その未来につながる第一歩は大盛況のうちに幕を下ろしました。
【取材・文:はるのおと】
リンク:水の都・大垣アニメ文化祭2025