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メディアミックスは国や時代を超えて届く魔法——「花より漫画」神尾葉子インタビュー【後編】

「花より漫画」書影


累計発行部数6100万部を超える少女漫画の金字塔「花より男子」の作者・神尾葉子先生が、自身初となるエッセイ集「花より漫画」を刊行しました。「花男」の誕生秘話やキャラクターたちへの知られざる思い、漫画家としての原点と紆余曲折を主軸に、あたたかさとユーモア、あるいは切なさがきらめく日常がやわらかなことばで綴られています。

刊行を記念した本インタビューでは、エッセイを書かれた思いから、神尾先生の最新作——Netflixにて2026年1月15日より世界独占配信が決定している完全新作アニメシリーズ「プリズム輪舞曲」についてまで、前後編に渡り、たっぷりお話をうかがいました。



——日本でのドラマ&映画化に留まらず、台湾、韓国、中国、タイと海外でもドラマ化され、アニメ化、舞台化と、メディアミックスされて作品が広がっていくようすもエッセイに綴られていますね。あらためてすごい作品です。
神尾 「花より男子」はもう本当に古い作品で、連載は20年近く前に終わってるんです。それなのに、いまだに作品を知っていただけているのって、本当にメディアミックスのお力を借りてるとしか言えないなと思っていて。原作は全37巻もあるんですけど、それぞれの国や時代やシリーズごとにおもしろい部分を抽出して再構成して、みなさんへ届けていただけているのもメディアミックスの力だと思います。

——メディアミックスの際には基本的にはお任せしている感じですか?
神尾 はい。本当にありがたいことに、どのチームにもスタッフさんの中に、ものすごい原作のファンの方がひとりは必ずいらっしゃるんですよ。本当に昔から読み込んでますっていう方がいて、作品やキャラクターを愛してくださっていて。だから安心して任せられていましたね。あと、やっぱり原作者のことばってどうしてもすごく強く響いちゃうので「嫌です」って言ったら、現場が立ち行かなくなることがある。だから、何か細かいことを言うんだったら、ちゃんと関わらないとダメじゃないですか。でも、当時の自分にそこまでの余裕はなかった、という背景もありました。なので、何か言ったことは一度もなかったですね。

——一番最近のメディアミックスは、2021年にタイで放送された「F4 Thailand/BOYS OVER FLOWERS」。日本でも大人気になったBLドラマ「2gether」主演のブライトさん、ウィンさんがF4に配役されたことも話題になりました。
神尾 ブライトさんはもともと人気の俳優さんでしたけど、彼が道明寺(司)をやると、なんだかものすごいトップスターのオーラを放ってましたね。 ‎

——どの国のF4もつくしも魅力的で、「花より男子」という作品のフレームの強さにあらためて驚かされます。
神尾 原作者としては、それぞれぴったりの方が演じてくださっているのがありがたくて。しかも、みなさん、ドラマのあとにさらに活躍されていくので、もうまぶしく見ているばかりです。

——そして、2026年新年早々、神尾先生の最新作が公開されます。原作、キャラクター原案、脚本を手掛けられたアニメーション「プリズム輪舞曲」。Netflixでのプロジェクト始動のエピソードも非常に興味深かったです。
神尾 そうなんです。最初はアニメとも言われてなくて「お話をいっしょにつくりませんか」とプロデューサーの櫻井(大樹)さんからお声がけいただいたんですけど、ただ私……DMをいただいているのに気づかなくて、1か月くらい放置してしまっていたんですよね。半信半疑で恐る恐る連絡をとって、すぐにお会いして、やりましょうということになりました。アニメの企画なのだということはお会いしてわかったんですけど、その時点で、1900年代、明治時代に女の子が独りで海外に行って画家をめざす、というベースの設定を提案していただいていました。舞台は初めはフランスという案だったんですけど、私からロンドンがいいな、イギリスの貴族とのラブストーリーとか、学園の青春群像劇がいいなとお話して。とにかく〝少女漫画〟をやってほしいというオーダーでした。

——そこからシナリオ開発に入られた。
神尾 はい。まず、私のほうでプロットをつくって、それから毎週のように各話の脚本をみんなでもんで。お話を作るところはずっとひとりでやってきたので、誰かといっしょに考えたり、いろんな方の意見を取り入れながら進めることはなかったので、新鮮で刺激的でした。とても楽しかったですね。

——アニメになることを前提にする物語づくりは、また違いましたか?
神尾 全然違いました。絵コンテが固まってきたところで、3rdディレクターの藤井咲さんがあらためて映像的な構成をベースに脚本をリライトしてくださって。コロナ禍だったので毎週みんなでリモート会議して、プロットを作るのに半年ぐらい、脚本を作るのに丸1年ぐらいかけています。一方で、私はキャラクター原案も進めて。

——トレイラーを見て、新たな神尾先生のキャラが動いてしゃべっている……!と、わくわくしました。
神尾 キット・チャーチっていう男の子が登場するんですけど、それがちょっと花沢類っぽいんです。キャスト陣も豪華すぎませんか!?

——主人公に種﨑敦美さん、キット役に内山昂輝さん、ほか、梶裕貴さん、潘めぐみさん、阿座上洋平さん、坂田将吾さん、上坂すみれさん、鬼頭明里さん、大塚芳忠さん、甲斐田裕子さん、諏訪部順一さん……と本当にそうそうたる!
神尾 アフレコも全話参加したんですけど、まず種﨑さんが本当にすばらしくて。ブースの中で種﨑さんが泣くと、ガラス越しの我々もみんな涙ぐんでいる、みたいな。内山さんや梶さんをはじめ、男性キャラのかっこよさも、みなさん最大限に表現してくださっています。

——全20話ということで、大変楽しみです。
神尾 物語の盛り上がりはもちろん楽しみにしていただきたいんですけど、WIT STUDIOさんがすばらしいアニメーションにしてくださって手を抜いてる回が全然なくて。あの時代のロンドンを描き出した美術も本当にすばらしいので、まるごと楽しんでいただきたいです。 社交界のダンスのシーンとか、めちゃくちゃすてきなんですよ。

——世界同時配信ということで、世界中のファンのみなさんが待ち焦がれていることと思います。
神尾 たくさんの人に見ていただきたいですし、舞台であるイギリスの方にも見ていただきたいですね。これまで「花男」のサイン会で海外のファンの方にお会いする機会もたくさんあって実感しているのですが、日本の漫画とかアニメーションというのは、私たちが思ってる以上に、みなさん熱く受け止めてくださっていて。本当にうれしいです。

——「花より漫画」というタイトルでエッセイをまとめられた神尾先生。漫画を描くことへの現在の思いを教えて下さい。
神尾 アニメの仕事を経験して、あらためて漫画って、これをひとりで全部やる仕事だったんだなって思いました。脚本はもちろんですけど、カメラワークとか撮影効果とかも、基本的にはすべてひとりで考える。うん、すごいなってすなおに思いました。漫画描くことが結局好きなんですけど、今はちょっとお休みというか。描きたくなったら描こう、という気持ちでいます。

——一方で、本作で文章表現への扉も開いたのではないかと思います。今後の展望などありましたら教えて下さい。
神尾 絵もたくさん散りばめられていますけど、基本はすべて文章でお伝えするということが本当に初めてで、遅ればせながらスタートという感じでした。でも、読んでいる方に頭の中にあることをお伝えすることの難しさとか、ちゃんと書けたときのうれしさみたいなものは、漫画とあまり変わらなくて、やっぱりそういうものなんだなあ、なんてしみじみしましたね。今回は過去から今までの私を振り返ったエッセイでしたので、ここから先は日々のエッセイも続けて書き記していけたらな、と思っています。小説みたいな物語づくりも、短いものから挑戦していけたらな、なんて思いますけれど、はてさて、ですね(笑)。


【取材・文 ワダヒトミ】


「花より漫画」
●発売中
著者:神尾葉子
定価: 1,870円 (本体1,700円+税)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322507001259/

Netflixシリーズ「プリズム輪舞曲」
1月15日より世界独占配信

インタビュー前編はこちらから

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