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「アニスタ」開催直前連載企画【第6回】 宮川彩乃(MAPPA)×松屋明子(コミックス・ウェーブ・フィルム)×加藤穂乃伽(CloverWorks)×山田健太(WIT STUDIO)座談会 後編

2月9日(土)&10日(日)の2日間、東京・秋葉原で「アニメスタジオミーティング(アニスタ)」と題されたイベントが開催されます。イベントを直前に控えた今回は、各参加スタジオから若手スタッフ座談会の後編をお届けします。

――皆さんにとって、社外社内問わず、尊敬する先輩や目標とされてる方はいますか?

宮川:「この人みたいになりたい」という明確な人は定まっていないです。ただ、制作をやっているときに感じたのは、周りを見回してみたとき、体力に特化した人や、とにかく納品を見据えた行動を起こせる人、クリエイターさんとコミュニケーションを取るのがすごくうまい人など、全員がいろんな長所を持っていたんですよ。それら全てを兼ね備えた“スーパー制作”みたいな人を私は見たことがありません。それぞれに得意不得意がありながらも、絶対に何か一つは輝いたものを持っているんですね。入社したときから、先輩たちのそういう長所を少しずつ吸収しようと思っていました。多分、制作進行という職種にはいろんな才能が必要だと思うので、その全てを完璧にしようとするのではなく、周囲のいいところを自分に合わせて吸収していくのがいいのかなと思っています。

松屋:私が所属するデザイン部には、私の上長にあたる10年以上勤めていらっしゃる方と、6年目の方、それに私と後輩の4人しかいないんですね。その中で6年目の先輩のことはずっと尊敬しています。デザインに関する技術的なことだけではなく、後輩の指導がすごくうまいし、何か問題が起きたときにも、その人の人柄もあって解決に導いてくれます。バランスのとてもいい人で叱るときはしっかり叱ってくれますし、尊敬はしていますけど、絶対に真似はできないと感じています。他の部署の方も同じフロアにたくさんいて、他業種から転職してきた方もいるのですが、その人達が持つ知識や経験に、素直にすごいなと感激してしまうことがあります。自分も目の前のことを一生懸命やって、いつか皆さんの力になれるように成長できればと思っています。

加藤:私も「この人みたいになりたい」というのはありませんが、このコーナーの第4回で対談していた、弊社の福島(祐一)と梅原(翔太)の二人はずば抜けてすごいと思っています。福島はプロデューサーという上の立場にありながら、いまでも「何か新しいことをやりたいんだよね」と常に面白いことを探して、アンテナを張り続けているのが、すごいなと思っていまし、梅原はいつ休んでいるのかわからないくらいこなしている仕事量に圧倒されます。その上、いつも元気にいろいろなことを純粋に楽しみながらされているんですよね。それくらい仕事に対して情熱を傾けられるのは本当にすごいことだと思うので、そこは私も見習いたいなと思っています。

山田:尊敬する人ですか、一つ言えるのは「このタイトルをうちでやろう」と言える弊社のプロデューサー陣はすごいなと思っています。それはうちのどのプロデューサーについても言えることですね(笑)。あとはクリエイターとすごいシンクロできる人を見ると、すごいなと感じます。うちでいえば、やっぱり中武(哲也)ですね。「どこからそんな新しいクリエイターさんの情報を取ってくるんですか?」というくらい、常に新しい情報を仕入れてくるんですよ。しかも、そういう人たちが作品にのめり込んだときの瞬発力は凄まじくて、こちらがコンプレックスを感じてしまうほどです。おそらく自分は同じ方向で戦うのは厳しいから、「この人たちにはできない“何が”自分にできるだろう」と考えることも多いです。

――では、最後にご自身が所属されているスタジオのセールスポイントも含め、アニメ業界を目指す方々に向けてメッセージをお願いします。

宮川:MAPPAの良いところは、他社さんと比べても制作の年齢が若く、活気があるところですね。他にも、社長の大塚に「相談したいことがあるので時間をいただけますか?」と言うと絶対に覚えていてくれて、その日に時間がなくても必ず後日に時間を作ってくれるんですよ。そうした風通しの良さも良いところだと思います。アニメ業界に対する入り口はとても広いですが、これから業界を目指す方へは、ぼんやりでもいいので「アニメというものに対して自分はどんな立ち位置の人間になりたいのか」を思い描いて入ってきて欲しいと思います。将来的に自分が何をしたいのか突き詰めて考えることが、プロデューサーになりたいのか、それを持つことが業界に入った後のモチベーションにも繋がると思いますし、うちはその点も重視していると思います。

松屋:CWFの良いところはなんでもやっているところですね。アニメーション制作だけではなく、劇場配給、パッケージ制作、海外セールス、国内セールス、ライツ管理など、なんでも自社でできるのが良いところかなと思います。もともとアニメ業界だけに絞っていたわけではない私の立場から言わせていただくと、そうした様々な業種のある会社なので、必ず活躍できる場が見つかると思います。また、今日こうして他のスタジオのお話をお聞きして、同じアニメスタジオでも違う強みがたくさんあるなと感じたので、各スタジオがどうなっているのか、きちんと情報収集した上で進むべき道を見つけるのがいいのかなと思いました。

加藤:CloverWorksはまだ分社化して間もないスタジオで、社長も「何か新しいことをやりたい」と常におっしゃっているので、これからアニメ制作を主体にして、他のところにもどんどん広がっていく会社になるんじゃないかなと思っています。それに上司にも話しやすい環境で、相談すれば「じゃあ次はこれをやってみる?」と希望を叶えてくれることもあります。制作進行についていえば、知識や才能がなくても誰でも入ってこられる入り口が広い職種ではあると思いますが、それを続けるには自分の中に絶対的な「好き」や「これがやりたい」という意思がないと続けられないと思います。業界を目指そうという方は、ぜひそういう何かを持って入ってきてもらいたいです。そうすれば可能性がどんどん広がっていくんじゃないかと思います。

山田:WIT STUDIOの良いところは、あまり嫌味を言うような人がいないところですかね(笑)。そこは個人的には入る前にすごく知りたかった情報なので、人間関係や風通しの良さは安心してください。また、進行をやって自分ができるようになったことでいうと、テレビ画面に映っているアニメを観て、それを実現するにはどのぐらいの期間で、どういうスキルの人、何人に発注すればいいのかが全部わかるようになりました。しかも、それを設計図であるコンテや発注書の段階で判断できるようにもなりました。これはアニメに限らず、物を作ることを包括的に見る能力を養うことになるので、その目を鍛えるにはすごく効率の良い現場だと思います。その先に何をしたいかというのは、皆さんそれぞれあると思いますが、「物を作れる」という能力はどの分野でも強いので、そういう意味では地に足が付いた企画を立てることができるようになるんじゃないかなと思います。そういうことをしてみたい人はぜひ挑戦してみてください。

現在、イベントのチケットはWIT STUDIOのアプリ「WITアプリ」で発売中。

各スタジオのファンや、アニメ業界を志す皆さんは、今すぐ申し込みを!

●宮川彩乃(みやかわ・あやの)/MAPPA 企画版権部所属。制作部に入社後、「将国のアルタイル」、「バナナフィッシュ」の制作進行を担当。その後、企画版権部に異動し、現在に至る。

●松屋明子(まつや・あきこ)/コミックス・ウェーブ・フィルム デザイン部所属。同社の商品デザインをはじめ、アニメーション本編での2Dデザインワーク、ホームページの管理業務や展示会での監修業務、グッズの在庫管理なども担当。

●加藤穂乃伽(かとう・ほのか)/CloverWorks 制作部所属。A-1 Picturesに入社後、「GRANBLUE FANTASY The Animatio」などの制作進行を担当。その後、分社化に伴い、CloverWorksへ移籍。

●山田健太(やまだ・けんた)/WIT STUDIO 制作部所属。同社へ入社後、「ローリング☆ガールズ」、「甲鉄城のカバネリ」などの制作進行を担当。「劇場版ポケットモンスター~みんなの物語~」では制作デスクを務める。

【取材・文:橋本学】

アニメーションスタジオミーティング2019
【開催日・会場】
2019年2月9日(土) 東京秋葉原【リクルートデー】
2019年2月10日(日) 東京秋葉原【ミーティングデー】

東京秋葉原メイン会場:秋葉原エンタス(東京都千代田区外神田1-2-7 オノデン本館5F) 
東京秋葉原サブ会場:ベルサール秋葉原(東京都千代田区外神田3-12-8住友不動産秋葉原ビルB1)
【チケット】
WITアプリにて販売中

リンク:「アニメーションスタジオミーティング2019」公式サイト
    「WITアプリ」

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