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2018年4月から放送がスタートし、妖怪と人間の関係を通じて、現代社会の陰と陽を描き続けた『ゲゲゲの鬼太郎』(第6期)。そして、2018年11月にリリースされて以降、幅広い世代に人気を集めているゲーム『ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争(以下、ゆるゲゲ)』。
この3月にアニメが完結することを記念して、両者のプロデューサーによるスペシャル対談が実現! 東映アニメーション・永富大地さんとポノス・岩原ケイシさんによるここだけの話満載なインタビューを二回に渡ってお届けします!
――まず、『ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争』からお話を伺いたいと思います。ゲームアプリ『ゆるゲゲ』の企画はいつ頃スタートしたのでしょうか?
岩原 LINEスタンプの『ゆる~いゲゲゲの鬼太郎』を見たのがきっかけでした。弊社は『にゃんこ大戦争』のようなゆるいキャラクターが登場するゲームを作っているのですが、『ゆるゲゲ』でこういったテイストのゲームを作ってみたらどうだろうと思い、企画書を書いたんです。それが2016年の夏くらいですね。
永富 僕が『鬼太郎』第6期の企画を始めたのが2016年の年末なので、そのときにはまだゲームの話が出ていることは知らなかったんですよ。
岩原 私が東映アニメーションさんとコンタクトを取ったのは10月くらいで、挨拶に伺ったのが12月でした。だから本当に同時期くらいにスタートしていたんですね。
――永富さんと岩原さんが初めてお会いになったのはいつ頃でしたか?
永富 2018年の3月……アニメが始まる一ヶ月前です。鳥取県境港市の「水木しげる生誕祭」にポノスのみなさんがいらっしゃったんですよ。一緒にビジネスをやる人が境港まで来られることはあまり経験がなかったので驚きました。
岩原 やっぱり、『鬼太郎』というビッグタイトルを扱うなら、生半可な気持ちじゃいられなかったんです。それに、やるならばアニメともしっかりと連携したいですし、境港の雰囲気も落とし込みたい……!! そんな野望を夜中の2~3時くらいまで永富さんと話していました。
永富 次の日にはステージがあったから本当は寝たかったのに、岩原さんの熱量に負けちゃって(笑)。
――そんな岩原さんの熱意もあり、アニメのアイキャッチやエンディング映像に『ゆるゲゲ』のキャラクターが登場したり、ゲーム内でのコラボレーションが実現したわけですね。
永富 そもそも『鬼太郎』という作品は、東映アニメーションにとって大事なタイトルではあるんですが、他の長寿タイトルのようにずっと続いているわけではないので、少し特殊なんですよ。そこで弊社の若手が中心になって、『鬼太郎』というIPを盛り上げたいと、『ゆるゲゲ LINEスタンプ』の企画が立ち上がっていました。ですから、『ゆるゲゲLINEスタンプ』のキャラはよく見ると2007~2009年に放送された第5期がベースになっている。第6期はその企画とは別に動いていたものなので、極論で言えば、『ゆるゲゲ』は今放送しているアニメとは別物ですから、と割り切って進めることもできたんですよ。でも、岩原さんがテレビアニメと一緒に『鬼太郎』を盛り上げたい! と熱い気持ちを伝えてくださったので、僕らとしてもそれに応えようと思い、アイキャッチやエンディングに『ゆるゲゲ』のキャラクターを登場させました。
岩原 弊社は中小企業なので、良くも悪くも一つのタイトルに熱量を込めて作ることが多いんですね。なので、プランナーはせっかく『鬼太郎』をやるならと、原作を全て読み、さらにアニメも第1期から全部見ていたんですよ。そもそも元となる『ゆるゲゲ』はLINEスタンプくらいしか素材がなかったので、ゲームの中ではもっと多くのキャラクターを作らなきゃいけなかったんです。あずき洗いが妖怪変化したら全自動洗濯機のあずき洗いになるのかな……などと提案しつつ、東映アニメーションさんとキャッチボールして徐々にキャラクターを増やしていきました。
永富 『ゆるゲゲ』はちょうどアニメと同時期にリリースされましたけど、ゲームはゆるくて、アニメの方はシリアスじゃないですか(苦笑)。でもそんな対照的な作品でもお互い懐が広いから、実は相性もよかったと思うんですよ。6期コラボのときなんて、ちっちゃいキャラクターたちがわーっと出ているところに、八頭身のねこ娘がそのまま出てこられるのが面白かった(笑)こんなことってなかなかできないじゃないですか。それを実現するために、岩原さんをはじめポノスの皆さんには尽力して頂きました。その甲斐あってたぶん後世では、2010年代の『鬼太郎』は第6期と『ゆるゲゲ』の両翼だったと語られるんじゃないかなと思います(笑)。
――さて、その両翼のうち、片翼を担うアニメ第6期がいよいよ終局に向かいますね。
永富 第6期にある幾つかのテーマの中に、境界のあちら側とこちら側というものがあります。あちらにいるのは妖怪、こちら側は人間で、その間に立っていたのが鬼太郎と犬山まなでした。これまではそんな二人が、色んな衝突を解決していくという物語だったんですが、3月15日からの放送で、その最終的な結論を描こうと思っています。
妖怪と人間の区分けを明確にしたいのがバックベアードとぬらりひょんで、ことあるごとに野望を邪魔してきた鬼太郎を倒すために同盟を組みます。鬼太郎は妖怪なのに人間の味方をしているわけですが、あることがきっかけで妖怪と人間の関係が悪い方へ向かってしまう。その時、鬼太郎がどう考え、どう行動するのかが見どころですね。ぜひ最終回まで楽しみにしていただければと思います!!
――同時期には『ゆるゲゲ』でも第6期とのコラボイベントがあるそうですね。
岩原 3月16日から、アニメ第6期キャラが登場します。鬼太郎、ねこ娘、犬山まな、アニエス……そして今回初登場の石動零です。また、鬼太郎、ねこ娘、アニエスはゆるゲゲ化したかわいいバージョンも出てきます。4月以降にも新たな機能を追加する予定ですが、それは最終回後にお知らせできると思います……!
【後編に続く】
永富大地(ながとみ・だいち)
1979年生まれ、福岡県出身。東映アニメーション所属。主なプロデュース作品に『ワールドトリガー』『デジモンユニバース アプリモンスターズ』など。『ゲゲゲの鬼太郎』(第6期)ではプロデューサーの他、ノベライズ『蒼の刻』『朱の音』で短編を執筆している。
岩原ケイシ(いわはら・けいし)
1973年生まれ、福岡県出身。広告代理店を経て、現在はポノス ダークホーススタジオ所属。主なプロデュース作品に『Wizardry Online』『ゆる~いゲゲゲの鬼太郎 妖怪ドタバタ大戦争』など。福原蓮士氏作画によるマンガ『ウィザードリィZEO』の原案も手掛けた。
【取材:五十嵐浩司、太田祥暉/文:太田祥暉(タルカス)】