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「50人くらいの箱でいいと思っていた」フェスに挑むMONACAの想い【MONACAインタビュー後編】

アニメファンから厚い支持を集めるサウンドクリエイター集団・MONACA。彼らにとって初のライブイベント「MONACAフェス2016」が4月30日(土)に大宮ソニックシティで開催されます。

「アイドルマスター」「アイドルマスター シンデレラガールズ」「アイカツ!」「Wake Up, Girls!」からゲストに招いて行なわれるこの“祭り”を前に、設立者の岡部啓一さん、そして所属作家の神前暁さんに話を聞いてみました!

――アニメファンに受ける曲のツボは、どこにあると感じますか?

神前:一概には難しいですが…キャッチーさは一番重視しています。音楽的には正しいけど当たり障りのない曲は作る意味がないですよね。

岡部:趣味で作るならともかく、お金を払って聴いてもらうなら、お客さんに何かを感じてほしい。そういう意味で、若手の作家には受け手を意識して、「こう感じてほしい」というのを感覚だけではなく、きちんと考えて作るよう言っています。

――作曲時の様子を知るための例として、それぞれ代表的な1曲でこだわったポイントを教えてください。

岡部:僕がOP「ホシトハナ」を手がけた「結城友奈は勇者である」(2015年)は、MONACAらしいかわいい女の子がキャッキャしている側面と、少しシリアスな側面があるアニメで。僕は明るくてスピード感のあるOPなどはあまり担当せず、EDなどしっとりした曲を担当することが多いのですが、そういう方向性ならやらせてもらおうと思って作ったのが「ホシトハナ」です。

――なるほど。

岡部:あと、僕は曲中にテンポを変えるのは、やりたくないんですよ。ファイルの管理とかいろいろと大変なので(笑)。でも「ホシトハナ」では、サビで少しだけテンポを上げているんです。そういう意味で思い入れも深いし、いろいろと二転三転して苦労したし(笑)。よくも悪くも変化球な楽曲ですね。

神前:僕はどれか1曲というわけではないのですが、ずっとやらせていただいた「物語」シリーズのOPですね。すべてキャラクターソングですが、そのキャラクターの外見や内面、物語での役割などそういった要素を汲みつつ、手を変え品を変えやれて楽しかったです。

――具体的に言うと?

神前:例えば、羽川翼というキャラクターだと、最初のシリーズでは「sugar sweet nightmare」という暗くて悲壮感溢れる曲でしたけど、その前日譚である「猫物語(黒)」では一転してとろ~んとしたフォークっぽい方向に振って。「セカンドシーズン」では、シリーズの最初を羽川さんが担当するということで、全体のOPになるよう明るい高揚感のある感じにしました。そんな風にいろんなアプローチでそれぞれのキャラクターを描いているので、聴き比べると面白いと思います。

――開催が迫るMONACAフェスについて伺います。そもそものきっかけは?

岡部:エイベックス・ピクチャーズさんから「やりませんか?」というご提案をいただいたのがきっかけです。ただ、僕たちはライブ経験がほぼないので、全然イメージできないし、そもそも「誰か来たくなるの?」と思って。

神前:そうそう!

岡部:だけど何事も経験としてやってみよう、音楽制作にも何かいい影響があるかもしれないと思って、「人が来ないかもしれないけど、やります」ってなりました。

――その話を聞いて、ようやく会場のセレクトに合点がいきました。というのも周囲で「もっと大きい規模でやって」という声が多くてですね…。

岡部&神前:いやいやいや!(笑)

神前:最初にMONACAの定例会で話が出た時は、みんな「大宮ソニックシティは無理だろう」という反応で。「50人くらいの箱でいいよ」って。

岡部:本当に完全に手探りで数のイメージができないので、チケットがきちんと発売されて、お客さんが集まりそうだとわかって本当に安心しています。いまだにMONACAだからではなく、「アイドルマスター」「アイカツ!」「Wake Up, Girls!」というアイドルコンテンツのおかげだと思ってますけど(笑)。

――個人的には武道館くらいの規模でやってほしいくらいです。ところで、インフォメーションには「アーティストによるライブ」とありますが、皆さんはご出演されるのでしょうか?

岡部:僕たちは演奏はしません! プロのミュージシャンの方々に演奏していただきます。とてもじゃないけど、僕たちの演奏は聴かせられないですよ(笑)。一応、全員ステージで喋る予定ではありますけどね。

――なるほど。それではMONACAフェスの見どころを教えてください。

岡部:やはり生演奏という点ですね。コンテンツのイベントならカラオケでもいいと思いますが、音楽を作っているMONACAとして開催させてもらうので、生演奏ならではのよさを感じてほしいです。

――確かに、どのユニットも生の楽器演奏を背負ってのパフォーマンスは珍しいですよね。

神前:あと、このアイドルコンテンツが3つ揃ってというのは普通ないですよね。それぞれのファンの方に「MONACAは他にもこんな曲を作っているんだ」と知ってもらえたら、うれしいです。

――最後の質問です。気が早いですが、次回はあるでしょうか?

岡部:今回やってみてどう感じるか次第でしょうか。もちろん、僕たちなりに楽しんでもらうために全力ですが、お客さんに楽しんでもらえて、初めて次につながると思うので。まずは今回のイベントに集中します!

開催発表直後からチケット争奪戦が繰り広げられるほどの注目を集めた「MONACAフェス」。その継続的な開催には、MONACAファンの姿勢も鍵になりそうです。幸運にもチケットをゲットできたファンは、まずは4月30日に彼らのサウンドを存分に楽しみましょう!【取材・文=はるのおと】

リンク:MONACA公式サイト
    MONACAフェス2016公式サイト

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