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30年以上の歴史をもつアニメ「マクロス」シリーズ、そして全世界累計3600万本を記録しているゲーム「モンスターハンター」シリーズ。日本を代表する2タイトルがついに「クロス」する! コラボレーションの裏側について、「マクロスΔ」の河森正治総監督と、「モンスターハンタークロス」を手がけた小嶋慎太郎プロデューサーに語ってもらいました。
――今回「マクロスΔ」と「モンスターハンタークロス」とのコラボレーションが実現したということですが、お互いのシリーズの印象はいかがでしたか?
小嶋:僕は初代「超時空要塞マクロス」から観ていて、「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」で完全にもっていかれてしまいました。おかげで巨大なメカが好きになってしまい、家の玄関には巨大ロボット系のおもちゃがたくさん並んでいます。今回コラボレーションしていただいて本当にうれしいです。
河森:こちらとしても、すごくありがたいコラボレーションでした。「モンスターハンター」狩りをするだけでなく、いろいろなことをして暮らせるようになっていて、まるでひとつの世界のようですね。新しい世界を(プレイヤーの)主観で体感できるという点において、ゲームはアニメーションよりも多層的になったなと。アニメーションでは設定をつくっても、そのすべてを視聴者に伝えることはできないから、ゲームがうらやましいなと思う時があります。アニメは全部を伝えられない分、ドラマの盛り上げで、視聴者の感情の動きを結びつけるところにウェイトを置かなくてはいけないなと思っています。
小嶋:「マクロスΔ」は新しい要素がたくさん出てくる中で、リガードであったり、(ジーナス一族の)ミラージュであったり、「マクロス」シリーズのファンだったらおなじみの要素が出てきて、僕自身もワクワクしています。打ち合わせの時に設定を拝見しただけで、「うお! テンションあがるわ!」と興奮してしましました。
河森:「マクロス」シリーズでは、新作をつくるたびに過去の作品とは絶対に違うことをしたいと思ってしまうので、何度新作に挑んでも、毎回、物量の壁にぶつかってしまうんですよね。
――「モンスターハンター」シリーズも数を重ねて、毎回新しいことに挑戦されていらっしゃいますね。
小嶋:「モンスターハンター」シリーズの場合はディレクターが2人いて、それぞれが交互に新作を手がけているので、そこが良い刺激になっているというのがありますよね。それぞれ個性の違うディレクターがつくるというのも、それがうちの財産になっているのだと思いますね。
――アニメの現場とゲームの開発現場との違いをどんなところに感じていますか。
小嶋:アニメは、ゲームと違って「尺(放送時間)」が決まっているので、削ぎ落とす難しさがありますよね。
河森:逆に、ゲームは膨大なデータをつくらなくちゃいけない大変さがあると思います。
小嶋:そうですね。アニメは(フィルムの長さを編集などで)調整して落とし込むじゃないですか。ゲームも最後に調整してバランスを整えていく必要があって、その時間が大切だなと思いますね。
河森:そうですね。でも、これだけ技術が向上してくると、いずれAI(人工知能)がそういう部分の作業をする…という時代が来るかもしれませんね(笑)。
小嶋:「モンスターハンター」シリーズで言うと、アイルー(プレイヤーとともに狩りへ向かうマスコットキャラ)はAIで動いていますよ。昔に比べるとAIも進化してますが、でも今だ完璧にハンターをサポートできない事もあり……。見た目がネコなので愛嬌で許されて、愛されるキャラクターになった気はします。
――そんなアイルーのオトモ武具を、河森さんが「ニャルキリーシリーズ」としてコラボレーションデザインされていますね。
小嶋:そうなんですよ。「マクロスΔ」のキャラクター原案を実田がつくっている裏で、河森さんに「ニャルキリーシリーズ」のデザインをお願いしていたんです。恐れ多いことに、締め切りが迫る河森さんを急かすということをしてしまいました。
河森:そのおかげで「マクロスΔ」に登場するバルキリー(VF-31 ジークフリード)のデザインが早くできあがりました。まず「ニャルキリーシリーズ」をデザインして、そのうえで「マクロスΔ」のVF-31 ジークフリードのデザインをフィニッシュしたんです(笑)。
小嶋:このコラボレーションは「マクロスΔ」の発表が落ち着くまでは社内のトップシークレットで、スタッフの中でも関係者数人しかしらない企画でした。だから、このコラボレーションが発表された時は、社内でも「うおおお!」と驚いているスタッフがいましたよ。
河森:今回カプコンさんとコラボレーションを進めていて、「情報の機密性」というテーマはおもしろいなと思ったんです。そのあたりは実は「マクロスΔ」の物語の中でも描こうと思っています。現実の出来事のまわりにいろいろな情報があって、その情報が錯綜している。公式で発表されていることと、裏で動いていることが違う。そういう現実社会で起きることをモチーフにしたいなと。
小嶋:おお、それは楽しみにしています。ぜひ、またコラボレーションできると良いですね。
河森:あ、いま良いアイデア思い付いちゃった。こらならコラボレーションできるんじゃないかという方法を思いつきましたよ。
小嶋:えっ? じゃあ別途ミーティングをしましょう。
河森:ぜひぜひ、今後ともよろしくお願いします!