10周年で橋本祥平が再び演じる、渾身の斎藤一！　「ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇」ゲネプロ＆記者会見レポート

4月22日(金)、東京・品川プリンスホテル ステラボールにて、「ミュージカル『薄桜鬼 真改』斎藤一 篇」が開幕し、それに先駆けて同日、公開ゲネプロと記者会見が行なわれました。ミュージカル『薄桜鬼』（通称：薄ミュ）は、幕末の新撰組の隊士たちをさまざまな視点で描いた人気ゲーム「薄桜鬼」を原作としたミュージカルです。2012年４月にサンシャイン劇場（東京）で始まったミュージカル「薄桜鬼」シリーズは2022年で10周年を迎えます。2021年には「薄桜鬼 真改」を原作とした新生「薄ミュ」として、「真改」シリーズの第1作目「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」が上演され、「真改」シリーズ2作目となるのが今作「斎藤一 篇」です。

物語の舞台は幕末、文久三年。時の将軍家茂が攘夷を天皇に約束し、時代が荒れ狂う最中のこと。元治元年の池田屋事件や禁門の変をはじめとする、新撰組が絡む歴史的な出来事の激流の日々が描かれます。

本作の主人公である斎藤一を演じる橋本祥平さんは2016年に行なわれた「ミュージカル『薄桜鬼』HAKU-MYU LIVE 2」以来、6年ぶりの参加。「薄ミュ」特有の、全編通して繰り広げられる激しい殺陣の数々、そして、緊張感溢れる物語の中でしなやかに存在し、力強くカンパニーを牽引する姿は、己の信念を貫く斎藤一の生き様にも重なるよう。そして今回新しく雪村千鶴を演じる牧浦乙葵さんは、舞台経験こそ出演２回目と少ないものの、透き通る歌声と歌唱力、斎藤一と向き合うひたむきな姿や迷いのない感情表現に心揺さぶられます。

出演者は、橋本さん、牧浦さんのほかに土方歳三役・久保田秀敏さん、沖田総司役・北村健人さん、藤堂平助役・樋口裕太さん、原田左之助役・川上将大さん、永倉新八役・小池亮介さん、山南敬助役・輝馬さん、山崎烝役・椎名鯛造さん、近藤勇役・井俣太良さんが幕末の動乱の時代を生きた新選組を演じます。そして、新撰組と敵対する鬼陣営を、天霧九寿役・横山真史さん、不知火匡役・末野卓磨さん、雪村綱道役・川本裕之さん、風間千景役・鈴木勝吾さんが演じ、彼らの圧倒的な力を前に新撰組はどう立ち向かっていくのか……？

原作ファンには堪らないシーンやセリフもさることながら、舞台美術や照明など舞台ならではの演出で描かれる「薄ミュ」の世界。変わりゆく時代に奔放されながらも、刀を手に命のやりとりをする新撰組隊士たちの生き様を、ぜひその目で確かめてください。

上演時間は途中休憩を含めて約３時間。４月27日（水）まで東京で上演し、５月１日（日）～５月５日（木・祝）にかけて、京都劇場にて上演されます。また、東京千秋楽となる27日（水）と大千秋楽の5日（木・祝）にはライブ配信も決定！　アーカイブ配信期間中は何度でも公演を楽しむことができるうえ、ライブ配信にはキャスト集合コメント映像の特典も。ぜひこちらもチェックを！

【記者会見コメント】
■斎藤一役　橋本祥平さん
10年という節目の公演に斎藤一としてもう一度舞台に立てることを本当に嬉しく思います。いざ戻ってみて、歌いながら戦うことの大変さを改めて思いました。10年続けているのは本当にすごいことですし、これまで繋げてきてくださった歴代のキャストの皆さん、スタッフの皆さんには心からリスペクトしています。10年前、「斎藤一 篇」を見て役者を志そうと決めた大切な作品で、10周年という節目に斎藤一役をやらせていただけるという素敵なご縁に感謝しています。「斎藤一 篇」と銘打ってはおりますが、それぞれの姿がかっこよくて、全員で人を殺めにいく作品。決して軽いものではないということは重々承知のうえで刀を扱っていますので、本物の武士として立っている姿をぜひ見てほしいなと思います。そして、外の桜は散ってしまいましたが、この舞台でたくさんの桜が咲きますので、その美しい姿も見ていただけたら嬉しいなと思います。

■雪村千鶴役　牧浦乙葵さん
「薄桜鬼」は小学生のときからがすごく好きだったので、初演から10年経ったこの大きな節目の舞台にまさか自分が立たせていただけるなんて思ってもいませんでした。稽古前は緊張していましたが皆さんが本当に優しくて、いろんな人から「『薄ミュ』は幸せカンパニーだよ」と聞いていたのですが、その通りでした。本当に好きだったものに出られるのも何か運命なのかなと思っています。今まで10人の千鶴ちゃんが繋いできてくれた思いにも責任をもって、臨んでいきたいと思います。

■土方歳三役　久保田秀敏さん
千鶴役の(牧浦) 乙葵ちゃんのお母さんの推しが土方だと聞いたときには心の中でガッツポーズをしました（笑）。新しいメンバーもいますが、前回同様カンパニーのみんながめざしているところはまったく変わりません。しかも10周年ということで稽古場では最初からみんながギラついていた気がします。現代を生きる僕らも、己の信念を曲げずに誠の心をもって、必ずこの作品をいいものにしようという思いで取り組んでいます。例え会話がなくても一致団結できる絆が素敵だなと思いますし、これこそ新撰組、「薄桜鬼」だなと、すごく熱いものがあるなと感じています。10周年の「HAKU MYU LIVE」にもぜひ期待していただきつつ、舞台を楽しんでいただけたら嬉しいです。

■沖田総司役　北村健人さん
僕自身の俳優人生もちょうど10年。同じ時期に「薄ミュ」が始まって、３、４年目にこの作品を観劇したときに、役者として以前にひとりの男としてなんてかっこいいんだろう、この作品に出たいと思っていました。10周年という記念すべき公演に沖田総司役として出演できることを嬉しく思うとともに、そのぶん強い気持ちをもって臨みたいと思っています。この作品はキャラクターの生き様と役者がシンクロする瞬間がいくつもあって、ひとりひとりの役柄が愛おしく感じます。（演出の）西田さんが旗を振るほうへ全員が同じ方向を向いて作品をよくしようと思える現場で、ここまで気持ちが一致団結した現場はなかなかないですし、このカンパニーの一員になれて嬉しいです。ワクワクする演出の数々もぜひ見てほしいと思います。

■近藤勇役　井俣太良さん
僕は2013年の「沖田総司 篇」からの参加ですが、自分がこれほど長くこの作品に携わらせていただけるとは思っていなくて感極まっていますし、幸運だなと思います。10年間も同じ役を演じられることはほぼないと思うので、10年蓄積してきた役の深みを出せると思っています。幕末という激動の時代に、揺るぎない信念や譲れないものが描かれるこの作品は、変化が求められるこの世の中だからこそ、改めて見ていただきたいです。そして、新撰組の生き様はもちろん、原作は恋愛ゲームですから、2人の恋愛模様もしっかり見ていただけたらと思います。

■風間千景役　鈴木勝吾さん
10年の月日で、体のあちこちが痛くなって年齢を感じます（笑）。あとは「時代」を感じます。10年前、「薄ミュ」が始まった当時はまさに新撰組のような気持ちで、まだ世の中に受け入れられていない2.5次元の舞台に臨んでいました。それが10年の時を経て、いろんなバトンが繋がって、それは最前線で戦っている俳優たちが繋いだものでもあると思います。果たして僕らは時代に選ばれ続けるのか裏切られるのか、次の世代は誰が担うのか、俳優として考えさせられる作品になっているなと思います。舞台の見どころはすべてですが、一番は橋本祥平が斎藤一として走り切る姿。祥平の思い入れは周囲には窺い知れないくらい熱いものだと思います。それを全員でサポートをしつつ、刃を削って、最後まで走り抜けたいと思います。

【取材・文：細川洋平】