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近未来の日本を舞台に、大和・武凰・聖夷の三つの国が覇権を争う三国時代を描く漫画『日本三國』。独特な設定とリアリティある描写で好評を博す同作が舞台化を果たし、7月25日(金)より、東京・シアターHにて上演されます。WebNewtypeでは公演に先駆け、主人公・三角青輝を演じる橋本祥平さんにインタビュー! バディを組む阿佐馬芳経役の赤澤 燈さんとのエピソードや、本作にかける想いを伺いました。
——松木いっか先生が描く原作漫画『日本三國』の第一印象は?
橋本 もともと「三国志」をテーマにした作品が大好きでいろいろと読んでいるんですけど、今作は文明が崩壊した近未来の日本が舞台の近未来戦国史、架空戦記ものという作りがまず印象的で。登場人物の名前や出てくる地名にもなじみがありますし、冒頭から作品の世界に引き込まれました。『日本三國』のような、ある種“尖った作品”が舞台化され、さらに自分が参加させていただけるのはうれしい限りだなと思います。
——橋本さんが演じられる主人公・三角青輝は、知識を武器に弁舌で戦い、のちに「奇才軍師」と呼ばれるようになる人物です。
橋本 言葉で相手を殴るようなスタイルは、青輝というキャラクターのおもしろみであり、演じていてもそこがすんなりハマると気持ちいい部分だなと思います。僕自身は、思考を言語化するのが苦手で……(笑)。「やっちゃえ精神」というか 、「どうだ、伝われ!」という想いで表現していく、どちらかと言えばパッションでここまでやってきたなという感じなんですよね。
——ある意味、ご自身とは正反対の役どころ?
橋本 そうかもしれません。青輝は僕にないものをいっぱい持っていて、ああいう人になりかったなと憧れる部分もあります。役者としても青輝のような知的な役どころって経験してこなかった、これまで自分の引き出しになかったので、すごくありがたい出会いだなと思っています。
——青輝とは対照的に武力で道を切り拓く阿佐馬芳経は、赤澤 燈さんが演じられます。
橋本 いまの青輝にとって「ツネちゃんさん」の存在は大きいと思うのですが、そんな阿佐馬芳経役を燈くんが演じるということで僕自身も心強い限りです。稽古が始まる前も「一緒に頑張ろうね」と言ってくださって、その言葉も本当にうれしかったです。これまでにも何度か共演させていただいたことがあるんですけど、舞台『日本三國』を通じて、改めて優しさの塊みたいな人だなあと感じていて。すごく共感できるし、待ち時間もずーっとしゃべっちゃうんですよね(笑)。そんな人と一緒にお芝居を深めていけるのがうれしいですし、お互いにこれからもっと体に方言や役が馴染んでいって、まぎれもなくツネちゃんさんが隣にいる感覚になるんだろうなと確信しています。
——作中では個性的な面々がぶつかり合いますが、とくに注目の登場人物は?
橋本 アクの強さで言うと、やっぱり宮下雄也さん演じる平 殿器ですね。宮下さんのお芝居を見ていただいたら伝わると思うんですけど、とにかく原作へのリスペクトがすごいんです。まごうことなき平 殿器です。ご期待ください。青輝役としては、 軍師である賀来泰明を演じる平野 良さんが、どんなアプローチをされるのか楽しみにしています。このあとの稽古でいよいよ初対峙するので、いろいろ勉強させていただきたいなと思っています。
——脚本・演出を手がける西田大輔さんは、舞台化以前からの原作ファンだと伺っています。
橋本 脚本を読んだときに、構成ひとつとっても作品に愛があるな、西田さんらしいなと感じました。青輝が小紀(演:田野優花)のことを、いかに大切に思っているかが伝わってくる脚本なんですよね。舞台で初めて『日本三國』の世界にふれる方も、このふたりってどういう関係なんだろう、何があったんだろうと、冒頭から物語にぐいぐいと引き込まれていくと思います。
——稽古現場では、西田さんとはどんなお話を?
橋本 これまで西田さんとご一緒した作品ではアクションをやらせていただくことが多かったのですが、殺陣がないのは恐らく今回が初めてで。西田さんから「殺陣やりたかった?」と聞かれた時に、本当に自然と「いえ、やりたくないです」って答えていたんです。いままでだったら体を動かしたかったと思うんですけど、すでに青輝モードに入っていたというか、その思考に至るんだなと自分でも発見がありました。やっぱりアクションはカッコよくて映えますし、印象にも残ると思うんですけど、あえて言葉一本勝負で挑む怖さと楽しさを味わいたいなと。結構危うい綱渡りをしている感覚もあるんですが、自分を試したい気持ちもあって……。せっかく三角青輝という素敵な役をいただいたので、ストレートに言葉で勝負したいなと思っています。
——演じるうえで楽しみにされていること、ファンの方に期待していてほしいシーンは?
橋本 自らハードルを上げちゃうなと思うんですけど、やっぱり青輝が弁論するときの長台詞ですね。正直、青輝の台詞を覚える作業は苦しいです。でもいざやり始めると、だんだんゾーンに入ったような感覚になって、そこからが楽しくなるんですよ。なので毎日繰り返し台本と戦って、演じる時は1.5倍速の気持ちでブワーッと一気に(笑)。目標としているところでは、シェイクスピアの戯曲の言葉は難しいけれど「何か」が伝わる、あそこまで持っていけるように頑張りたいなと思っています。あとは全編通して、小紀とのシーンを大切に届けていきたいです。張り詰めた展開が続くなか、ふたりの時間は青輝にとって唯一の日常、しあわせな時なので。
——最後に、公演を楽しみにしている皆様にメッセージをお願いします。
橋本 『日本三國』の舞台化が発表された際、僕も皆様の反応を見させていただいて、「舞台に向いている」というお声が多かったことに勇気づけられました。演劇でしかできない表現があると僕らも思っていますし、その力を信じて、稽古に励んでいる最中です。さらには『日本三國』という作品にとって初のメディアミックスでもあり、その責任をカンパニーみんなでしっかりと背負って、めちゃくちゃ面白い作品をお届けしたいと思います。ご期待ください!
舞台『日本三國』
■公演日程
2025年7月25日(金)~8月3日(日)
東京:シアターH
■STAFF
原作=松木いっか『日本三國』(小学館「マンガワン」連載)
脚本・演出=西田大輔
■CAST
三角青輝=橋本祥平 阿佐馬芳経=赤澤 燈
賀来泰明=平野 良 菅生 強=山本一慶 長嶺士遼=宇野結也 平 殿継(Wキャスト)=松原 大、田中暖真 東町小紀=田野優花
輪島桜虎=佐藤日向
閉伊弥々吉=吉満寛人 長尾武兎惇=安藤夢叶 九羅亜輝威=青柳塁斗
龍門光英=松田賢二
平 殿器=宮下雄也
書川勇輝 本間健大 田上健太 白崎誠也 田中 廉 若林佑太 宮﨑聡美 宮原理子
公式HP https://www.marv.jp/special/nsangoku-stage/
公式X @nsangoku_stage 推奨タグ #舞台日本三國
©松木いっか/小学館 ©舞台『日本三國』製作委員会
写真 武田真和
取材・文 藤谷燈子