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井上和彦・三ツ矢雄二・水島裕…大御所声優による期間限定ユニット・FULL Kabs、初&ラストライブに向け意欲語る!

井上和彦・三ツ矢雄二・水島裕という多くのアニメファンに知られる声優3人が組んだユニット・FULL Kabs。1月25日(水)にミニアルバム「FULL Kabs~伝説(レジェンド)には未だ早い!~」をリリース、そして2月25日(土)にはデビュー&解散コンサート開催という怒涛のスケジュールで活動中です。かつて声優界で“新御三家”と呼ばれた3人が、なぜこのタイミングで集ったのか——インタビューしてきました。

——FULL Kabsが結成された経緯は?

水島:3年ほど前に雄二の劇団で、3人だけで芝居をしたのがすごく楽しくって「また3人で何かしたいな」と思っていたんです。それで、徳永英明さんのカバーアルバムシリーズみたいなことを3人でしようと思いつき、僕がランティスの社長のところに企画書を持っていったのがきっかけです。

井上:でも、僕らはそんなことを知らされていなかった。僕が水島裕のライブにお邪魔したら「こういう企画が通りそうだから」っていきなり言われてびっくりしたし、しかもステージ上で言おうとしていたから「ちょっと待って、正式に決まってからにして」ってお願いしたもん(笑)。

水島:俺の中では、前に3人で居酒屋で喋った時の延長線上のことだったので、和彦も雄二もOKだと思ってたのよ。だから雄二にも「こんなことやるよ」じゃなく「決まったよ」って電話したんだよね。

三ツ矢:僕にとっても青天の霹靂でしたから、その時は「何が?」って返すしかなかった(笑)。

——FULL Kabsというユニット名の由来は?

三ツ矢:戸田恵子が付けてくれたんですよ。最初は“レジェンド3”という名前だったんですけど、自分たちで「レジェンドです」って言うのはおこがましい…みたいな話を彼女としていて。そしたら、ちょうどこの企画の会議中に戸田恵子から「FULL Kabsでどう?」って連絡が来て、その場でユニット名とアルバム名になりました。

水島:そういや戸田恵子にはアルバム渡したの?

井上:俺、今日会ったのに渡してないや(笑)。

三ツ矢:今度会うからその時にでも。

水島:命名者だからね、それがギャラ代わりで勘弁してもらおう(笑)。

——ちなみに、今まで3人で何かされたことは?

井上:3人で何かをしたのは、お芝居とイベントくらいだね。裕とは若い頃に神谷明さんたちと一緒に海水浴に行ったけど、雄二と遊んだ記憶はないし。

三ツ矢:そうね。あと同時期に若手だったから、3人でいろんな役を持ち回りでやっていて、揃って共演することもなかった。

水島:アルバムに「キャンディ・キャンディ」主題歌のカバーが入っているけど、それは3人がレギュラーとして出演した数少ない作品の曲だからなんです。他は「プリンプリン物語」くらいしかなくて。

井上:アイ、マイ、ミイ王子ね(笑)。

水島:「プリンプリン物語」も素敵なんだけど、まずは「キャンディ・キャンディ」だろうと思ってカバーしました。

——そのアルバムについて伺います。3人の出演作の主題歌のカバーが中心ですが、台詞が入っているのがアニメファンにとってはたまりません。

水島:そこが僕らがやる意味ですから。セリフは僕らの武器ですし。

井上:昔からのファンの人から、SNSで「声は変わってない」って書き込みがあって。

三ツ矢:声“は”(笑)。

水島:見た目に比べて声はわりと老けないんですよね。声ってどこか生命力につながっているんでしょうね。

井上:俺らはまだまだしぶといからね。

——「ラブライブ!」2期オープニングの「それは僕達の奇跡」という選曲は意外でした。

井上:それはまぁ、ランティスですから。

一同:(笑)

三ツ矢:1曲は新しいのも入れようと思って。

井上:他にも候補はあったけど、紅白歌合戦で彼女たちを観て感動したし、「最後まで駆け抜けるよ!」という歌詞もいいからね。僕たちも死ぬまで駆け抜けますよ!

三ツ矢:這ってでもね(笑)。

水島:這ったら駆け抜けられない(笑)。3人が尊敬する富山敬さんが歌っていた「アニメーション・ドリーム」もカバーさせてもらったね。

三ツ矢:原曲は2コーラスしかないけど、今回3人で歌うために作詞家の藤さんが新たに書き下ろしてくれて。ありがたいことですよ。

水島:そして、最後は僕のわがままで入れてもらった歌舞伎の口上「うゐろう売り」のラップ・バージョン。10年くらい前に舞台で使うために友人のBANANA ICEさんというラッパーに作ってもらった曲を今回、形にさせてもらいました。

井上:「うゐろう売り」自体、役者を目指す人は必ず通る道だよね。

三ツ矢:まだそらで言えますよ。若い頃に覚えたことは覚えているけど、最近のことは忘れる(笑)。

——2月25日(土)のコンサートについて伺います。ずばり、どんな内容になりますか?

井上:昼にデビューして、夜に解散します!!

水島:とても短命なグループです!!!

井上:内容はこれから決めていく段階だから、詳しくは何も言えないけど…。

三ツ矢:僕らは声優なので、ただ歌うだけじゃなく朗読かミニドラマのようなことはしようとは思っています。

井上:みんなに喜んでもらえればいいけどね。昔から応援してくれる人はもちろん、最近のアニメファンも「こんな人たちがいたんだ」「先輩だと思っていたけど面白いな」と感じてほしい。3人足して185歳ですけどね。

水島:僕が61歳で最年少です!!

——2月25日(土)で解散とのことですが…再結成はないのでしょうか?

井上:元気だったらその可能性もありますけど、歳だから先のことはわからないですよ。若い人たちみたいに気軽に「また来年!」とか言えませんから。

三ツ矢:来年、僕らがいるかもわからないし(笑)。

井上:富山敬さんが亡くなったのが56歳。僕らもその歳から先はラッキーだと思って、1日1日を過ごしていますよ。

水島:ホントにそうだよね。

——最後に3人から、アニメファン、声優を目指している人、若い声優さんにメッセージをお願いします。

井上:自分からはアニメファンの人に。若い勢いのある声優さんがいる中で僕たちはしぶとく頑張っています。今回こういうユニットを作って活動していますので、みんなからすると年配の声優でしょうけど、うちらがどれだけのパワーを持っているか見に来てほしいし、応援していただけると嬉しいです。

三ツ矢:じゃあ僕からは声優を目指している人に。自分も井上和彦も水島裕も、僕たち世代で頑張っている人はみんな声優専門学校を経て現場にいるわけじゃなく、現場で演技を学んできたんですね。でも、今はそういう学校があるから技術は上手だけど、個性に乏しい気がする。だから、自分の声の個性を活かすにはどういう芝居をするべきか考えてほしいし、演技とは何か、演じるとは何かを真剣に考えた方が、自分のポジションができて、長続きするんじゃないかなと思います。

水島:では、最後に残った若い声優さんに。

井上:一番難しいやつだ。

水島:今度「プリキュア」の新しいシリーズ(※「キラキラ プリキュアアラモード」)が始まるんです。僕も長老役で参加しているんですけど、主役のオーディションをやっている中でスタッフから「みんな(表現が)似ているんですよね」という声を聞きまして。もしかしたら、最近は似たような表現方法が多いのかな。前に、和彦が何かのインタビューで“演技する際に大切にしていること”を聞かれて「シーンの空気感を大事にしている」って答えてて、なるほどなって。

井上:覚えてる覚えてる。

水島:文字を声にするのではなく、シーンの空気感とか文字に書いてある「想い」を声にするというかね。そういう演技ができるように、いっぱい夢想する人でいてほしいなと思いますね。【取材・文=はるのおと】

■ミニアルバム「FULL Kabs~伝説(レジェンド)には未だ早い!~」
収録曲: 1. キャンディ・キャンディ
     2. 誰がために
     3. 宇宙の王者!ゴッドマーズ
     4. タッチ
     5. それは僕たちの奇跡
     6. アニメーション・ドリーム
     7. うゐろう売り
価格 :税別2500円

■FULL Kabsデビュー&解散コンサート
日時:2月25日(土) 昼公演:FULL KabsデビューコンサートOPEN 14:00/START 14:30
夜公演:FULL Kabs解散コンサートOPEN 17:30/START 18:00
会場:科学技術館 サイエンスホール
料金:全席指定5400円
リンク:FULL Kabs公式サイト
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