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まもなく最終話! TVアニメ「怪病医ラムネ」監督・大庭秀昭インタビュー&キャストメッセージ

まもなく最終話! TVアニメ「怪病医ラムネ」監督・大庭秀昭インタビュー&キャストメッセージ
まもなく最終話! TVアニメ「怪病医ラムネ」監督・大庭秀昭インタビュー&キャストメッセージ(C)阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

第10話ではついにラムネとクロの出会いが描かれ、最終回に向けて物語はますます盛り上がりを見せるTVアニメ「怪病医ラムネ」。修行と称してクロを監禁する謎の教団に、ラムネはどうやって挑むのか……? 気になる今後の展開をはじめ、アニメ化にあたっての制作裏話などを大庭秀昭監督に語っていただきました。

——第11、12話の展開についてうかがう前に、まずは改めて制作当時のお話をお聞かせいただければと思います。最初に原作を読まれた際、作品のどんなところに惹かれましたか?
大庭 シンプルな線で描かれた、ちょっとノスタルジックな、懐かしさを感じるような絵が印象的でした。一方で扱っている題材はどちらかというとシビアなものが多いですし、ホラー描写もしっかりあって、そのギャップがおもしろいと思いました。怪病の描写にしても、キテレツというか、突拍子もないような症状として現れていて(笑)。食べもの絡みであったり、体のどこかの部位に異変が生じるのでビジュアル的にもわかりやすく、アニメ化した際に視聴者の方に伝えやすいなと思いました。そして何より魅力的に感じたのは、やはりキャラクターたちです。最初はなじみのない怪病というものに目がいきがちだったのですが、読み進めるうちに、天邪鬼なラムネを筆頭に個性豊かなキャラクターたちに惹かれました。アニメでは原作のエピソードの順番を入れ替えるなどしながら、より早い段階で「怪具屋 あかつき」の彩芽や丹己を登場させるほか、ラムネとクロの関係性を掘り下げていくことを意識しています。

——アニメ化にあたり、原作者・阿呆トロ先生のこだわりを感じられた点などありますか?
大庭 とくにラムネの過去について、かなりこだわりをもって描かれていらっしゃるなと感じました。実はアニメの第9~12話の脚本は、阿呆トロ先生が描いてくださったネームがもとになっています。当時はまだ原作の話数が少なかったため、後半の4、5本をアニメオリジナルのエピソードとして制作したいとご提案したんです。ラムネとクロの出会い、関係性を掘り下げるエピソードをつくりたいと。でも連載を再開するときにそれを描く予定です、とのお返事をいただき、さらに我々の想像を上回る量のネームを描き上げてくださって、並々ならぬ熱意を感じました。紅葉の設定も、ラムネの師匠を登場させたいと要望をお伝えしたら、すぐにカラーの資料を送ってくださって、ありがたかったですね。原作にはまだ登場していなかっただけで、最初から先生の構想のなかにいたキャラクターだったのだと思います。

——各話のゲストキャラクターを演じる豪華キャスト陣も話題ですが、キャスティングは監督のオーダーだったのでしょうか?
大庭 キャスティングサイドから挙げていただいた候補のなかから狙ってお願いしたこともあります。第4話に登場する大友隆晴役と、その親友である豊後達也役については、実際仲のいい印象のある方々にお願いしたくて、島﨑信長さん、松岡禎丞さんをあたっていただきました。

——ラムネ役・内田雄馬さん、クロ役・永塚拓馬さんからは、2人のディレクションが対照的だったというお話も聞かれました(『月刊ニュータイプ 3月号』)。監督としては、どんなねらいがあったのでしょうか?
大庭 バディものとして考えたときに、両者の対照的な部分を強調することで、視聴者がより楽しめるだろうなという思いでした。内田さん、永塚さんにもアフレコ当初から、個性を打ち出していってほしいとお願いしました。キャラクターをつかむという意味で、原作の単行本のカバー裏やおまけページなども参考にしてもらっています。とくにラムネとクロの違いが如実に表われている「喜怒哀楽」の表現は、大きなヒントになったんじゃないでしょうか。また今作ではアフレコ時にほぼ完成に近い状態のフィルムを用意できたので、そういった面でも声を当てるにあたってのいい材料になったんじゃないかと思います。あと、これは意図したわけではないんですが、感染症対策の一環として2人きりでの収録が多かったことも、結果的にいい影響をもたらしてくれたように感じています。同時にブースに入れる人数が制限されるため、ラムネとクロのペアで録ることが多く、内田さんと永塚さんだけで話す時間が結構長かったんじゃないかなと。そんな2人の空気感がフィルムにも反映されているんじゃないかと思います。

——第10話までを振り返られて、とくに印象的なシーンや演出は?
大庭 映像表現という意味では、第3話の猫蒲の穂とのかくれんぼをはじめ、うまく描けたなと思うシーンが各エピソードにあります。なかでも第1話で、鬼頭明里さん演じる琴が気を失って倒れた際、母親がヒステリックに叫ぶシーンは母親役の小松由佳さんの演技も相まって、印象的に仕上がっていると思います。演出面では、前半の話数では各話の終わりに「引き」として、次回のエピソードをチラ見せする手法が効果を発揮していたかなと感じています。またラムネとクロの関係性を印象づける伏線もあり、EDでは2人に焦点を絞った画面づくりを狙いました。いろんなキャラクターが登場し、これからの展開を予感させるOPとの対比にもなっていて、最終話までご覧いただくと、見え方が変わるかもしれません。

——織田哲郎氏による劇伴も印象的ですが、監督からはどんなオーダーをされましたか?
大庭 最初にメインテーマをお願いする際、「聞き終わったあとも頭のなかでリフレインするような、シンプルだけど記憶に残るメロディをつくってもらえたらうれしいです」とお伝えしました。織田哲郎さんは日本が誇るメロディメーカーで、「記憶に残る音楽」をつくってもらえたら、それはもう絶対いいものができるはずだと確信していたので。そのほかの曲に関しても、基本的に監督の僕からは「シーンを印象づけられるような曲がほしいです」とか「いろんな要素やジャンルを入れてください」といった、ざっくりとしたオーダーの仕方でした。きっと織田さんがもつ引き出しには多彩な音楽が詰まっているだろうなという期待がありましたし、実際に想像以上の音楽を届けていただきました。

——シリーズ構成・脚本を手掛けられた久尾 歩氏とは、どのようなやりとりがあったのでしょうか?
大庭 久尾さんとは最初の段階から、原作の単行本のカバー裏からおまけページに至るまで、すべて脚本に取り入れることで作品の世界観がより膨らむんじゃないかという話で一致していました。各話のどこかに紅葉を登場させるというアイデアも、初期の頃から出ていましたね。最終話は原作の要素を使いつつアニメオリジナルのエピソードを描くことになったので、構成にはかなり時間がかかりました。途中で暗礁に乗り上げたりもして(笑)、着地点が定まるまでは大変だったと思います。最終話の展開に関しては、コロナ禍の影響もゼロではないというか、いまこの状況のなかでもラムネたちとともに視聴者の方を未来に送り出せたら……といったことを考えながら話をつくったり、絵コンテを描いていました。たぶん久尾さんも、そういう意識は何となくあったんじゃないかなと思います。

——物語もいよいよ佳境ですが、最終話に向けて見どころを教えてください。
大庭 やはりラムネとクロの関係性の変化が見どころです。第10、11話で2人の出会いと、いまに至る関係性が描かれました。そして最終話となる第12話では、少しだけ2人の関係性が変化し、それぞれの成長が待っていることを予感させるものになっていると思います。エンタメ作品の理想は、入口と出口で少しステージが変わっていることだと思っていて、T Vアニメ「怪病医ラムネ」でもそういったステージの違いが少しですけど描くことができたと感じています。ラムネとクロにどんな未来が待っているのかと予想する楽しみ方もできると思いますので、ぜひ期待してください。

ラムネ役・内田雄馬

ラムネ
ラムネ(C)阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

――これまでのお話を振り返って、印象に残っていることを教えてください。
内田 喜怒哀楽、表情豊かなラムネを演じるのはとても楽しかったです。第5、6話の「餃子の耳」はとても心が痛くなりました。いろんな痛みを中和し、新たな道へ導いてあげるのも医者の役目なのかなと、そんなことを思うお話でした。

――最終話に向けての見どころや、ファンの方へメッセージをお願いします。
内田 気になるクロの過去編も後編。過去を経てどのように絆ができあがったのか、ぜひ最後まで皆さんに見届けていただきたいです。よろしくお願いします!

ラムネ
ラムネ(C)阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会


クロ役・永塚拓馬

クロ
クロ(C)阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

――これまでのお話を振り返って、印象に残っていることを教えてください。
永塚 直近ですが、やはりクロの過去をクローズアップした第10話は印象に残っています。今まで治療する側だったクロが、患者として登場するのは衝撃的でした。振り返れば、今作は琴ちゃん、理央くん、青菜と、家族に関係するストーリーが多い作品でした。そして、第10、11話は、いよいよ、クロの家族にも関わるお話になっていきます。とても個性的な兄妹達に囲まれ、そのなかでも一際際立った個性をもってしまったクロ。クロもクロの家族も、どのようにして〝怪〟と向き合っていくのか見届けていただきたいです。

――最終話に向けての見どころや、ファンの方へメッセージをお願いします。
永塚 「怪病医ラムネ」をご覧いただきありがとうございます。第10話は、今までラムネに対してツッコミを入れてばかりいるクロが、なぜあんなにも〝先生〟と慕っているのか、その一端が垣間見える回でもありました。これから最終話に向けて、さらに2人の絆が深まっていく姿が見られるのではないかと思います。辛く困難な怪病も多いですが、きっと2人なら乗り越えられるはず。最後まで応援よろしくお願いいたします!

彩芽役・植田佳奈

彩芽
彩芽(C)阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

――ご自身の役柄について、教えてください。
植田 前世の記憶があると考えたときに、100歳を超えた感覚と子供の感覚だと、きっと前者の方が強く反映されると思いお芝居のプランを組み立てました。なので、声のトーンは子供で高くても、言葉遣いやクセで年長感を出すようにしています。彩芽の魅力は、やはりそのアンバランスさでしょうか!

――ご自身のキャラクターの登場回を振り返って、印象に残っていることを教えてください。
植田 第9話の猫蒲の穂の回は印象に残っています。あのときは、わざと負けそうになるフリをして、勝利を確信していました。彩芽おばあちゃんにしてみれば、たいていの若者達は手のひらの上なのかもしれません。大好きなキャラクターである丹己との信頼関係がとてもよくわかるお話でもありましたね! 丹己役の岡本くんはデビューの頃から知っているので、彩芽の気分でいつも微笑ましく思います。

丹己役・岡本信彦

丹己
丹己(C)阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

――ご自身の役柄について、教えてください。
岡本 ラムネにとって常に理解者でいるようなイメージです。聖母のような感じかなと思っていました。ニコニコしているので、その表情にあった声からちょっとでも外れると、ディレクションが入ったイメージです。

――ご自身のキャラクターの登場回を振り返って、印象に残っていることを教えてください。
岡本 第3話の空き巣の男が登場する話が、1番ニコ兄が活躍した気がします。怪具・軽口急須があれば、誤審などが減る気はしますが、いっさいの建前がなくなるのでおそろしい怪具だと思います。

紅葉役・諏訪部順一

紅葉
紅葉(C)阿呆トロ・講談社/「怪病医ラムネ」製作委員会

――ご自身の役柄について、教えてください。
諏訪部 ラムネに対してドS対応な紅葉ですが、彼が言っていることはわりと真っ当というか、実はなかなかの人格者だったりして。しっかり師匠なんですよね。演じるうえではやはりそこを汲み取って、説得力のある存在として成立させるよう心がけました。

――ご自身のキャラクターの登場回を振り返って、印象に残っていることを教えてください。
諏訪部 ラムネに対し、自身の在り方を改めろと厳しく叱る紅葉でしたが、それは理不尽なものではなく、弟子に対する「情」が感じられたのがとてもよかったです。そして、いただくものはきっちりいただいていく(笑)。しかし、あまりに登場しないので、このまま出番ナシか⁉と焦りました。

【取材・文:藤谷燈子】



【「怪病医ラムネ」クライマックス直前PV】

【「怪病医ラムネ」ノンテロップOP】

【「怪病医ラムネ」ノンテロップED】


■TVアニメ「怪病医ラムネ」
毎週土曜日 深夜25:30~26:00 TOKYO MXほかにて放送中

STAFF:原作…阿呆トロ(講談社『シリウスKC』より刊行)/監督…大庭秀昭/シリーズ構成・脚本…久尾 歩/キャラクターデザイン…佐藤陽子/サブキャラクターデザイン…小林利充/音響監督…髙桑 一/音楽…織田哲郎/アニメーション制作…プラチナビジョン/製作…「怪病医ラムネ」製作委員会

CAST:ラムネ…内田雄馬/クロ…永塚拓馬/彩芽…植田佳奈/丹己…岡本信彦/紅葉…諏訪部順一

リンク:TVアニメ「怪病医ラムネ」公式サイト
    公式Twitter・@Dr_Ramune

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