キャスト

「蜘蛛ですが、なにか?」リレーインタビュー 「私」(愛称・蜘蛛子)役・悠木碧&シュン役・堀江瞬「地龍アラバ戦での蜘蛛子の“覚悟”に号泣してしまった」

TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より(C)馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会

前半のクライマックスを迎えたTVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」。リレー連載第15回は、「私」(愛称・蜘蛛子)役の悠木碧さんとシュン役の堀江瞬さんによる夢の対談が実現! 蜘蛛子サイドと人間サイドを盛り上げてきたおふたりに、物語前半を振り返っていただいたほか、いよいよ始まる新章の注目ポイントを語っていただきました。

――怒濤の前半クールが終了し、いよいよ後半クールに突入します。現在の率直な感想はいかがですか。
悠木 アラバ戦を終えて「蜘蛛子の旅はまだまだ続く!」と一段落した感じがあったので、収録が終わったときに板垣(伸)監督に伺ったんです。「本当に、2クールあるんですか?」って。そしたら「そうなんです、2クールです」と。
蜘蛛子はとにかく難しいキャラクターですし、特に前半はそう感じることが多かったので、私の戦いもまだまだ続くんだなと思いつつ(笑)、ようやく彼女のリズムになれてきたところだったので、2クールに渡って演じられるのはありがたいなと思いました。それに、第2クールからは人間サイドが頑張ってくれるので……。

TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より(C)馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会

堀江 悠木さんの負担が減りますよね。
悠木 ようやく人間サイドと半々ぐらいになります(笑)。

――堀江さんはいかがでしたか。
堀江 人間サイドからすると前半クールは“種”が蒔かれた壮大なアバン(タイトル)でした。一段落したというよりも、ここから種が芽を出していくような期待の膨らむ終わり方をしたので、この先どうなっていくのかとても楽しみです。不穏だけどワクワクする展開が続くので、ドキドキしながら後半クールを待っていてください。

TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より(C)馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会


――前半クールでは、蜘蛛子サイドと人間サイドの間にいろいろな“差”を感じるシーンが度々でてきましたが、この断片が後半クールで一つに繋がったときの感想はいかがでしたか。
悠木 蜘蛛子とシュンたちの間にはもちろん場所の違いもそうですし、ほかにもいろいろな“差”があることはなんとなく感じていたのですが、前半でちょっとずつ見えていた断片のひとつひとつがストーリーとしてもしっかり繋がっていたことがわかってびっくりしました。
堀江 それこそユリウス兄様のマフラーもそうですし、フェイもそうですよね。アイテム一つとっても、そういう繋がりがあったのかと。なんてニクい演出なんだって驚かされました。
悠木 その繋がりがはっきりとわかったことで、人間パートの見方が変わりました。最初は“魔法学園モノ”のような空気を楽しんでいたのですが、気づけば蜘蛛子パートとの繋がりや魔王の存在によって、かなりキナ臭い話になってきたぞと。私は人間パートを完全に視聴者目線で見ているので、今、とてもワクワクしています。
堀江 見方が変わるといえば、〈禁忌〉もびっくりしました。蜘蛛子が最初に手に入れた〈禁忌〉が実は重大なスキルで、それがきっかけでこの世界の仕組みを知ってしまう。取得したときがコミカルに描かれていたぶん、タネ明かしの衝撃が大きかったです。なんてうまい見せ方をするんだと感心しきりでした。

――前半クールのクライマックスとなる第12話では、蜘蛛子のライバルであるアラバとの決戦が描かれました。
悠木 これまでもバトルでかっこいいシーンは描かれましたが、シリアスなバトルというのはあまりなかったので、第12話にして蜘蛛子のまた新しい一面を演じられて楽しかったです。蜘蛛子がどれだけ一生懸命に生きてきたかがわかりましたし、それをちゃんと言葉として吐露するのがとにかくアツい! 彼女の信念や生き方に触れることができて、その強さの理由を改めて実感できました。

TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より(C)馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会


――悠木さんが考える蜘蛛子の強さとはなんでしょうか。
悠木 他のどんな生き物よりも、生きることに執着しているところです。自分の生を全うすることに特化しているのは、やっぱり強いなと思います。あのアラバですら結局、生きることを諦めてしまった。「こいつにだったら負けてもいいか」と武士のような精神でいさぎよく死を選んだんです。でも、蜘蛛子は最後までに生に執着した。その執着心こそが蜘蛛子の強さだと思いましたし、それが明暗を分けたんだなと思いました。

TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より(C)馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会


――蜘蛛子の泥臭さとアラバの諦めという対比もまたグッときました。
悠木 確かにアラバの最期もかっこいいんですが、生きようと足掻く蜘蛛子もちゃんとかっこいいんです。「かっこつけて諦めるな、生きろ」という強いメッセージを感じましたし、自分で話すのは恥ずかしいのですが、実はこのテスト収録のときに号泣してしまって……。
堀江 えええ!
悠木 テストのときって、感情の振れ幅を大きめに出してスタッフさんに確認していただくことが多いんです。メーターを振り切って演じた分、グッときてしまって、ありとあらゆる液が……(笑)。さすがに本番は泣きませんでしたが、このときの蜘蛛子の想いが皆さんの胸に少しでも届いていたら嬉しいです。
堀江 この取材の時点ではまだ第12話の映像が見られていないので、めちゃくちゃ楽しみになりました!
悠木 一人でボロボロになっていました。蜘蛛子も一人でボロボロになるし、アラバは死んじゃうし、収録は一人だし。そういう状況もあり、私も心が引き裂かれるような感覚になってしまって……。
堀江 シンクロしちゃうんですね。
悠木 そうなんです。とても印象深い収録でした。

――堀江さんからご覧になって、前半クールの蜘蛛子の奮闘はいかがでしたか。
堀江 ただただ感服するしかなかったです。蜘蛛子のお芝居の何がすごいって、“語り”の妙だと思うんです。コミカルな喋りの面白さと戦いにおける泥臭さのバランスもそうですし、ちょっとしたオタク口調もまた絶妙で。
悠木 ゲーム実況みたいなところがありますよね。
堀江 そうなんです。本当にオタクの人とか、そのニュアンスがちゃんとわかる人でないと、この口調は難しいだろうなと。
悠木 ありがとうございます。よかった、そのスキルが役立って(笑)。
堀江 悠木さんだからこそできる蜘蛛子だし、悠木さんにしか出せない語りの面白さだなと強く感じました。

――では、人間サイドの前半戦についてはいかがでしょうか。
堀江 人間はいろんな感情を持った生き物なので、それゆえに起こるドラマがてんこ盛りでした。生きるか死ぬか、デッド・オア・アライブの中で生きている蜘蛛子は、まず生き抜くことが最優先。でも、人間は考える生き物だから私利私欲や思惑が交錯するし、いろいろな争いが生まれるんです。両パートの差異が大きいので、一つの作品なのに二度おいしいと感じました。
シュンについては、背負わされる運命が重すぎるな、と。「お前は勇者として生きなければならないから、学園をやめて人族の希望となれ」とあまりに大きなものを背負わされるんです。それはやっぱり一人の視聴者として気の毒に感じました。

――第12話を経て、シュンの覚悟も決まったと見てよいでしょうか。
堀江 覚悟は決まったと思いますが、人族の希望になる覚悟ではなく、ユリウス兄様の仇を取る覚悟が決まったと言ったほうがいいかもしれません。最愛の兄を失ったことの悲しみと、命を奪った者への復讐心に突き動かされているような気がしています。ただ、ここからも一筋縄ではない展開が続き、いろいろな運命のいたずらが起こるので、その緊張感を楽しんでいただけたら嬉しいです。
悠木 今のホリエル(堀江)の話を聞いて、蜘蛛子はもう人間じゃないんだなって思いました。人であるがゆえに私利私欲や思惑が絡んで争いが起きるのであれば、それに巻き込まれていない蜘蛛子は元人間であるけれど、もう人間じゃないんだなって。だから、生きようとあがけるし、生きることだけに執着できる。
堀江 確かに……。
悠木 人だった自覚もあるし、人として思考もするのに、感覚はもう人間じゃないんです。人間サイドは社会的責任を負ったり、家族の絆を感じたりしながら生きているのに、蜘蛛子には全然ないですから。だって、シュンも前世には別の家族がいたはずなのに、この世界の家族をちゃんと家族として意識していますよね?
堀江 そうなんです。ユリウス兄様も、スーも、他の家族も。
悠木 どうしてこの世界の人たちを家族と思えるのかというざわざわする部分もありますが、転生しても人としての繋がりやしがらみからは抜け出せないんです。一方で、蜘蛛子は生き物として自分が生きるか死ぬかにこだわって生きている。この対比が面白いし、ぞっとするなと思いました。

――ここに来て登場人物もだいぶ増えましたが、印象に残っているキャラクターはいますか。
堀江 シュン目線で言うと、ユーゴーが敵になってしまって今後どうなっていくのかが一番気になります。一人の視聴者としてはユーリです。あの狂信的な感じが、オタクとしてけっこう好きで。普通の人とどこか違うキャラクターを好きになりがちなんですが、その“センサー”がこの作品ではユーリに反応しました(笑)。
悠木 ユーリはちょっとヤバい感じがするよね(笑)。何か起こしそう。
堀江 〈禁忌〉持ちは「殺さなきゃ」って笑顔で言っていましたからね。今後の動向にも注目したいです。

TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より(C)馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会

悠木 私は第10話の予告が大好きです! ロナントさんが急にしゃべり出して、蜘蛛子がサブタイトルに掛けて「いや、ホントにこのじじい、誰よ?」とツッコミを入れるのが面白くて。

――ロナントは強烈なキャラクターでしたね。
悠木 あの話数は人間から見た蜘蛛子と、蜘蛛子から見た人間の対比、温度差が面白くもあり、怖くもありました。たぶん、蜘蛛子はかなりライトな気持ちで〈鑑定〉を使ったと思うんです。でも、人間たちは大騒ぎ。これはもう、お互いに交われないんだろうなと。後半クールは蜘蛛子もエルロー大迷宮の外に出て、人間たちの前にも姿を現します。そこでどういう捉え方をされるのか。その第一段階として印象に残りました。

TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より
TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」より(C)馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会


――後半クールも楽しみにしています。
堀江 人間サイドの動きもどんどん加速していって、最初に皆さんが抱いた印象から大きく外れていくようなキャラクターもいます。誰が味方で誰が敵なのか、皆さんも思考も加速させながら楽しんでいただけたら嬉しいです。また、ユーゴーと対峙する場面もあると思うので、こちらも期待してお待ちください。
悠木 第12話まで全身全霊を懸けて駆け抜けてきましたが、残念ながらここまでは前座なんです(笑)。それぐらい怒濤の展開が続きます。蜘蛛子は相変わらずポジティブですが、秘密が明かされれば明かされるほど、そのポジティブさが不気味になっていきます。面白いシーンだし笑えるのに、何かざわざわしてしまう。これも何かの伏線かもしれない……。蜘蛛子を疑って、怯えて、そのたびに自分が人間であると感じていただきたいです!

【取材・文:岩倉大輔】

■TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」
放送 AT-X 毎週金曜 21:30~ ※リピート放送有り
TOKYO MX 毎週金曜 22:30~
テレビ愛知 毎週金曜 27:05~
KBS京都 毎週金曜 24:00~
サンテレビ 毎週金曜 24:00~
BS11 毎週金曜 23:00~

配信 ひかりTV 毎週金曜22:00~
   dTVチャンネル 毎週火曜22:30~
   ABEMA 毎週水曜22:00
   そのほかのサイトでも1月15日より毎週金曜22:00以降順次配信

スタッフ:原作…馬場 翁『蜘蛛ですが、なにか?』(カドカワBOOKS刊)/原作イラスト…輝竜 司/監督…板垣 伸/シリーズ構成…馬場 翁、百瀬祐一郎/キャラクターデザイン…田中紀衣/モンスターデザイン…鈴木政彦、ヒラタリョウ、木村博美/チーフアニメーター…吉田智裕/美術監督/美術設定…長岡慎治/色彩設計…日比智恵子/撮影監督…今泉秀樹/編集…櫻井 崇/CGディレクター…山口一夫/CGアニメーション制作…exsa(制作協力ENGI)/音楽…片山修志/音響監督…今泉雄一、板垣 伸/助監督…上田慎一郎/アニメーション制作…ミルパンセ/製作:蜘蛛ですが、なにか?製作委員会

キャスト:「私」…悠木碧/シュン…堀江瞬/カティア…東山奈央/ユーゴー…石川界人/スー…小倉唯/フェイ…喜多村英梨/フィリメス…奥野香耶/ユーリ…田中あいみ/ユリウス…榎木淳弥


リンク: TVアニメ「蜘蛛ですが、なにか?」公式サイト
    公式Twitter・@kumoko_anime

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