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「ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド」時雨役・下野紘インタビュー:その2(前編) 「レスリーの死を“現実”として受け止めた」

地球を覆う感染症の恐怖。ランドルフ症候群――発症者は昏睡しつづけ、やがて衰弱してやがて死に至ります。現在、治療方法がいっさい存在しない恐怖の病の原因は、南極に出現した巨大地下世界「アサイラム」にあると考えられていた。そこに広がるのは人間に襲いかかる異形の生物群の姿と、未知の資源。その資源を求める組織「アンタークティカ・フロント」ヴェーラ隊に配属された時雨・ダニエル・魁は、仲間たちとともに過酷な任務に挑戦する……。
ゲーム、マンガ、アニメにまたがるメディアミックスプロジェクト「Deep Insanity(ディープインサニティ)」。現在放送中のそのTVアニメ版「ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド」は、クライマックスに向けて物語が急展開しています。今回は、時雨を演じる下野紘さんに、ヴェーラ隊の副隊長にしてムードメーカーであり、第6話で戦死したレスリーのことを中心にお話を聞きました。

――第6話では、メンバーの心のよりどころだったレスリーに死が訪れました。
下野 じつは、事前にレスリー役の鳥海浩輔さんから「レスリー、死ぬらしいんだよ」と聞いていたんです。ヴェーラ隊のメンバーの誰からも慕われていて、キャラクターとしても個性が立っているレスリーが死ぬなんて、まったく想定していませんでした。だから、第6話のラストでレスリーが谷底に落ちたときにも、「こんなにかんたんに死ぬわけないでしょ」と思っていました。命を落とすにしても、もっと印象的な最期になるのかなと。その翌回である第7話の台本を開いた瞬間に、レスリーさんが遺体になっていました。「本当にお亡くなりになったんだ」と衝撃を受けましたね。

――心の準備ができきっていなかったのですね。
下野 レスリーさんは、ヴェーラ隊の中心人物であると同時に、「ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド」の要でもありました。時雨はショックでしたでしょうが、僕自身も精神的でダメージを負いました。

――下野さん自身も時雨と気持ちがシンクロしたのですね。
下野 時雨がレスリーさんと居られた期間は、作中の時間で3、4か月ほど。短い間ではありますが、死が当り前の環境の中で頼れる存在を失ってしまうのはつらい出来事だったでしょう。一方で、時雨にとってレスリーさんの死は“現実”です。アサイラムで生き残るためには、起こってしまった事実を受け入れなければなりません。そういった面では、僕よりも時雨のほうが冷静に死を受け止めたのかなとも思います。

――レスリー亡き後、時雨は「レスリーさんならどうする」と考えて行動するようになりました。
下野 時雨は、レスリーさんに指導を受け、いっぱしのスリーパーとして活動がきるようになりました。また、「命令に関して躊躇しない」「死んでもいいと思わない」といった “掟”もレスリーさんに教わりました。行動に迷うたびに、「レスリーさんならどうする」と考えるのは自然なことだと思います。

――レスリーの教え子であるわけですね。
下野 そうですね。アサイラムの中で生き延びていくための知識や戦い方、考え方など、さまざまなことを学びました。ただ、時雨は時雨であって、レスリーさんではありません。レスリーさんのように隊のメンバーの中心になることは難しいですし、ヴェーラとの付き合い方もレスリーさんほどうまくはありません。レスリーさんの代わりの存在になるというよりは、意思や思いを受け継いだのだと思います。

――アサイラムでは、レスリーの代わりにヴェーラが陣頭指揮を執るようになりました。
下野 ヴェーラは自らが先頭に立つのではなく、外から指揮するタイプかと思っていたので、少しだけ意外でした。もちろん、副隊長が不在となった以上、隊長が式をとるのは当たり前のことです、ただ、メンバーのことをしっかりと見守っていたレスリーさんとは異なり、ほとんど関係性がなかったヴェーラだったので、チームとして機能するのか不安を感じました。

――実際には、レスリー亡き後もチームとして戦うことができました。
下野 レスリーさんはヴェーラを信用し、自分の考えを主張しながらも、彼女の命令に“躊躇”しませんでした。メンバーは、そんなレスリーを通じて、ヴェーラに対して信頼を持つようになったと思います。そういう意味では、ヴェーラ隊はレスリーさん亡きあとも、その存在に支えられていますね。

――レスリーの死は下野さんにとっても強烈な出来事だったと思いますが、そのほかに印象に残っているエピソードを教えてください。
下野 振り返ってみると、第5話のバーベキューは平和でしたね(笑)。世界中に病が蔓延するという設定からして仄暗い本作は、レスリーを亡くしてさらに雰囲気が重苦しくなります。だからこそ、日常的なほのぼのとしたシーンは貴重でした。

――おっしゃるとおりです。
下野 あとは、第1話のアンサークティカ・フロントの求人広告ですね。完成した映像を見ると、想像よりもずっとしょぼくて。推しの声優が出ていたとはいえ、時雨はこんな広告でよくヒーローになろうと思えたなって(笑)。ある意味、時雨のすごさを感じました。

【取材・文:星政明】

■TVアニメ「ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド」
放送:TOKYO MX 毎週火曜深夜24:30~
   MBS 毎週火曜26:30~
   BS11 毎週火曜25:00~
   テレビ愛知 毎週金曜26:05~
   AT-X 毎週水曜21:30~
   ※リピート放送:毎週金曜9:30~、毎週火曜15:30~
配信:ABEMA 毎週火曜24:30~
   ※地上波同時・単独最速配信/その他のサイトも順次配信予定

スタッフ:世界観原案…深見真、海法紀光、塩野干支郎次/監督…大沼心/シリーズ構成・脚本…下山健人/キャラクターデザイン…山吉一幸/色彩設計…水本志保/美術監督…新城湧基/3D監督…北村浩久/撮影監督…山本聖(チップチューン)/編集…木村勝宏/音楽…未来古代楽団/音響監督…郷文裕貴/オープニングテーマ…鈴木このみ「命の灯火」/エンディングテーマ…伊東歌詞太郎「真珠色の革命」/音響制作…ビットグルーヴプロモーション/アニメーション制作…SILVER LINK./制作協力…KADOKAWA/原作・製作…SQUARE ENIX
キャスト:時雨・ダニエル・魁…下野紘/ヴェーラ・ルスタモワ…小清水亜美/レスリー・ブラン…鳥海浩輔/ローレンス・ラリー・ジャクソン…広瀬裕也/小鳩玲香…野口瑠璃子/餅木スミレ…本渡楓/エルシー…田中貴子

■ゲーム「ディープインサニティ アサイラム」
好評配信中

対応プラットフォーム:iOS / Android / PC(Steam)
ジャンル:RPG
プレイ料金:基本プレイ無料(アイテム課金型)

■マンガ「ディープインサニティ ニルヴァーナ」
月刊「ビッグガンガン」(毎月25日発売)にて好評連載中

コミックス1~3巻:絶賛発売中

リンク:TVアニメ「ディープインサニティ ザ・ロストチャイルド」公式サイト
    ゲーム「ディープインサニティ アサイラム」公式サイト
    マンガ「ディープインサニティ ニルヴァーナ」公式サイト
    「Deep Insanity」プロジェクト公式Twitter・@deepinsanity_pj

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