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お笑いをテーマにした陽気な楽曲が切り開く新境地「あはっててっぺんっ」――May’nインタビュー

May’nさんのニューシングル「あはっててっぺんっ」が8月17日(水)に発売されます。本作は、女子高生の漫才トリオがお笑いの“てっぺん”をめざすTVアニメ「てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!」のED主題歌。作編曲はシンガーソングライターの大石昌良さん・やしきんさんが担当し、作詞はMay’nさん自身が大石さんとともに手がけます。お笑いと歌、同じエンターテインメントですが、異なるジャンルの世界をMay’nさんは歌と言葉でどう表現したのか。お話を聞きました。

――May’nさんのシングル曲はロックで力強いイメージですが、「あはっててっぺんっ」はポップで電波ソングにも似たワチャワチャさがあります。コンセプトはどのように決まったのでしょうか?
May’n 「あはっててっぺんっ」は女子高生がお笑いの頂点(てっぺん)をめざすアニメ「てっぺんっ!!!!!!!!!!!!!!!」のED主題歌。私自身も昔からお笑いが好きで、楽しくポップな楽曲にしたいというのがまずありました。そこで思い浮かんだのが、「未来ノート」でご一緒した大石昌良さんだったんです。大石さんには、「とにかく楽しい曲を」とオーダーさせていただきました。「未来ノート」はミディアムテンポのメロディですが、心が温かくなってハッピーな気持ちになる楽曲で、今回の曲をイメージどおりに仕上げてくれると思ったからです。
大石さんと組んでよかったなと思うのは、同じボーカリストの立場からも一緒に曲をつくってくださったことです。音源だけでなく、その先にあるライブを見越して、コーラスを実際に歌うのか、あるいは別録りでステージではデータとして流すのか、話し合いながら曲をつくれました。曲中のかけ声は大石さんも参加してくださっているので、大石さんのファンの方々は“隠れ大石さん”を探しながら聴いていただくのも楽しいかもしれません(笑)。

――最初に上がってきた楽曲を聴いたときの感想を教えてください。
May’n ライブで披露したら、部員(May’nさんのファンの総称)と一緒に盛り上がれそうだな、というのが第一印象でした。また、89秒のアニメサイズだったのですが、その時間の中で多彩なメロディがめくるめく世界を展開しつつ、起承転結がしっかりとしていると感じました。そんな世界観を表現できるよう、私も気合いを入れて作詞しました。

――作詞の取っかかりになった部分はどこでしょうか?
May’n サビ頭の「笑って 笑って あはって」のフレーズについては、大石さんから「これでいきたいんです」というお話しがありました。そこを軸に膨らませていった形です。筆が乗っていたのか、ミュージカルの公演期間中の休演日に、数時間で一気に書き上げることができました。私自身、年末のお笑いの賞レースが好きなのですが、お笑いのネタを楽しみつつ、芸人さんたちのドラマにも思いを馳せてしまうんです。芸人さんたちは、相方や家族、応援してくれているファンとの絆があるからこそ、晴れのステージに立っていられる――そういう思いを投影して歌詞をつくっていきました。

――自分たちだけでステージに立つのではなく、大切な人に支えられているんですね。
May’n そうやって周りの大切な人を信じることは、私自身も大事にしています。年末のお笑いの賞レースの既定時間は4分ですが、この歌もだいたい4分くらい。この4分間でみんなを楽しませるという意味では、お笑いも歌も同じ思いだし、だからこそアーティストであるMay’nとしての思いを乗せて歌えると考えました。

――芸人とアーティストには、そういう共通点があるんですね。作詞にあたって、悩んだ部分はありますか?
May’n 間奏までのワチャワチャしたところから、終盤にかけてメロディの雰囲気が落ち着きますが、どういう情景を描けばいいか迷いました。大石さんに作曲の意図をヒアリングするなどした結果、自分が信じたネタやパフォーマンスがお客さんに届いて笑ってくれたときの「やってて良かったな」と思うであろう瞬間を言葉にしました。

――ご本人的にも気に入っている歌詞はありますか?
May’n お笑い好きとしては、「べっぴんさん べっぴんさん ひとつも飛ばさず べっぴんさん」とお客さんいじりをする様子を表現できたのがうれしかったですね。2番では、同じネタを披露するときにハプニングが起こる展開にするとおもしろいかなと思って「べっぴんさん べっぴんさん ひとつ飛ばしたら…えっお母さん!?」としたんです。芸人さんもよく家族のエピソードを話したり、番組のドッキリでお母さんが登場したりしますよね。私の場合も、関係者席でなく、一般の客席で部員といっしょにステージを見ていたりするんです(笑)。そんなことを思い出しながら、歌詞をつくりました。

――カップリングの「蒼の鼓動」は、中日ドラゴンズの応援ソングです。
May’n テレビ愛知には、「10チャンベースボール」という中日ドラゴンズの試合を中継する番組があります。「蒼の鼓動」は、そのテーマソングであり、今年から立浪和義監督が就任した新生ドラゴンズの応援歌でもあります。作詞作曲を担当していただいた草野華余子さんとは以前から面識があったのですが、名古屋市出身である私に歌ってほしいと声をかけてくださいました。

――こちらは、どんな楽曲でしょうか?
May’n ドラゴンズファンの方が聞いたら、きっとドラゴンズ愛を感じる楽曲になっていると思います。例えば、歌詞には2022年のドラゴンズのスローガンである「All for Victory」ほか、過去のドラゴンズのスローガンが散りばめられているんです。

――歌詞をしっかり追いたくなる楽曲ですね。
May’n ドラゴンズファンじゃない人にもしっかり届いて欲しいというのは、華余子さんと私が共通してもっている想い。野球選手だけでなく“頑張ってる人”の背中を押してあげられるような曲に仕上がっていると自負しています。私自身の経験で言えば、作中にある歌詞であり、過去のドラゴンズのスローガンである「Stand hard with BLUE」に強く共感しています。自分がいちばんつらかった時期に、「BLUE」という楽曲を作詞・作曲しました。「Stand hard with BLUE」のフレーズを見た時に「BLUE」をつくったときの思いが鮮明によみがえりました。あの時があったからこそ今があって、未来に続いていく今があるなと思いましたし、落ち込むのも大事なこと。そんな気持ちをこの曲に込めて歌いました。

――時には落ち込むことで、前を向けるんですね。
May’n 弱さを知っていたからこそ、強くなれるっていうのが、この楽曲のテーマです。誰もがいつもがむしゃらに頑張り続けられるわけではありません。辛さに立ち止まって、葛藤しながらも、努力を続けられる人が頂上にたどり着ける。努力をすれば必ず報われるわけではありませんが、だからこそ、努力をしなきゃいけないという華余子さんの思いがこもった一曲です。

――ドラゴンズのための歌であり、ひとりひとりに寄り添った歌なのですね。ちなみにMay’nさんのドラゴンズ歴は!?
May’n 地元のチームとして応援はしていましたが、本格的に観戦したり、選手のことを調べたりするようになったのは、この曲のお話しをいただいてからですね。東京ドームにで巨人戦を見に行ったときにハマって、すぐにファンクラブに入り、時間があればすぐ球場に行く生活をしています(笑)。

――3曲目の「Follow Your Fantasy」は、昨年設立10周年を迎えたCygamesのコーポレートアニメーションムービーの楽曲です。
May’n 日常の渋谷でスマホゲームを楽しんでいたら、その世界が入り混じって込んでしまうというコンセプトがすばらしいムービーです。普段、移動中にゲームをしていて、一瞬自分がどこにいるのかわからなくなる瞬間というのがあると思うんです。そういう日常とファンタジーの世界を繋ぐ楽曲となりました。民謡的な日本らしさあふれる曲調から始まり、徐々に高揚感のあるロックになる展開がドラマチックで歌い甲斐がありました。実は、リズムをあまり意識しない今まで民謡的な歌をこれまで歌ったことがなかったので、大きなチャレンジとなりましたし、歌手としての引き出しを増やすことができたのも印象的です。

――May'nさんの新境地を切り開くシングルとなりそうですね。
May’n まるでアルバムのように、バラエティー豊かな楽曲で構成され、いろんな角度から新しいMay’nをお届けできるシングルとなりました。この3曲をライブで育てていけるのが楽しみです!

【取材・文/星政明】

■May’n「あはっててっぺんっ」
発売日:2022年8月17日(水)
発売元:Digital Double
初回限定封入特典:オンラインイベント(2022年8月20日開催予定)参加シリアルコード

リンク:May'n公式サイト
    May'n公式Twitter・@mayn_tw
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    May'nオフィシャルブログ「きょうのMay'nディッシュ」    
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